旅するフォトグラファー「See the beauty tour」のフォトセッションに参加した話

ドイツ・ベルリンに住む筆者が今回訪れたのはザクセン州にある「ケムニッツ」という街。ここには有名な観光名所もエキサイティングなお店もないけれど、思いっきりやりたいことをやっている若い人達が集まっていました!アートが生活に根付くドイツならではの彼の活動をちょっとご紹介します!

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  • 出典:http://wsbi.net/chemnitz
  • 生活費ほぼゼロで生きてる友達を尋ねに「ケムニッツ」に来たよ

生活費無料で生きる?ケムニッツの可能性

ドイツと言えば、オクトーバーフェストで有名なミュンヘンやアートが盛り上がっているベルリンを想像する人が多いかと思います。旧東ドイツの「ケムニッツ」という場所は私もここに来るまで聞いたこともありませんでした。以前は、「カール・マルクス・シュタット」と呼ばれていたこの地ですが、カール・マルクスはここを訪れたこともないし、全く無関係というちょっと残念な街・・・でも、家賃は驚く程安く、私の友人は他の友人達とここに家賃無料で暮らしながら絵を描いたり思うままに生活しているというから驚きです。

世の中にもっとポジティブなエネルギーを!
そんな何にもないはずのケムニッツ。私はこの街で、ドイツ国内を旅しながらストリートフォトグラフィーを撮るユニットに出会いました。その名も「See the beauty tour」。 これは、ルーマニア出身のVladimir Todoroffとドイツ出身のSamuel Waldstein で結成したフォトプロジェクトで、ドイツ国内を旅しながら人々の笑顔を撮影し、それをFacebookでシェアするという活動をしています。 この活動の理由に関しては、「パリの事件を始め、世の中には今悪いニュースが多いから、もっとポジティブなエネルギーを与えたい」と語ってくれました。

でも、彼ら自身は「知らない人とも写真を理由に知り合えるし、純粋にストリートフォトが面白くてやっているだけなんだ。」とも言います。 そんな彼らの活動を見ていると、「アートって、名目が必要なのかな?」とさえ思います。自分自身が楽しく活動する事こそが社会を明るくすることに繋がる、そんな可能性を感じさせてくれるからです。

私も彼らのフォトセッションに参加!

私も声をかけられ、撮影に参加することに。最初はちょっと照れくさいなぁと思ったけれど、彼らはプロのフォトグラファー。しっかりした照明機材でモデルになった気分で写真を撮られるのは悪くない気分です。「いいね!その調子!」なんてすっかり乗せられてフォトセッションは全部で1時間くらいに及びました。私のようにノリノリな人もいる一方、恥ずかしいからといって断られてしまうこともあるそうです。それでも、良い笑顔が撮れた時は最高にハッピーだそう。笑顔を撮るって、シンプルなアイデアだけれど確実に写真を見た他の人も笑顔になる、良い影響力を持った活動だと思います。ドイツには、アーティストやアート学生のみならず普通の人が、「ただやりたいから」という理由でこうした活動を個人でしているケースがすごく多いです。そして、周りの人の目もすごく温かく、理解があります。こうした人々を見ていると、「これがアートが生活に根付いているということなのだな」と実感します。


  • Vladimir Todoroff

  • Samuel Waldstein

これから彼らは旅の資金集めをするために、写真で何かしようと考えている段階だとか。

やりたいと思ったことをこうして形にしている彼らを見ていると私も刺激をもらいます。

アートって名前は後付けで、難しいことは考えず、自分のハッピーになれる方法でとにかくやりたいことをやればいいのかもしれない、そんな風に思わせてくれる彼らでした。

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OTONA WRITER

wasabi / wasabi

ベルリンでフリーランスの翻訳家・ライターとしてアーティスト・ステートメントの日英翻訳や移住情報の発信をしています。現地のアート情報や空気感が伝わる文章を発信していきます。掲載媒体はブログ「WSBI」、ドイツ大使館公式ブログ「YOUNG GERMANY」、外国人向けの日本文化情報サイト「Tadaima Japan」他。