【アート的思考】東工大×ムサビ合同ワークショップ2日目!

2018年8月2日(木)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

恒例となった東京工業大学と武蔵野美術大学による5日間の合同ワークショップ「コンセプト・デザイニング」の様子をレポートしています。
初日の様子はこちら
東工大×ムサビ合同ワークショップ「コンセプト・デザイニング2018by楽天ビューティ」スタート!


今年は「鏡」をメインのお題として取り組んでます。

お題発表の時にBOØWYの「マリオット」をかけたんだけど、学生さんの反応がイマイチで。受けたのは古堅先生だけ。リアル世代じゃないのはわかってるけど、「♪鏡のー中のマリオネット」って名曲、お父さんとか聞いてなかったのかなあ・・。


まずは初日の続き。

東工大とムサビ生が初めて出会った日に混合グループを作り、短い時間で議論をし結果を出さないといけません。そのためには早く仲良くなってもらわないといけないので、毎年初日のアイスブレイクは私が担当しています。
最初に絵を描くワークショップをやって、次に「1001円でグループ用のお菓子や飲み物を話し合って30分以内で買ってきなさい」てのをやりました。
これはここ数年やってて、・・当然手羽の自腹です(涙)

面白いのが、毎年グループによって買い方が違うんですよ。
1000円が絶妙な金額で、5人で1グループだから一本ずつペットボトルを買ったら残り300-400円ぐらいでお菓子を買わないといけない。ミッドタウンには激安店はないからセブンイレブンかスーパーで買うしかない。でもそれだとポテチ2袋ぐらいが限界。でも甘いものはいらないのか?しょっぱいものばかりじゃ飽きちゃうぞ。オレはクッキー食いたいぞ。甘い辛いでこれ永遠に続くやつじゃね?な。

みんなでつまめるスナック菓子が定番なのは間違いないっす。
あ、ブラックサンダーは小平市の会社が作ってます(笑)

ミッドタウンの外にあるたい焼き屋さんにひとっ走りしたらしい。
いいにおいしてうまそうだったなあ。

全額投入して虎屋の和菓子1点買い。1人200円ってことは虎屋だと小さい最中が買えるかな?
毎年いろんなパターンの買い方がでてくるんで、やってみると面白いですよ。結構グループの特徴もでてくるし。


んで、ここから2日目に入ります。

最初は油絵学科・袴田先生からアート的思考(アートシンキング)についての講義がありました。

袴田先生は昨日まで旅ムサin奄美大島の引率してて、東京に帰ってきたばかり。
ちなみに昨日登壇した古堅先生は午前中まで金沢に学生と行ってて六本木に直行してもらったんです。夏休みといっても先生方は忙しいんっすよ。

で、このアートシンキングの話は私たちは「引っ掻き回し回」と呼んでて、実はこのワークショップの肝となる部分だったりします。


「コンセプト・デザイニング」授業は、通常だと(手羽の解釈だけど)「コンセプト自体を設計するデザイン思考型授業」を表します。でも、それならどの大学でもできることで、わざわざ東工大さんはムサビとやる必要はありません。コンサルの専門家が中心となって「いかにデザイン思考がすばらしいか」を学ぶ授業をSFCさんあたりと一緒にやった方が効率的。

特に今のデザイン思考ブームを受けて、理工系を中心としたいろんな大学で「どうやったらデザイン思考を取り入れられるか?」というのを研究されてます。東大さん然り、京大さん然り、東工大さん然り、SFCさん然り、法政さん然り、芝浦工大さん然り、千葉工業大さん然り、電通大さん然り。

ただ、アメリカでは1990年代、日本では2000年に入ってからでしょうか。国際競争力を持てる人材育成のためにScience、Technology、Engineering、MathematicsのSTEM教育が叫ばれはじめました。でも「いや、それだけじゃダメだよね」とSTEMにArtsを入れた「STEAM教育」がこの数年で注目されるようになりました(最近京都精華さんでもアートシンキングに関するイベントやってましたね)
「デザイン思考だけでは改善はできてもイノベーションは起こせない」という弱点が指摘されていて、実はファインアート思考が大事なことに皆さん気付きはじめているのです。

そのファインアート思考を提供できるのが美大の最大の特権であり、東工大さんはムサビと合同ワークショップをやるメリットはここにあるんじゃないかと思ってます。
なんせ美術研究家ではなく、バリバリの現役彫刻家の思考を聞けるんだから、こんな貴重な体験はそうできない。今回もポロックなどコンセプチュアルアートについて作家視点で語られました。

