【東京の美大にわざわざ行く理由は?】九州美術ゼミナールとルーテル学院高校へ行ってきた

2025年6月10日(火)

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熊本出張シリーズをお送りしております。
これまでの話はこちら↓
今年も熊本に行ってきた #熊本県美術系大学進路対策研究会
令和7年度熊本県美術系大学進路対策研究会に行ってきた

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6月9日(日)。
朝から小雨。
ある意味、ここからが本番な私達なのですが、えーと、
九州北部が梅雨入り 9日から11日にかけて大雨のおそれ|NHK 熊本県のニュース
熊本が梅雨入りしました。
手羽は超雨男なもんで、いろんな方面から「さすがの安定したパワーですね」「『梅雨入りした』じゃなくて『梅雨入りさせた』でしょ?他人のせいみたいに言っちゃダメ」とお褒めのコメントをいただきました・・。
  
12:30、視デ・後藤先生、学生募集広報プロジェクトのキャリアチーム・トリッピーくん、通信教育チームのナシモトくん、手羽のムサビ一行は、

九州美術ゼミナールさんへ。
略して「九ゼミ」で、熊本にある唯一の美術予備校です。
 
なぜやってきたかというと、

ムサビの説明会を開いてもらったのです。
前日はタマビさんが説明会をやってます。
  
東京の美大進学実績を確実に毎年出してる熊本の美術予備校さんで、熊本で東京の美大受験を考える高校生ならほぼ九ゼミに通ってるんじゃないかしら。
九ゼミ内には、

タマビやムサビに入学した先輩たちがそれぞれの学科の特徴などを後輩たちに伝える張り紙が。こっちも勉強になる(笑)
 
んで13時スタート。

まず手羽からムサビ全体の話を30分。

地方の説明会で必ず話すのは、「治安は大丈夫なの?」「東京にわざわざ行く理由は?」です。

自分も18歳で上京するまで、東京ってコンクリートジャングルで、いつも犯罪が起きてて、人が冷たい町ってイメージを持ってました。
東京の情報は全国に発信されるので悪いイメージが生まれやすいのもあるし、人口が多いから「件数」だとどうしても多くなっちゃうんだけど、住宅侵入盗犯の遭遇率、検挙率の低さは実は東京よりも関西や熊本の方が上にくるんです。「東京は治安が心配だから子供を寮に入れたい」というご相談をよく受けますが、「住まいに関してはこっちよりも東京の方が安全ですよ」と。
ちなみにこの話には続きというか、オチがあるんだけど、それは手羽の話を直接聞いた人だけの秘密ってことで。
 
また、「都道府県別寛容性総合指標」という女性、若者やマイノリティに関する寛容性の高さの都道府県別ランキングがあって、ことごとく東京は1位。
地方で「なんか生きにくい」と感じてたら、それは自分のせいではなく、マイノリティを受け入れにくい地域性が関係してるのかもしれません。「東京の人は冷たい」と言われるけど裏を返せば「他者をそのまま受け入れる寛容性がある」でもあります。
 
そして「なぜ東京なのか?」ということだと、

圧倒的にデザイン業・広告業などクリエイティブ系の会社や本社が多かったり、

デザイナーや作家も圧倒的に多い。このあたりのデータをたくさん見せてます。

クリエイターも仲間も理解者もライバルも情報も接点も発表の場も見てくれる人も働き先も事業規模もクライアントも必要としてる人も動くお金も圧倒的に東京の方が多いことを意味し、そしてマイノリティへの寛容性も高いから「クリエイターが認められる風土」ってこと。
「クリエイティブなことを勉強したいなら、若いうちに東京で学んだ方がいい」と思ってるんで、もちろんムサビに入って欲しいけど、地方では「お金のこととかいろいろあるけど、東京の美大も進路の1つに考えた方がいいよ」という話をメインにすることが多いです。 
てな話を入試の話もまじえながら30分。

続いて、視覚伝達デザイン学科・後藤映則先生。
後藤先生は、視デ卒で乃村工藝社にデザイナー・ディレクターとして13年間在籍してムサビの先生になりました。後藤先生の作品を説明しやすいのはやっぱりこれかな。

