【東京ブランド】ユニフォームは「歌舞伎町のネオン」みたいか?

2016年11月29日(火)

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11月25日に都庁で行われた「東京ブランドのあり方検討会(第1回)」が話題になってますね。
様々なメディアでも報道されていて、
ボランティア制服「統一感を」=観光魅力発信で初会合-小池都知事:時事ドットコム
2020東京ブランド検討の初会合 コシノヒロコさん「着るとピエロみたい」  ボランティア制服見直しを議論 - 産経ニュース
コシノヒロコ氏も酷評…都観光ボランティアの制服作り直しへ ― スポニチ Sponichi Annex 社会
東京のブランド戦略見直し 年内に方向性決定へ | NHKニュース
「ダサい」観光ボランティア制服変更へ都庁で初会合|日刊スポーツ
小池百合子都政 「統一感ない」ボランティア制服見直し 東京ブランド検討の初会合:イザ!
東京「ブランド戦略」で初会合 年内に抜本的に見直す考え
都:ボランティアの制服見直し議論 ブランド検討会 /東京 - 毎日新聞
などなど。

その中でも、
酷評…舛添前知事のおもてなしユニホーム「歌舞伎町のネオン」「孫が『ダサい』と」 : スポーツ報知
とムサビの長澤学長が「歌舞伎町のネオン」と言った部分がピックアップされて紹介されてる記事もいくつかあります。あ、昨日の「スッキリ!!」でも使われてましたね。
これだけ見たら「若いデザイナーさんがデザインしたものを美大の学長、しかもデザイン系教授が否定するなんて、どういうことだ!!」と普通思いますわな(笑)

てなわけで、この時の長澤学長の発言を文字起こししてみました。一言一句起こすようなバカなことはしたくないので多少はしょってますけど、ほぼそのままにしてあります。原稿なしで五分間一気にしゃべってるので、そのあたりはご了承くださいませ。
もし動画があれば、1時間27分25秒あたりからです。

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ボランティアのユニフォームをどうするかの前に知りたいことがありまして。
「東京都観光ボランティアおもてなし東京」「外国人おもてなし語学ボランティア」「東京マラソンボランティア」「その他様々なボランティア」とほんとに様々なボランティアが存在しますが、それぞれが様々なユニフォームを着て街にあふれると、どれがどれかわからないことが起きる。
東京ブランドのロゴと分けた論点になってますが、全国芸術系大学コンソーシアムに「beyond2020のロゴを作ってほしい」と依頼もあり、オリンピックを契機に山のようなロゴタイプ、シンボルマーク、多種多様なユニフォームがでてきて、これだと「歌舞伎町のネオン」みたいにどれがどれだかわからないくらいちゃらちゃらしたものになってしまう。そうなればなるほど、「にぎやかTOKYO」ぐらいしかわからないことになりそう気がする。
マークを決めてそんな簡単に2年や3年で一つのブランドバリューが高まるわけがない。私たちの大学はもうすぐ90周年になりますが、その間どんなふうに解釈されて、人々の価値を我々がどう受け止めたかの検証作業を欠かせません。かかすと志願者が減ります。常にブラッシュアップを続けないといけない。
「縦割りの中でシンボルを立てなくちゃいけない」となると、恐らく見てる人が「どれのなんだっけ?」になるし、その中で「好き嫌い」が生まれてきたりする。シンボルが乱立すると何がいいたいかわからないことが起きてくる。
今でも東京は都会とは思っていません。巨大な都市。一定面積に輪を描くとその中に住んでる人達の国際交流ネットワークの数でいうと世界5大都市では恐らく最低だと思う。このユニフォームがどうの以前に全体でどうしたいのか検討されてるのか教えてもらいたい。それがひとつめ。

もうひとつは、せっかくリーダーシップを発揮されてる小池知事が「再考しましょう」と機会を作ってくれたが、大きな企業が商品ブランドをいっぱい出すとコーポレレイトブランドが散逸してしまうので、必ず製品には会社の名前がついてます。ブランディングマネジメントがすごく大事になってくる。
これは提案というか、「そういうことはどうなんでしょう」という恐る恐るの発言ですけど、知事直轄のもとにブランドマネジメントをする部局を作って、山ほどでてくるものをコントロールする作業がないと、各部局が「産業振興は産業振興」とかそうやって動いて・・今マスコットキャラクターが全国で何匹いると思います?そのうちに使われなくなったら、ぬいぐるみの塊がそこらへんに放置されてるような状態になってしまう。面白い国といえば面白い国かもしれないけど、それを誇るよりは乱発を防いで、もう少し上手にマネジメントする視点がないと「世界の東京」としては情けないかな。
そんな簡単にはできないとは思いますが、ひとつの企業形態みたいなものであればトップダウンで全てのことがうまくいくかもしれませんが、今これだけ大きな広がりのなかで「あれが良くて、こっちがいい」の問題以前にマネジメントされないことが問題。
ブランド作って決めれば一人歩きすると思ってるけどそれでいいのかな?と寂しくなってきちゃう。
これがわたくしの意見です。

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こんな感じでした。

これを読んでいただくとわかりますが、そうなんです。
ユニフォームやロゴのことを「歌舞伎町のネオンみたい」と表現しておらず、ブランディングデザイン・組織マネジメントのことを語ってるんですね。

そのあとにシャネル株式会社取締役社長のリシャール・コラスさんが「このユニフォームがどうかの以前に、長澤さんがおっしゃったとおりに何を表現したいのか・・」と発言されていたり、小池都知事も最後のまとめで「長澤さんがおっしゃるマネジメントの部分が違ったのではないかと、足りなかったんじゃないかと思ってます。マネジメント、ガバナンスの観点からしっかりひとつにまとめあげて・・・」とおっしゃってるように、おそらく会場にいた方は全員理解されてたと思われます。 
 

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OTONA WRITER

手羽イチロウ / teba ichiro

【美大愛好家】 福岡県出身。武蔵野美術大学造形学部彫刻学科卒。 2003年より学生ブログサイト「ムサビコム」、2009年より「美大日記」を運営。2007年「ムサビ日記 -リアルな美大の日常を」を出版。三谷幸喜と浦沢直樹とみうらじゅんと羽海野チカとハイキュー!と合体変形ロボットとパシリムとムサビと美大が好きで、シャンプーはマシェリを20年愛用。理想の美大「手羽美術大学★」設立を目指し奮闘中。