11月19日(土)午後6時から行われた「デザインの理念と形成:デザイン学の50年」展オープニングレセプションのレポートをお送りいたします。
というか、ぶっちゃけ「基礎デザイン学科50周年記念パーティー」です(笑)
19日前半の話はこちら。
■映画「カレーライスを一から作る」とSFCのORFに行ってきた
この展覧会については、こちらをご覧ください。
■【デザインは分けられない】デザインの理念と形成:デザイン学の50年
基礎デザイン学科についても書いてます。
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ミッドタウン5階に到着すると、
うわ。ムサビのデザインハブ企画展初日でこんなに人が入ったのは初めてかも。
さすが基礎デの力はすごいなあ・・。
とかなんとかやってたらレセプションが始まりました。
まず天坊理事長の挨拶。
続いて、
長澤忠徳学長の挨拶。
長澤学長は何を隠そう基礎デ「華の8期生」。
「ムサビ卒のムサビ学長」というのはまだ数人しかおらず、しかも長澤学長以前は「武蔵野美術学校卒」「ファインアート系出身」。基礎デは「武蔵野美術大学卒」「デザイン系出身」で初めて学長を輩出した学科であり、長澤学長が任期中に基礎デ50周年を迎えたのも、運命としかいいようがありません。
レセプション会場であるリエゾンセンターはこんな感じでした。手羽が見てきた中で一番人が入ったんじゃないかと。
原研哉主任教授から展覧会の趣旨説明。
もちろん原先生も基礎デ卒で、11期生。
展覧会のグラフィックを担当された板東孝明教授からも説明。
板東先生は原先生より年が1個上だけど、基礎デ12期生。
ここで急に空気が変わります。
向井周太郎名誉教授からのご挨拶。
卒業生も基礎デの先生方も一瞬で学生の顔に戻りました。
向井先生のご紹介をしましょう。
1932年生まれで早稲田大学卒業後、ウルム造形大学に留学し、ウルム造形大学およびハノーバー大学インダストリアル・デザイン研究所のフェローとしてデザインの研究と実践を行い、帰国後、ムサビの新学科「基礎デザイン学科」の起案・設立をされた人物です。
向井先生は以前「基礎デはデザイナーを養成する学科ではない」とおっしゃってます。
これから必要なのは、どんどん細かくカテゴライズ化されていくデザイン分類や、職業訓練化されたデザイン教育ではない。社会学、情報学、詩学、民俗学などなど諸領域の関連性をふまえて、デザインの諸問題を追求しうる可能性に開かれた新しいタイプの人材を育成する・・・と提唱され生まれたのが基礎デザイン学科です。
なので昔から実技以外に数学でも入学できるシステムをやってます。「美大で絵が描けずに数学って」と言われたりもするんですが、育てたいのは単なるデザイナーじゃないからです。
デザイン・美大業界で「これは新しいやり方じゃね?」と今叫んでることを向井先生は50年前に実践されていたってことだし、20年前よりも今の方がこの考え方を理解しやすいかもしれません。
この向井先生の考え方が、卒業生や在学生に脈々と流れている。
なかなかこれはすごいことで、「知の血」が学びとして受け継がれている、これがこの日感じた3つめの「学びのアプローチ」。
し、しかし・・・ち、ちょっと待ってください。
50年前ってことは向井先生が34歳ぐらいの時に新しいデザイン学問領域を提唱し、新学科を作ったってことですよね・・50年前の設立者がご健在ってことがそれを証明してるし、こういうパターンはほとんどないんじゃないかしら。
若い人が肌で感じ提唱する新領域・学科の方が将来性が高いのは当然だけど、かなりの冒険なことには間違いないわけで「当時のムサビはよくOKしたなあ」と感心する一方、「昔よりデザインの理解が進んでるはずなのに、なぜ今はこれができにくいんだろう」と感じたりも。
卒業生による乾杯。
ではしばらくご歓談ください。
ここにいるほぼ100%が基礎デ出身者。彫刻出身の手羽は完全にアウェー状態。
在学生・卒業生・教員・授業などを見てると、「この学科はこんな人が多い」みたいなものがやっぱりあります。
例えば視覚伝達デザイン学科だと「社交的な頭脳派」(個人の感想です)とか、工芸工業デザイン学科は「知力・技術力、そして体力のバランスが取れた人」(やっぱり個人の感想です)とか、油絵学科は「一般常識と共同作業が苦手だけど天才肌」(完全に個人の感想です)とか。
基礎デは「おしゃべりな研究者」のイメージかな。帰ってうちの奥さん(ムサビ出身)に「基礎デってどんなイメージだった?」と聞いたら、すぐに「白いものが好きな哲学者」と言ってたし。
とにかく彫刻学科とは超両極端な学科でして。
「基礎デ大同窓会」状態で、学年を超えて名刺交換したり、様々な交流が生まれてました。
こちらはホテルの総支配人をされてる方です。
ここから会場風景をダーーとお送りします。
皆さんの先輩にあたるわけですからね。さすが学長は人気者になってました(笑)
締めの挨拶はデザイン・ラウンジディレクターであるデ情の井口先生。
井口先生も実は基礎デザイン学科出身で、横に立っている小林先生とともに9期生なのです。
向井先生をお見送りする長澤学長と原先生。
こうして皆さんは六本木の夜に吸い込まれていったのであった。
作品紹介は明日お送りするってことで、続くっ!!
【美大愛好家】 福岡県出身。武蔵野美術大学造形学部彫刻学科卒。 2003年より学生ブログサイト「ムサビコム」、2009年より「美大日記」を運営。2007年「ムサビ日記 -リアルな美大の日常を」を出版。三谷幸喜と浦沢直樹とみうらじゅんと羽海野チカとハイキュー!と合体変形ロボットとパシリムとムサビと美大が好きで、シャンプーはマシェリを20年愛用。理想の美大「手羽美術大学★」設立を目指し奮闘中。