手羽はほとんどドラマは見てません。「21時にはお眠ちゃんになっちゃうから」ってのが大きいけど(笑)
でも、今期はなぜか3つのドラマにはまってまして、同時に3つのドラマをチェックしてるのは10年振りぐらいかも。
あ、「ハケン占い師アタル」の脚本協力をムサビ芸文OG・阿久津朋子さんがやってるとか、「JOKER×FACE」の演出を映像OB・スミスくんがやってるとか、「いだてん」の美術を空デOB・山口類児さんがやってるとか、私に天使が舞い降りた!第6話の背景になぜかムサビが使われてるとか、そういうのを抜きにして、純粋にはまってるドラマ。
今日はその3本を紹介しつつ、美大と絡めた話を書かせてもらいます。(1日1本美大ネタ)
入試も終わったし、緩めなネタを。
まずはこちら。
■デザイナー 渋井直人の休日
「デザイナーが主人公」という美大とストレートな関係なドラマ・・ってわけじゃなく、もうね、見てて痛くて。
中年男子と(ちょっとモテたい)クリエイティブ系男子のあるあるネタがオンパレードで「や、やめて・・その心境を言葉や映像で説明しちゃダメ・・・」と。第1話見たあとにすぐポチっと原作本を購入しちゃった。
デザイナーで「直人」といえば「深澤直人」を思い浮かべる人が多いはずで、深澤先生がモデルだとニヤニヤしながら見てたんだけど、原作者の「渋谷直角」が由来らしい。アシスタントの杉浦くんも「杉浦康平」さんから取ってるんだとばかり思ってた。
ちなみに第1話ではいきなり「ムサビの女子大生」として 川栄李奈さんが出てきます。「美大生」じゃなく「ムサビの女子大生」てところがポイント(笑)
二つ目は、その川栄さんも出演してるこちら。
■3年A組 ―今から皆さんは、人質です―
教師が生徒を人質にして教室に立てこもる、という話。
初回を見て手羽家では「バクマン。に出てくる『真実の教室』に設定が似てない?」「この設定で11話とか12話とかもたせられるのか?」と話題になり、家族全員が見てる唯一のドラマです。
が、手羽のポイントはそこではなく。
主役が菅田将暉くん演じる美術教師なんですけど、ふと「あ。中学の美術の先生に似てる・・」と気が付き、そこからずっと気になっています。
美大を目指してる、もしくは目指した人の1番の理由は「小さな頃から絵を描くのが好きだった」だと思うけど、「中学・高校の美術の先生(もしくは美術の授業)が好きだった」な人も少なからずいるんじゃないでしょうか。
手羽がまさにそうで、それが中学の時教わった美術のK先生。
K先生はイケメンってわけじゃないけど考え方や身のこなし、雰囲気・服装が他教科の先生と全然違っててかっこよかったのね。
どこか冷めてる感じがしつつ、ソフトパーマがかかってて丸メガネをかけ、他教師が来てるスーツとなんか違ってオシャレ。想い出補正が絶対にかかってるけど、3年A組の冷静時の菅田将暉そっくりだったんです。
小学生の頃から「アニメ・漫画好きで絵のうまい手羽ちゃん」と言われてました。
美術のテストで時間が余ったから答案用紙の隙間に自分の得意なイラストを描いて出したら、「もう少しうまく描けるはず」というコメントと一緒に「-1」と赤文字で書かれたたことがありました。そしてその横にK先生がイラスト描いてて、これがまたうまい。まだ当時は大人がアニメ好きだなんて言えない風潮が残ってたけどアニメ・漫画好きも公言しており、K先生と漫画とアニメの交換っこしてました(笑)
紹介するデザイン例も初めて見るものばかりで、福岡のド田舎中学生には「これがオシャレなイラストってやつなのか!!」と衝撃の連続。
何から何までそのへんの地方教育大学出身の先生と違ったのです(超偏見)
K先生が東京の美大出身ってことは知ってたから「東京に出るとこんなオシャレな人になれるんだ」「東京の人はみんなおしゃれパーマかけてるんだ」「東京の美大に行けばもっと絵がうまくなれるはず」と信じ込んでたくらい。
そしてこれが手羽の人生のターニングポイントで、中学3年の最後にたまたま「K先生は東京のムサシビジュツダイガク出身」と知ったのです。
「ムサシ美術大学ってところに行けばこんな人になれるのか!」と感じた瞬間は今でも忘れません。(のちに「武蔵野美術大学」だと知る)
高3で地元の画塾に通ったらK先生もその画塾出身でさらに運命を感じました。
はい。手羽のムサビ好きは今に始まったわけじゃなく、実は中学3年からなんです(突然の激白)
だから美大受験はムサビだけ(東京造形大をすべり止め)で、タマビは受験さえしませんでした。実はこれも高校の大嫌いな美術の先生がタマビ出身だったもんで「タマビには行きたくない」と思ったからなんですが。
