【後編】旅するムサビプロジェクト報告会に行ってきた

今日は休みを取ってプラプラしてる手羽です。てへ。

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2016年4月30日(土)に開催された「旅するムサビプロジェクト報告会」のレポートをお送りしています。前編はこちら↓
【その1】旅するムサビプロジェクト報告会に行ってきた


では6チーム目の発表を。

千葉ルートの実施報告
松戸市立和名ヶ谷中学校、松戸市立六実中学校、松戸市立旭町中学校での対話型鑑賞で、 千葉大、聖徳大、東京家政大、そしてムサビ4校で実施しました。
聖徳さんは保育士資格を取れることもあって、さすがに意見をいいやすい雰囲気を作っていたそうです。
ちなみに中学校での「旅ムサ」は様々な時間を使って行われてまして、旭町中とムサビOBが先生でいる和名ヶ谷中は美術の時間、六実中は総合学習の時間。

ところで、この作品、子ども達から「島に見える!」「いや、東京タワーだ」「でも・・・おしりにも見える」「んなわけないやん(笑)」「でもおしりだったらきっと作者は変態のおじさんだ」などなどいろいろ意見が出たら、総合の時間だから他教科の先生もいて「作者さんもいるんだから、作品がおしりに見えるとか、そんな失礼なこと言っちゃダメだ!」と注意してたら、

「やっぱりおしりでしたー」と種明かしをしたそう。
「作者は変態のおじさんだ」と言ってた男性生徒が「え。先生が作ったの?ごめんなさい・・」と謝り、後で廊下ですれ違った後に「エロい先生だ」と言ってたとか(笑)

一方、答えなんかないんだから感じたものをそのまま口にすればいいのに「正解がわからない→正解を言わないといけないんじゃないか」と口に出さない生徒もいます。
中学の教育現場に「Tバック」とか「おしり」という言葉を持ちこむのがふさわしいかは抜きにして(笑)、リミッター解除の役割が対話型鑑賞にはあるんじゃないかと。
 
 

昭島市立つつじが丘南小学校の実施報告。
昭島市立つつじが丘南小学校が閉校するのに際し、旅ムサで子どもたちに残るアートイベントを企画して欲しい、という依頼があったのです。
材料費がなかったけど、PTAの皆さんが予算を捻出してくれたり、各家庭で材料集めてくれたり全面的に協力してくれたそう。

材料集めといえば、リンクロウはプリントをちゃんと出さない(というか無くす)お子様なので、小学生の頃はよく寝る前に「明日、空の牛乳パックが2ついるんだけどある?」と聞かれ「・・・えええ!!?今朝全部捨てちゃったよ!!なんで昨日言わないのよ!」と急いでコンビニに牛乳パックを買いに行ったりしたもんです・・。
でも手羽が子どもの頃は図工用にフィルムケースとかアルミホイルの芯とかよく持っていったもんだけど、「家から素材を持っていく」のは昔よりずいぶん減りましたね。
よく考えれば「家の負担を減らすため」であり、悪く考えれば「図工キットで作るようになった」なんですが。
 
 

長野県東御市立袮津小学校の実施報告。
「みんなで作る最後の図工の授業を旅ムサでやってほしい」と依頼があり、2万個の紙コップで舞台を作って、感じたことを詩にして発表会をする授業を行いました。
でも最初は「絵の描き方を美大生が教えてくれるような授業をやってほしいのに」と教頭先生に言われてたそう。

黒板ジャックも「イベントの賑やかしとして空いてる教室にパパっと2,3時間で描いてくれ。対話型鑑賞?んなの時間がないから無理・黒板に絵を描いてくれりゃいい」という依頼が多いのも事実。
これも難しいところで、「美大生=絵の描き方を勉強してる人」というイメージがあるんで、産学連携の依頼もそうですが美大へのリクエストはどうしても「絵を描いてほしい」「描き方を教えてほしい」が多いんです。「どういう勉強をしてるのか→美大では何を大事にしてるのか」「旅ムサの趣旨」を私達は根気強く伝えていかないといけない。
 
 

京都府立福知山高等学校付属中学校の実施報告。
開校一周年の記念として黒板ジャックと対話型鑑賞、そして入試ガイダンスを依頼されました。
(ムサビに公募入試で決まってた福知山高校生徒も一緒に参加してました)

