東工大×ムサビ合同ワークショップ「コンセプト・デザイニング2016」スタート!

昨日は1年ぶり以上にPARTNER編集部のnatsumi uenoさんと会った手羽です。地球の裏側チリからいつもWEB管理してもらってて、現在日本に帰国中なのです。

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昨日7月26日(火)から武蔵野美術大学 デザイン・ラウンジで、恒例となった東京工業大学(東工大)とムサビの合同ワークショップ授業「コンセプト・デザイニング2016」がスタートしました。

この「コンセプト・デザイニング」は、2011年に東工大の(当時)留学生センター・人間行動システム専攻の野原先生とムサビ・デザイン情報学科の井口先生によって「デ情生と東工大生」という組み合わせで実験的にスタートし、「これは面白くなるぞ」とわかり、2013年に両大学は連携協定締結。
武蔵野美術大学と東京工業大学が協定締結式を行いました
以降、ムサビは「全学科3年生以上対象」、東工大は「大学院生」で募集をかけ、各10名合計20名で行うワークショップに変化し、ムサビ側はファインアートから油絵学科の袴田先生、デザイン系から視覚伝達デザイン学科の古堅先生が担当するようになりました。(あ、それと建築の鈴木先生も)

この5日間の合同ワークショップでは、ざっくりと下記のような流れで行われます。

1)ある与えられたお題から
2)コミュニケーションによって、
3)コンセプトを構築し、
4)なんらかの造形デザインを作り、
5)グループプレゼンテーションする。


「コンセプト・デザイニング」は、本来なら(手羽の解釈だけど)「課題を解決するためのデザイン思考授業」で、あ、たまたま昨日アップされた記事
「デザイン思考」を発信するスタンフォード大学d.schoolを訪問してみた
もそうですね。
でも、それならどの大学でも・・・極端な話、一般大学・総合大学でもできることで、わざわざ東工大さんはムサビとやる必要はあんまりありません。恐らくコンサルの専門家が中心となって「いかにデザイン思考がすばらしいか」を学ぶ授業をSFCさんあたりと一緒にやれば・・て書き方はネガティブに聞こえちゃうのかな。これも一つのアプローチだしムサビでもやってることなんで全く否定していませんので・・。

せっかく美術の専門大学であるムサビがファインアートもデザインも関係なく全学科動員してやってるんだから、「デザイン思考」の授業より、モヤモヤっとしたお題を受け、発想や感覚からスタートしコンセプト構築にたどり着く「ファインアート思考」も提供した方が東工大さんはムサビと合同ワークショップをやるメリットがあるんじゃないかと思って今に至ります。
「理工系思考とデザイン思考とファインアート思考をごちゃまぜにしたコミュニケーション中心の授業」ってことですね。これはどの大学もまだやってないし、これに気が付いてる大学もまだないはず。

どうしても「理系と美術系の合同授業」と聞くと「理系とアートの融合!中身を理系が考え、外側を美大生が考える!」とステレオタイプ的に思われがちで。また「理工系と美大の連携」といいつつ、「理工系の大学に美大生の作品を展示する」ぐらいしかやってない大学が多いのも事実です。

こちらが東工大の野原先生。
東工大さんは2016年から学部と大学院を統一した「学院」制度という、かなり大きな教育カリキュラム改革・改編をスタートさせました。
なので野原先生も所属が「東京工業大学 環境・社会理工学院 融合理工学系 地球環境共創コース/ エンジニアリングデザインコース」の先生に。


野原先生がおっしゃるには、東工大の学生さんはとかく「答えに向かって行動しがちである」、と。 美術系、特にファインアート系的な「自分で『問い』を見つけ、面白さを自分で見つける」発想が弱い。東工大の学生さんにはこのワークショップで美大生のような感覚的な発想による思考の飛躍を経験してほしいと思ってます。
一方、ムサビの袴田先生によると、ムサビ生は感覚的に行動しがちで、論理的に物事を追究することが弱い。今まで「なんか好き」で終わってた部分をちゃんと相手に説明できないといけない時代なのに。