大人は「進路をしっかり考えて大学を決めろ」といいますが、人生なんてそんなもんかもしれません。
そして最後はこちら。一番手羽がはまってるやつ。
■トクサツガガガ
特撮好き女子の話・・・で終わらず、特撮から学ぶ人生訓がめっちゃ共感持てるものばかりなんです。例えば、
「夢中になれる人はかっこいい・・・その人たちが作るモノもかっこいい・・でも夢中になってる姿は、だいたい気持ち悪い」(4巻)
「大人とは、叶わんとかこんなんあるわけねーしを乗り越え、それはそうとしつつ夢見とくパワーを持つこと」(13巻)
「私達は、中身を脱ぎ捨てて大人になるんじゃない。 私達は自分を、重ねて重ねて大きくなる。そう、まるで合体ロボのように(14巻)
などなど。
美大受験生や美大生に捧げたいいのは、「好きなものは好きでいいんだ」かな。
そしてドラマは再現度が高く、スタッフの気合の入れようがハンパない。コスチューム、小物から爆発特殊効果まで「え?これNHKの深夜?テレ朝の日曜朝とちゃうの?」と特撮好き男子にはたまらない仕上がりになってるの。
もうハマってハマって、
今NHK名古屋放送局でやってる「トクサツガガガ展」に行っちゃいそうな勢いで。てか行くのを必死に理性で我慢してる状態。
■ORICON NEWS:『トクサツガガガ』満足度が右肩上がりで上昇中、“特撮で育った”30~40代男性から熱い支持 - 毎日新聞
という記事には、永遠の28歳の手羽にはピーンと来ないけど。
ところで千羽が好きな話は「イクトゥス」の回です。
「イクトゥス」とはキリスト教徒の隠れシンボルのことで、キリスト教が迫害されてる時代は信仰を公にできなかったから仲間を見つけることも難しかったんですね。
なので、一人がさりげなく円弧半分を描いてみせ、もしもう1人がもう半分の円弧を書きイクテュスの形(魚)を完成させれば「あ、あなたもキリスト教徒なんですね!(涙)」と無言で確認できた、と。
お互いドキドキしながら書いてるシーン、「え、え、もしかして君は・・」と喜び驚くけど声には出せない姿を想像すると、デザインやアートがこうやってコミュニケーションに使われてたことになんかジーンときません?
で、これを読んだ時に「美大生におけるイクトゥス的なものってなんだろうな」と。
「あ、あなたも美大生ですか?・・」「はい、私もそうなんです」とわかるものははたしてあるだろうか。
「石膏像の名前をだいたい言える」があるけど、ちとシーンが特殊すぎる。「ああ。これはブルータスだよ」としゃべるシーンが通常あるかって話で。また、「親指を立ててモノを見る」「似顔絵がうまい」はあざとい感じがするし、これらは一方通行でコミュニケーションにはなっていない。
ちなみに手羽は気が付いてる美大生の特殊能力として「袋文字が描ける」があります。
袋文字とは、こういうアウトラインで書かれた文字のことで、意外と一般の方はサラっと描けないことに気が付いたのが5,6年前です。
手羽も昔から普通に描けてたし、ムサビの同級生も普通に描いてたからなんとも思ってなくて。
「美大生だから袋文字を勉強した」ってわけじゃなく、小学校の頃からポスターや表紙、漫画を描いてたから自然と身についた力か、はたまた美大生は文字を形として認識してる人が多いからなのか。
理由はわかりませんが、美大を出て初めて「ああ。これってみんな持ってる能力じゃないのか」と気が付くはず。
うーん、でもこれもシーンが限られる。日常に溶け込みさりげなくわかるものがいい。
と考えると、「筆箱にネリケシとカッターが入ってる」はどうだろうか。
ネリケシを普通の人は筆箱に入れないから(笑)、さりげなく筆箱開けると「あ。ネリケシだ・・・も、もしかしてこの人・・」とわかる人にはわかり、それをもう一人が手に取ってコネコネすると「え。あ、あなたも?!」と無言で会話ができる。これだ!!
美大生のイクトゥス、募集します。
以上、録画しといた東京リボーンを見てたら、奥さんから「あんたがこういう社会派な番組見るの珍しいね」と言われ、「制作担当してる森内さんって人がムサビ空デ卒なんだよ」と答えたら「どうせそんなことだろうと思った!」と言われた手羽がお送りいたしました。
どうせって。。
【美大愛好家】 福岡県出身。武蔵野美術大学造形学部彫刻学科卒。 2003年より学生ブログサイト「ムサビコム」、2009年より「美大日記」を運営。2007年「ムサビ日記 -リアルな美大の日常を」を出版。三谷幸喜と浦沢直樹とみうらじゅんと羽海野チカとハイキュー!と合体変形ロボットとパシリムとムサビと美大が好きで、シャンプーはマシェリを20年愛用。理想の美大「手羽美術大学★」設立を目指し奮闘中。