金沢では、長らく兼六園を一番の観光セールスポイントにしてきましたが、2004年にオープンして以来、金沢21世紀美術館が金沢の文化都市としてのポテンシャルを刺激し、美術館や芸術も集客力を持つようになったと言います。そんな金沢21世紀美術館の、2015年度の年間プログラムが発表されました。
アートで現代をとらえなおす年間プログラム
今年、金沢21世紀美術館で企画された『ザ・コンテンポラリー』という年間プログラムでは、1年間を通して、現代社会をアートで捉える3つのアプローチが呈示されます。
4月25日~8月30日:人と人との関係性の変化に注目
今月早速始まるひとつめの企画。
4月25日(土)~8月30日(日)に開催される『ザ・コンテンポラリー1 われらの時代:ポスト工業化社会の美術』は、繋がり方の変化した「われらの時代」をとらえる展示です。
出品作家は、大久保あり、金氏徹平、宇川直宏、小金沢健人、泉太郎、三瀬夏之介、束芋、八木良太、スプツニ子! 、アルマ望遠鏡プロジェクトの10組。
人と人との繋がりが疎くなり、孤独死など社会問題に発展する時代。その一方でSNSが発展しインターネット上での繋がりが強まってきました。そのような時代、すなわち現代に生まれた美術とは。2000年以降に活躍した日本のアーティスト10組の展示を通し、「人と人との関係性の変化」という切り口で今の時代のアートを見つめます。
9月19日~12月13日:一体誰が世界の歴史を語れるというのかを考える
9月19日(土)~12月13日(日)開催の『ザ・コンテンポラリー2 誰が世界を翻訳するか』は、グローバリゼーションの時代の中で再発見される、ローカルコンテンポラリーがテーマとなります。「一体誰が世界の歴史を語れるというのか?」従来の西洋社会が主体となって語られるアートの歴史は、グローバリゼーションの中で次第に意義が薄れていきました。いま、第3世界と呼ばれる「非・西洋」の社会が主体となって語る、ローカルヒストリーに注目が集まっています。第3世界と呼ばれる地域で生まれたアーティストの作品をもとに、今の時代に「世界を語ること」と「それをどのように翻訳するか」「理解するか」を問います。
9月19日~3月21日:現代日本の特殊な想像力を再発見
同じ時期に始まる9月19日(土)~3月21日(月)の『ザ・コンテンポラリー3 Ghost in the Cell : 細胞の中の幽霊』は、現代日本のポップカルチャーから、芸術と二次創作、生命と非生命の境界で育まれる現代日本の特殊な想像力を再発見する展示。『ザ・コンテンポラリー2』からの流れを考えると「現代日本のローカルアートヒストリーをつくる」ということでもあるかもしれません。音声合成ソフト・初音ミクに遺伝子と細胞を与える、というアーティストユニットBCLによる作品をフューチャーし、「情報に生命は宿るか」を問いかけ、日本のこれからのアートの可能性を探求します。
現代社会のアートの最先端を行く金沢21世紀美術館。
北陸新幹線で身近になった方も、そうでない方も。
伝統文化の根付く金沢観光と併せて訪ねてみてはいかがでしょうか。
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