3.11から5年、復興に芸術文化の力を!アーツエイド東北が助成事業を公募

まもなく東日本大震災から5年を迎えようとしている。あの時高校生だった人は、この冬、美大生最後の年となり、卒業制作に打ち込んでいる頃かもしれない。未だ復興の過程の最中、芸術文化にはどんな力があるのだろうか。2011年、震災を受けて立ち上がった『一般財団法人 アーツエイド東北』が、来年度も継続して芸術文化に関する助成を実施、活動者を公募している。アーツエイド東北の想いと募集概要を紹介しよう。

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東日本大震災で被害を受けた岩手・宮城・福島に活動拠点を置く芸術家の制作支援と、文化芸術活動を行う企画助成を、アーツエイド東北が来年度も継続して実施するにあたり活動者を公募している。個人、団体どちらも応募可で、締切は2月12日。震災から5年の東北で今こそ芸術の力を生かすチャンスだ。公募内容に是非目を通してほしい。

アーツエイド東北とは?
2011年6月に学芸員、建築家、アーティストなど、東北の芸術文化シーンを率いる45人の発起人が中心となり立ち上がった団体。

以下からその設立趣旨を紹介する。今だからこそ当時の言葉を振り返りたい。

電気や水やガスと同じように、
感情の共有や人とのつながりがライフラインのひとつである


アーツエイド東北 設立趣旨

3月11日の東日本大震災以降、 被災した岩手、宮城、福島の芸術文化活動は危機に直面しています。多くの作品や記録が失われ、ギャラリーやホールなど表現や鑑賞の場が失われ、なにより人の命が失われています。生き残った私たちの多くも、先の見えない不安に疲弊し、芸術に揺さぶられるような心が失われています。それは、芸術文化のみの問題ではなく、広範囲にわたる経済や社会機構、そして土地と人そのものが大きく傷ついている現状において、私たち東北の人間がこれから新たな生を営んでいくための、重要な何かが危機にさらされているのです。

その一方で、芸術による癒しを、あるいは、既存の制度や価値観ではとらえきれない過酷な現実を受け止めていく方法を探る人々が、また、被災地で奔走している芸術家たちがいます。芸術は決して衣食住の足りた環境がなくとも、あるいは、そういったものが十分でないからこそ、切実に必要とされることがあるという 事実を私たちはこの震災のなかであらためて知りました。この数十年、ニュースとして消費される時間感覚でしか災害をとらえてこなかった日本社会では、あたかもインフラが戻れば人間は生活していけると思い込まされてきましたが、これほど長く続く被災生活を通じて、電気や水やガスと同じように、感情の共有や人とのつながりがライフラインのひとつであることは、真剣に考えなければならない課題のひとつです。

ただ、それらインフラやライフラインと言われるものの多くを、行政や市場、あるいは中央といったものにあずけて自分たちの生活を築いてきたことも認めざるを得ません。与えられたシステムのほころびが露わになった今、私たちはあらためてこの土地に根ざした生を営めるように、あずけていたものを地域や私たち自身に取り戻す必要があるでしょう。そのためには、まず私たちの感受性と表現力を、共感の力を磨く必要があるでしょう。

この数十年につくられた短い歴史がそうだったとしても、本来、東北は大都市のための単なる供給地ではありません。それぞれが豊かな生を育む土地で、この深い傷を癒し、ここで生き、そして、次の世代の心をはぐくむことができるはずです。そのために、ここに住む私たちと、それを応援してくれる多様な手によって、東北の芸術文化を支える基盤をつくることが必要だと考えています。

アーツエイド東北 設立趣旨より


過去にアーツエイド東北の助成により実施されたプロジェクトは、
こちらから見ることができる。
応募の参考にしてみてほしい。


2016年応募概要

アーツエイド東北よりメッセージ

一般財団法人アーツエイド東北は、阪神淡路大震災の際、文化芸術支援を継続して活動をしていた神戸の島田誠氏の来仙をきっかけに、2011年6月22日に44名の発起人により任意団体(同年11月に一般財団法人となる)として発足しました。文化芸術による災害からの人間性の回復を理念に、「被災した岩手、宮城、福島を中心に、東北地域の芸術文化活動の復旧・復興、及び地域住民や国内外の多様な支援と芸術家とを結びつけ、将来にわたり芸術文化活動が自律して行われる地域社会をつくる基盤となること」を目的としました。

昨年度より、私たちと同じく東北の地で活動する公益財団法人地域創造基金さなぶりと協力し、「アーツエイド東北・文化芸術支援事業」を立ち上げました。昨年度は、39件の応募の中から9件150万円の助成を実施しました。

もうすぐ、東日本大震災から丸5年が経とうとしています。ニュースでは被災地が取り上げられる機会も減り、あたかも復興が完了したかのような錯覚を覚えます。しかし、岩手・宮城・福島では6万人以上の人が未だ仮説住宅で暮らしています。

こうした状況のなかで、芸術文化による力強い活動は、傷ついた多くの人々の心を癒す糧となっています。今回の助成事業により、さらなる芸術文化による東北の震災復興が進むことを願っています。


事業の概要
東日本大震災で被害を受けた岩手・宮城・福島に活動拠点を置く芸術家・アーティストへの支援を通じて、地域の芸術文化シーンがより豊かに、多様になるために、作品創造やその継続を支援する助成事業を実施します。助成総額は、150万円程度を予定しています。

対象となる事業
1)制作支援:東日本大震災で被災を受けた、岩手、宮城、福島県に活動拠点を置き、活動をしているアーティスト・集団へ支援します。
2)企画助成:文化芸術による、岩手・宮城・福島での文化芸術活動を支援します。岩手・宮城・福島に活動拠点を置く団体が3県以外で行う活動も対象となります。

対象事業例
絵画、彫刻、陶芸、音楽、映像、ダンス、演劇等の作品創造活動
3県に活動拠点を置く団体による、他県での演劇公演の実施
制作した作品の展示会、展覧会の開催
※文化芸術に関する事であれば、分野は問いません。

支援対象
既に活動実績があり、今後も作品制作活動を行う個人またはグループなどの団体

助成金額
1)制作支援:上限10万円
2)企画助成:上限30万円
応募受付締切:2016年2月12日(金)消印有効

応募方法
募集要項の内容を必ず確認いただき、応募締切までに応募書類一式を下記の事務局あてにお送りください。事務局への直接の持参による応募は受け付けておりません。
今年度は、個人とグループや団体で申請書の様式が異なります。ご注意ください。
その他ご不明な点は、事務局までお問い合わせ下さい。

事務局
〒980-0804 宮城県仙台市青葉区大町1−2−23桜大町ビル303
公益財団法人地域創造基金さなぶり
アーツエイド東北 芸術文化支援事業事務局
Tel. 022-748-7283 担当 雨田(あめた)・鈴木

募集要項・申請書などのダウンロードはこちらから

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