フィンランド発フードデザインワークショップ「PAI PAI 」に行ってきた

「PAI PAI パイパイ」と聞くと、「ちゅうかなぱいぱい」をイメージしてしまう世代の手羽です。(知らない人はお母さんに聞こう)

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3月26日(土)の夕方、車を走らせて六本木へ。

ミッドタウンの桜はまだ3分咲き。来週は花見客でいっぱいになりそうですね。

って桜を見に来たわけじゃなく、週末2日間かけて武蔵野美術大学デザイン・ラウンジでやってるこのワークショップの様子を見に来たんです。

フィンランド発フードデザインワークショップ「PAI PAI」
です。


あるつながりでフィンランドセンターさんから話があった企画なんですが、最初はぶっちゃけ「人、集まるのかな?・・・」と不安だったんですよ。
というのも、そんな日本では有名じゃない外国人講師で、しかも参加条件が
(1)2日両日とも参加ができること。
(2)1週間程度の簡単な事前ホームワークあり。
(3)ワークショップは基本英語で行われるため、基礎的な英語でのコミュニケーションが可能であることが望ましい。

と、かなりハードルが高い。
この忙しい年度末の土日2日間の終日、基本的に英語ができ、フィンランドとサービスデザインに興味がある人がどれくらいいるんだ、って話で。


でも、

予約開始一瞬で定員を超え、キャンセル待ちが初日で30人くらいでき、それでも申込が続き・・。
いやー、わからないもんですね。というか、需要が供給に追いついてないってことなのかもしれない。

このワークショップ「PAI PAI」は、異なる文化間でのイノベーション機会を発見することを目的としてて、フードデザインやサービスデザインに精通する2名のデザイナーと一緒に、フィンランドの国民的フード「カレリアンパイ」を日本の文脈でリ・デザインする、というもの。

「サービスデザイン」という言葉は企業では注目されてる言葉になってきましたが、日本の教育機関ではまだ浸透してなく、本格的に取り組んでる大学は少ないです。パっと思いつくのは東大、京大、慶應、千葉工大、タマビ情デ、そしてムサビデ情かな?
その中で一般外向けにワークショップを頻繁にやってるのがこのデザイン・ラウンジだと自負してます。
大学は既存の分野を勉強するだけでなく、新しい学問領域の開拓・振興の役割も担っているんです。これを理解されてない方も多く・・。ちなみに「ソーシャルデザイン」って言葉も3年前は「なにそれ?」とよく聞き返されたけど、この2年ぐらいで浸透した印象がありますね。


おっと、講師はこのお二人。


  • ライチネン・イラリ(Ilari Laitinen)さん。現在、アアルト大学大学院国際デザインビジネスマネジメントコース(IDBM)にて食文化や食に関連するサービスを研究してます。

  • カルシ・ヤーッコ (Jaakko Kalsi)さん。ヘルシンキでサービスデザイナーおよびデザインリサーチャーとして活動してます。

まずは、フィンランド人のソウルフード「カレリアンパイ」を食べるところから始まります。

手羽も一個食べてみたけど、えーと、甘からず、、辛からず、、旨からず、、(フィンランドの方すいません)
それもそのはず。作り方を見るとわかりますが、

KARELIAN PIE – カレリアンパイ from ilarilaitinen on Vimeo.
ライムギ、牛乳、米、塩だけで構成されてるんです。恐らく日本でいうところの「塩にぎり」的ポジションにあり、うーん、手羽の食べた印象でもっとも近いのは「そばがき」「具の入ってないおやき」って感じかな?
でも、この上にタマゴバターをのせて食べるのが一般的な食べ方で、それがめっちゃ美味しいらしい。「らしい」って手羽が行った時にはそのタマゴバターがなくて(涙)

このカレリアンパイは、伝統的な厳格なレシピで守られているので、長い歴史の中で味や形、原材料は大きく変更されてきませんでした。同じ国、同じ文化の中では革新的な変化は必要とされていないのはどの国も同じ。
そこで、このパイを生活文化や環境の異なる地域である日本に持ち込むことで、どのように日本流にデザインすることが可能なのか、を2日間かけて議論する・・・というのがこのワークショップの内容です。
パイはあくまでもモチーフであり、デザイン思考から革新的なアイデアを考えるグローバルワークショップということですね。どうですか。面白そうでしょ?

参加者はだいたいムサビ生半分、大学生・社会人半分って構成。
グループ内の会話は日本語だけど、ポストイットに書かれた文字は英語が混ざってるし、講師としゃべる時も英語だし、こういう人達が日本にはいっぱいいるんだな、と・・すごいなあ・・。


「伝統的な食品のリ・デザイン」というと、「いちご大福」はまさに大福の革新的変化といえる「リ・デザイン」かもしれません。
最初、「んなアホな。余計なことしなくても大福はそのままでおいしいでしょ。大福は大福。大福に果物なんて合うわけがない・・合うわけ・・・なにこれ、うまっ」」だったし(笑)
いちご大福を最初に考えた人はまさに大福界のイノベーター。

手羽にとっては、「スパムおにぎり」がそうですね。
リンクロウが小学校の時、「明日サッカーの試合だから、みんなが持ってきてるスパムにぎり作って」と頼んできて「なにそれ???」と思ったもんです。「おにぎりといえばノリでくるんだ三角型か俵型」という固定概念しかなかった。というか沖縄のスパム缶の存在は知ってたけど、買ったことはなく、食べ方もよく知らない。
でも、これがうまいんですよ。子供がサッカーやってなかったら出会わなかった、「固定概念を変えた新しい食べ物」です。

最近だと、「おにぎらず」もそう。「おにぎり」なのに握らなくていいんですよ。「なんでこの発想が今までできなかったんだ?!」と思いますもん(笑)
しかも普通のおにぎりだと1個に使うノリの量って、味ノリサイズか使って半分ぐらいですよね。でもおにぎらずだと大きなノリを一枚丸々使うからノリの消費量も上がる。きっとノリ業者さんが考えた料理だと思ってるんだけど。

「日本的にリ・デザインしたもの」だと「アボカドにわさび醤油」が典型例。これでごはんが食べれちゃうんだから不思議でしょうがない。
 

多分今日は紙粘土でパイの形を作って発表って感じかな。

ちなみに

おいしい東北パッケージデザイン展をやってます。
去年もそうだったけど、この展示、お客さんが多いですね。

そして手羽だけじゃないと思うけど、この展示みてると、無性にお腹が減ってくるんです(笑)

というわけで、お腹が減ってきた手羽は急いで帰宅。

おおお。ずーーーと工事やってた新宿南口もこんな感じになったのかあ。
開業は4月4日です。


以上、ごめんなさい嘘ついてました、「PAIPAI」と聞いて真っ先にイメージしたのが「♪おっぱいがー、いっぱーい」で、ラウンジにいる時は心の中でずっと歌っていた手羽がお送りいたしました。

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OTONA WRITER

手羽イチロウ / teba ichiro

【美大愛好家】 福岡県出身。武蔵野美術大学造形学部彫刻学科卒。 2003年より学生ブログサイト「ムサビコム」、2009年より「美大日記」を運営。2007年「ムサビ日記 -リアルな美大の日常を」を出版。三谷幸喜と浦沢直樹とみうらじゅんと羽海野チカとハイキュー!と合体変形ロボットとパシリムとムサビと美大が好きで、シャンプーはマシェリを20年愛用。理想の美大「手羽美術大学★」設立を目指し奮闘中。