こういう表現は今までなく、ある意味「表現の発明」ですよね。
ご自分の作品を少し紹介されてから、視デの4年間のカリキュラム解説を動画を使いながら40分。
 
そしてスペシャルシークレットゲストがいまして、今年九ゼミからデザイン情報学科に入学した学生さんにも少ししゃべってもらいました。

偶然いたかのように書いたけど、「後輩のために」と、なんとこのために帰郷したんですって!!
九ゼミ愛だよなあ。
 
少し休憩をいれて、

視デの合格実技作品を見せながら入試のポイント解説。

そのあとは生徒さんの作品の講評。

「意外とこういうところを採点者は見てる」って話もあれば「あんまりそういうことは気にしていない」なんてこともあり、実際に採点してる人からの講評は自分も毎回ためになります。

質問タイムを設けると、キャリアに関する質問があり、

トリッピーくんに答えてもらいました。

予定では15時終了だったけど、なんだかんだ盛り上がって終わったのは17時・・。
帰り支度をしてたら、

さっきのデ情の学生さんが後輩たちを集めて第2部をやってた(笑)
 
後藤先生はこれから大阪でお仕事だそうで、そのまま熊本駅で別れました。
お疲れ様でした!!


6月9日(月)。大雨
午前9時10分、ムサビ一行は

ルーテル学院中学校・高等学校へ。
「ルーテル学院高校?」と思った方は「昔は九州女学院だった高校です」と説明したらわかるんじゃないかしら(手羽がそうだった)。2001年男女共学化した時に校名変更してるんです。
ちなみに募集停止したのは東京のルーテル学院大学で、熊本は九州ルーテル学院大学と姉妹校ではあるけど全くの別法人。
 
上記写真は今日の会場となる芸術コース美術専攻の建物。
美術専攻の建物としては不思議な感じだけど、昔はミニ体育館として使ってた建物なんだそう。
なので床にはラインや2階の窓を開ける階段があったり、あちこちに痕跡が残ってます。始まる直前に生徒さんがバトミントンをやってて「元体育館だから使用方法としては大きな間違いはないな」と妙な説得力があった(笑)

天井高があることを使ってロフト構造になっており、ロフト部分に座学やデザインができるスペースがあります。天井が高いのは制作に向いてるし、床が板張りで柱もない広い空間ってそうそう作れないから元体育館をアトリエに使うのは全然アリですね。
 
9時50分、3年生対象のムサビガイダンススタート。

今回は約3時間いただいていたので、まず手羽からムサビ全体説明を60分。
 
続いて、

キャリアチームのトリッピーくんからムサビの就職実績やキャリア支援について20分。
トリッピーくんは高校説明会デビュー。
 
んで「ムサビのこと以外でも美大のこと、東京のこと、恋愛相談、なんでもいいよ」と質問タイムにしたら、

次々と質問が出てきました。
「東京に出たら方言はなおすのか?」という質問には「そう。一番心配なのはそこなのよね」とすごくうなづいちゃった。
手羽は福岡出身で、さすがに「〇〇ばい」みたいな語尾の方言は気を付けることができるけど、方言だと知らずに使ってきた言葉は指摘されるまでわからないもんで。
「リュックを背負う」ことは「からう」、「床を掃く」は「はらく」とかは方言だと全く知らなかったし、「ご飯をつぐ」が方言だと知った時には「じゃなんて言うのよ!」と逆ギレしたことがあります。
でも方言を使ったからといってバカにされるようなことは東京ではないし、自分も一度もないです。「方言が出るかもしれないから」としゃべるのを遠慮する必要なんて全くなし。

実技合格作品実物を見てもらったり、

生徒さんがやってきて「熊本では何を食べましたか?」と聞かれたり(この写真、なんか甘酸っぱくないですか?)、なんだかんだで終わったのは12時過ぎ。
 
これにて熊本相談会シリーズは終了。


以上、大雨の中、熊本空港へ向かう途中

急遽熊本県庁に立ち寄ることになったのだけど、それがなぜかは後日「手羽の1週間」で紹介します、の手羽がお送りいたしした。
ほんと当日の朝決定したことで・・・。

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OTONA WRITER

手羽イチロウ / teba ichiro

【美大愛好家】 福岡県出身。武蔵野美術大学造形学部彫刻学科卒。 2003年より学生ブログサイト「ムサビコム」、2009年より「美大日記」を運営。2007年「ムサビ日記 -リアルな美大の日常を」を出版。三谷幸喜と浦沢直樹とみうらじゅんと羽海野チカとハイキュー!と合体変形ロボットとパシリムとムサビと美大が好きで、シャンプーはマシェリを20年愛用。理想の美大「手羽美術大学★」設立を目指し奮闘中。