授業が始まったばかりなのであんまり語ると答えを言ってるようでアレなんだけど。
理工系と美術系では「何が違うのか」または「違わないのか」、 そこから自分に必要なもの、または相手に補完してもらいたいものを知ることができれば、一種の異分野コミュニケーション、グローバル人材教育、キャリア設計教育になるはず。
そんな気持ちで行っているのがこの「コンセプト・デザイニング」で、学生さんには最初に「アウトプットの出来はそんなに問わない。様々なコミュニケーションを使い理解・補完しあうことを経験することがこのワークショップの最大の目的」と伝えています。

こちらは3年前からレクチャーをお願いしてる視デ非常勤の中野豪雄先生。
「デザイナーの思考とは?どこにポイントをおいてデザイナーはデザインしてるのか?」を毎年語ってもらってます。
・・・てか、去年までは「視デ非常勤の中野先生」と紹介してたんだけど、今年から「タマビの中野先生」になってしまって。今年のタマビオープンキャンパスで情デの説明ブースに座ってたはず(笑)
でも魂は「ムサビOBの中野さん」ってことで!

そして、いよいよ手羽から今年のお題の発表。

通常の「コンセプト・デザイニング」だと「●●で社会問題を解決しなさい」的なお題になると思いますが、例年「会話」が発生しやすくなるようにできるだけ抽象的なモヤモヤっとしたお題にしています。

4年前が「想いが伝わるラブレター」、3年前は「オトナとコドモ」、2年前は「くりかえす」、そして去年は文字言語ではなく、この黒い四角でした。


さて、今年はどうなるのか!
いよいよ発表です!!!

「ながいもの」です(ドーン!)

去年のお題がかなり美大寄りの出題で難しかったんで、今年はもう少し簡単に。
パっと思いつくのは「物理的なもの」と「時間的なもの」かな?
でもこれはあくまでも「お題」であり、これ以上でもこれ以下でもない。ここからブレスト、連想ゲーム、言葉遊びをしながら広げてもらうことが醍醐味なのです。もちろん答えなんてありません。


学生さんには様々なコミュニケーション方法を使って、相手を理解させるように言ってます。
それは言葉だけじゃなくスケッチだったり、線だったり、数式だったり、イラストだったり、写真だったり、体だったり。


  • Aチームはバイリンガルのグループ。英語と日本語でコミュニケーションしてました。なんせ東工大もムサビもグローバル補助金もらってる大学なんで。見てるとディスカッションは英語、雑談は日本語でやってた印象


  • Bグループ。かなり積極的にイラストを使ってコミュニケーションを取ってた


  • Cグループ。かなり早い段階でキーワードが決まった様子。


  • Dグループ。ムサビ生はポートフォリオを見せてまず自分を理解してもらってた。これとっても大事。ポートフォリオは就活だけじゃなくこういうシーンでも使えるアイテムなんです。


今日の2日目まではデザイン・ラウンジステージで、3日目から東工大大岡山キャンパスに場所を移し、中間プレゼン・アイデア固め・制作・最終プレゼントと続いていきます。

あ。いや、確かに手羽もお題決める時に真っ先に思いついたけども。
 

あ。だからそうやってイラストも描きたくなるけども・・。

「ながいもの」で!!!
(強調するほど長芋に見えてきちゃうけども)

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OTONA WRITER

手羽イチロウ / teba ichiro

【美大愛好家】 福岡県出身。武蔵野美術大学造形学部彫刻学科卒。 2003年より学生ブログサイト「ムサビコム」、2009年より「美大日記」を運営。2007年「ムサビ日記 -リアルな美大の日常を」を出版。三谷幸喜と浦沢直樹とみうらじゅんと羽海野チカとハイキュー!と合体変形ロボットとパシリムとムサビと美大が好きで、シャンプーはマシェリを20年愛用。理想の美大「手羽美術大学★」設立を目指し奮闘中。