ここから「世の中論理的に解決できない部分もあるんだよ。わからないから面白いこともあるんだよ。このまますんなり最終プレゼンにいくんじゃねーぞ。もう一回議論しやがれ」と伝えるのがこの袴田回で、あえて初日ではなく2日目以降にやるようにしてるのです。これまでの議論の「否定」を二日目にやる意地悪さ(笑)


似たようなところだと、初日に私からこんなアドバイスを学生さんに伝えています。

「ポストイット作業は『っぽい』から気をつけろ」

デザイン思考ワークショップのブレスト段階では、ホワイトボードにアイデアを書いたポストイットをペタペタ張っていくことが多いんだけど、これってすごい「っぽい」んですよね(笑)
情報を視覚化することによって思考の整理整頓化・共有化ができるので有効な手段ではありますが、それで終わってしまうこともしばしば。「なんか新しい形の作業をしてる俺ってかっこいい」的な気持ちに陥りがちで、へたするとそれをずーーーーーとやってる。
あくまでもポストイット作業は一つの手段にすぎず、ある段階でそれを捨てて違うステージに進まないと意味がないってことを学生さんに言いたくて。

では昨日の学生さんの様子を。


  • Aグループは最初からポストイット使わずクロッキー帳でアイデア整理してますね


  • Bグループ


  • Cグループは早い段階で中間プレゼンの準備に入ってた


  • Dグループもポストイット作業は終了させ、ホワイトボードでアイデアを広げる行程へ突入


  • 見てる限りだとEグループはまだ迷ってるところかな?でもとことん話し合うことが大事!周りは気にするな!カンパーレ!


  • 英語チームのFグループは何か見えた感じだった。

そしてもう少し学生さんにアドバイスをしたのは、「なぜ鏡を配布したのか?」「なぜ鏡が2枚あるのか」等お題の出し方にも少し考えてごらん、と。

見てると「鏡」という言葉をgoogle検索して出てきた単語を使ってる感じがするのね。
せっかく実物の鏡が目の前にあるんだから、感触だったり温度だったり音だったり味だったり(それはないか)を体験した方がよくね?例えばイメージでは生まれにくいけど、実際に触ることで「触ったら指紋がすぐにつく」なんて発見があるのもその一つ。

また、なぜ2枚なのか?1枚は割れてもいいように予備用なのか、5人に2枚ぐらいあった方がいいという判断なのか等々出題者が1枚じゃなくあえて2枚渡した意味がそこにはあるはずで。

すると紙粘土で鏡を汚して、半分拭き取ったり、格子状に模様をつけたりするグループが出てきた。
意外と「きれいに汚す」のは難しいし、汚れた部分ときれいな部分の差がきれいなことがわかったりね。


ちなみに事前に東工大・ムサビ・楽天ビューティーさんで「お題決定会議」をやったんだけど、実は「鏡2枚」は手羽の出した案なのです。7回かかわってきて初めての採用(涙)
古堅先生が「今日の手羽さんは冴えてるねー」と褒めてくれました。てへ。
・・・ん?・・・今日は?

あ、そうそう。この「19:00 中締め」という袋文字も手羽が描いたものなんだけど、この袋文字って下書きなしに書ける人は少ないそうです。美大生だと結構の割合で描けるらしい。
「さすが美大出身ですね」と褒めてもらいたくて。

「締」って漢字を間違ってたりするのが美大生の特徴かもしれないけど(恥)


2日目で六本木ステージは終了し、木曜からいよいよ東工大ステージに変わります。
そして早速中間プレゼン。

じゃんけん大会で中間プレゼンの順番はこのようになりました。
残り3日、頑張っていきましょ!!


以上、ずっと大学にいないから、きっと他部署からは夏休みを取ってると思われてるだろうなあ、の手羽がお送りいたしました。バリバリに働いてますっ!

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

OTONA WRITER

手羽イチロウ / teba ichiro

【美大愛好家】 福岡県出身。武蔵野美術大学造形学部彫刻学科卒。 2003年より学生ブログサイト「ムサビコム」、2009年より「美大日記」を運営。2007年「ムサビ日記 -リアルな美大の日常を」を出版。三谷幸喜と浦沢直樹とみうらじゅんと羽海野チカとハイキュー!と合体変形ロボットとパシリムとムサビと美大が好きで、シャンプーはマシェリを20年愛用。理想の美大「手羽美術大学★」設立を目指し奮闘中。