報告で印象的だったのが「取材が入っててカチンコチンの生徒。誰のための旅ムサなのか疑問に感じた」という言葉でした。
お陰様で旅するムサビ、黒板ジャックはテレビ局や新聞社からの問い合わせも多く、この福知山中ではNHKを始めとして3社さんぐらい取材に入ってました。この連休に某所でやる黒板ジャックも取材が入ってたりします・・。

子供たちのためにやってる旅ムサなのか、美術振興を広めるための旅ムサなのか、それともムサビ広報のための旅ムサなのか。
これは常に私達が考えなくちゃいけないテーマ。
 
 

旅ムサin台湾の実施報告。

ことの発端は、去年、台湾国家教育研究院の美感教育プロジェクトチームがムサビを訪問され、10月14日の東大和第5中学校での旅ムサを見学し、「旅ムサを是非台湾で実施して欲しい」という要請があったことから始まります。
ムサビもパリでの旅ムサを計画していたところ国際情勢で訪問国を変更せざるを得なくなり、双方の希望が一致して今回の訪問となった、と。

新北高工、新北市立桃子腳國民中小學 での対話型鑑賞で、漢字圏はある程度筆談でいける強みがあります。
でも、「もやもやしてる気持ち」を漢字で書けなくて、それをイラストで描いたら「confuse?」「イエス!confuse!!」と通じたそう。ムサビがグローバルというか、美術自体がグローバルってこと。
 
 

ま、「武蔵野大学」と思われてたようですが(ぼそっ)
 
 

所沢市立三ケ島中学校の実施報告。
東京家政大と埼玉県立芸術総合高校とのコラボレーションで、 芸術総合高校の生徒さんは12名参加したそう。中高大の相互交流ってことですね。こういうことができるのも旅ムサのいいところ。

以前、三澤先生に「例えばタマビと一緒に旅ムサ・・・じゃなくて旅ビダイをやるのはどうなんですか?」と聞いたところ、「うーん、それも悪くないんだけど、できれば一般大学とやりたいんだよね」とおっしゃってました。
美大が一緒にやっても「美大が仲間内でなんかやってるだけ」にしかならないけど、一般大学とやることでいろんな層への「美術」の広がりをもつことができる。
「そこまで考えてらっしゃったんだなー・・・」と自分の浅さに恥ずかしくなりました。
 
 

これで全11チームの発表は終了。

旅するムサビと黒板ジャックは登録制でやってて、例えば「●月●日、■■中学校で▲人募集します」と声をかけて参加者を募ってます。去年は100名近い学生さんが登録してました。

今年度も募集してます。希望するムサビ生はメールに
●件名:旅ムサ申し込み
●本文:
(1)学科・学年・氏名
(2)携帯電話番号
(3)メールアドレス(携帯とPC)

を書いて、kokuban◎musabi.ac.jpまで送信ください。
(◎は@に変換してね)
自主的活動といっても中学校や高校での活動が中心なんで、「絵が超絶うまい人」よりも「遅刻をしない」「ちゃんとメールの返事を書ける」「ホーレンソーができる」とか基本的な社会ルールが守れる人の方がありがたいです。


え?旅ムサの報告を聞き逃した?他で聞けないか?って?
はい、5月にこんなイベントがありますよ。

小平市には嘉悦大・津田塾・一橋大・白梅・文化学園・ムサビの6つの大学があります。
その6大学の学生さんが市内をフィールドにした研究・活動をプレゼン・提案し小平について考える「まちで楽しむ」というイベントを毎年やってまして、今回で4回目
今年はムサビでやることになりましたよ!

■まちで楽しむ4
小平7つの視点-小平しない、周辺の学生と一緒にまちで楽しむ-

●日時:2016年5月22日(日)13:00-17:00
●会場:武蔵野美術大学2号館


1部がプレゼン、2部がディスカッションという構成になってて、ここでも旅ムサチームが何件かプレゼンすることになってます。
小平市にお住いの方は特に!ですが、皆さんもぜひ。

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OTONA WRITER

手羽イチロウ / teba ichiro

【美大愛好家】 福岡県出身。武蔵野美術大学造形学部彫刻学科卒。 2003年より学生ブログサイト「ムサビコム」、2009年より「美大日記」を運営。2007年「ムサビ日記 -リアルな美大の日常を」を出版。三谷幸喜と浦沢直樹とみうらじゅんと羽海野チカとハイキュー!と合体変形ロボットとパシリムとムサビと美大が好きで、シャンプーはマシェリを20年愛用。理想の美大「手羽美術大学★」設立を目指し奮闘中。