荒川修作+ マドリン・ギンズの生んだ
三鷹天命反転住宅 ‒In Memory of Helen Keller-、竣工10 周年
この秋、三鷹天命反転住宅 ‒In Memory of Helen Keller- は竣工10 周年を迎える。これを記念して、今週末9 月20 日(日)より27 日(日)まで、「三鷹天命反転住宅…まだまだつづく! Reversible Destiny Lofts Mitaka – Still in the Making」が開催される。
科学・哲学・芸術の統合に向かう者を「コーデノロジスト」と称し、その実現を「天命反転プロジェクト/手続きを通した建築」によって目指した荒川修作とマドリン・ギンズ。二人の想いを今一度新たにすべく、建築見学会はもちろん、レクチャー、ワークショップ、ライブ、映画上映会、トークなど、「知覚の降りつ場」を参加者が共有できる、多彩なプログラムが予定されている。
「三鷹天命反転住宅 In Memory of Helen Keller」ってなに?
三鷹天命反転住宅 In Memory of Helen Keller は、芸術家/建築家の荒川修作+マドリン・ギンズによる、世界で最初に完成した「死なないための住宅」だ。
少しだけこの住宅についても紹介しよう。
この全部で9戸の集合住宅は、内外装に14色の鮮やかな色が施され、一部屋一部屋の色の組合せが全く異なることから、「極彩色の死なない家」(瀬戸内寂聴氏)として、東京西郊外の三鷹市のランドマーク的存在にもなっている。
この住宅は何が特徴的なのか?もちろん、その色彩感覚も見所のひとつだ。
しかし、もう一つ。荒川修作+マドリン・ギンズの長年の研究から、一人一人の身体が中心となるよう、設計・構築されている。私たち一人一人の身体はすべて異なっており、日々変化する。与えられた環境・条件をあたりまえと思わずに過ごす、そんな経験を提供するのがこの住宅なのだ。
だから、この住宅には、さまざまな身体能力の違いを越えて、住む人それぞれに合った使用の仕方があり、その使用法は自由。3歳の子どもが大人より使いこなせる場所もあれば、70歳以上の大人にしかできない動きも生じる。
三鷹天命反転住宅は、私たち一人一人がヘレン・ケラーのようになれる可能性を秘めています。その意味において、三鷹天命反転住宅は「死なないための家」、そして In Memory of Helen Keller ~ヘレン・ケラーのために~ と謳われるのだ。
もっと荒川修作+マドリン・ギンズについて知りたい方はこちら
もちろん、芸術作品の中に住める住宅として、芸術が担うべき社会での役割の新しい形でもあった。そう、現在もなお、一部を賃貸住宅として借りることができるのだ。
▼開催概要
竣工10周年記念イベント
三鷹天命反転住宅…まだまだつづく!
Reversible Destiny Lofts Mitaka – Still in the Making
会期:2015年9月20日(日)~9月27日(日)
会場:三鷹天命反転住宅
主催:荒川修作+マドリン・ギンズ東京事務所(株式会社ABRF)
協賛:ギャラリー・アートアンリミテッド
協力:株式会社安井建築設計事務所 / 藤井建築研究室 / CHIASMA FACTORY / dfb music / リタピクチャル / たまちゃん / 水声社
▼三鷹天命反転住宅たてもの見学会
開催日:2015年9月24日(木)
時間:11:00~「学芸担当者による建物見学会」 / 14:00~「建築する身体の見学会」
所要時間:1時間30分
参加費用:各コース 大人¥2,700 / 子供(小・中・高校生)¥1,000
定員制のため要事前予約。予約はこちらから
▼一挙上映『死なない子供、荒川修作』&『WE- 人間を超えていくために』
2010 年末より劇場で公開され国内外に大きな衝撃を与え続けている、荒川修作とその世界を巡るドキュメンタリー映画『死なない子供、荒川修作』とその姉妹作品として翌年にニューヨークで撮影されたマドリン・ギンズの映画『WE- 人間を超えていくために』を、映画の舞台・三鷹天命反転住宅にて一挙上映。
日時: 2015年9 月22 日(火・祝) 14:30~
参加費:各回 1,500 円、通しチケット 2,700 円(ともに1 ドリンク付)
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