【美大4年生必見】手羽の卒業制作アドバイス36ヶ条 準備編3「先生や友達の意見を聞くかどうか」

2022年12月18日(日)

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卒展出品経験と教務課時代の卒展担当経験、あちこちの美大卒展を見る趣味から、教育研究効果・美術的評価ではない視点の
「卒展ではこういう部分を気を付けるといいよ」
「卒業制作で陥りやすい点」

等テクニカルなアドバイスをまとめました。多分一番欲しているのは精神論ではなくこういう話なのかな、と。
ムサビ生向きな内容になってますが、他美大の方、また卒展以外でこれから展示を考えてる人、来年卒展の方にも参考になると思います。

これまでの話はこちら。
手羽の卒業制作アドバイス36ヶ条 準備編1「卒業制作展は卒業記念制作展ではない」
手羽の卒業制作アドバイス36ヶ条 準備編2「DMやチラシはよーく校正しよう」

準備編シリーズラスト。
 
5.先生や友達の意見は大事


  • 2021年度ムサビ卒展の様子

卒制中・・・特に講評直前はテンパってて頭の中が混乱し、平常時とは違う精神状態になってるはずです。

手羽の卒制で最大の失敗は「友達や先生の意見を無視したこと」でした。
卒展前日にマジックで作品に文字をいっぱい書いちゃったんですよ。でも、なんでそんなことをしたのか・・・答えられないんです(笑)
みんなから「それはやめたほうがいい」と言われたけど「何言ってるんだ、こいつら。オレのセンスがわからないのか」ぐらいにその時は思ったんですよね。でも卒制終わってあらためて作品を見つめ直すと、「あああ。言う通りにすればよかった(涙)」と気が付きました。
あの時の自分はその判断ができなかったんです。お気楽に生きてるつもりの手羽がそういう精神状態になっちゃうんだから、普段から制作に悩んでる学生さんはもっと陥りやすいかもしれません。

自分よりも客観的にみてる友達や先生の意見に耳を傾けましょう。
恐らくその意見は正しいはずです。

 
6.先生や友達の意見を聞かないのも大事

さっきと逆のことを書きます。
講評で先生に「こんな作品作ってちゃダメだ!」と言われるかもしれませんが、そこで「教授みたいな年寄りに、自分の新しいセンスの作品の良さがわかるはずがない!」という気持ちも、美大生にはある程度必要だとは思ってます。

多分、教授の指摘は正しいはず。
普遍的な「美」「造形」に対しての意見を発言されてるはずで、年齢は関係ありません。卒業して数年後に「ああ。卒制講評で教授が言ってたのはこういう意味だったんだな。なんであんな作品作ったんだろ・・」と気が付く時がきっときます。なぜなら、手羽がそうでしたから(涙)

でもそれでもいいんじゃないかと。
「人生の学び」ってそういうもんで、学生時代に全部わかる必要なんかないんだもん。結果的にそれが恥ずかしいぐらいの失敗だろうが、その時表現したいものを表現するのが美大の学びなはずで。

また、「先生や友達の意見を聞かないのも大事」には「人によって意見が違うから」という意味合いもあります。
いろんな人の意見に耳を傾け過ぎるのも問題で、それでパニックった学生さんを何人も見てきました。突っ走るファインアート系よりも普段いろんな人に意見を聞く習慣があるデザイン系の学生さんに多いですね。
「今の自分が一番大事にしたいものは何か?」というコンセプトの核部分は結局自分しかわからないので、最後は「他人の意見」としてスルーする勇気も必要。他人の意見を聞いて満足しなくても、誰も責任は取ってくれないんですよね。作品の責任者は自分しかいない。

 
7.なんとなく年代によって作品の傾向はある


  • 2021年度ムサビ卒展の様子

この10年ぐらいでよく見かけるのは「マンガやアニメのセリフを分析する」という作品です。ムサビだけでも全学科の展示を見ると毎年10作品ぐらいはあるかな?
オノマトペ系も毎年数点見かけますね。やっぱり美大生はオノマトペって好物(笑)

その研究がいけないのではなく、他にも似た傾向のものがあるってことは、「どれだけ新しい切り口を提示できたか」「どれだけの数調べたか」を比較されやすいってこと。
手羽はリサーチ数を見ちゃうかな。自分の好きな10作品ぐらいだけ調べてまとめてるケースもチラホラあり、通常課題ならともかく、卒業制作でそのリサーチ数でいいの?と思うことはあります。スペースが余ったからどこからかもってきたアニメ年表を後ろの壁に貼り付けてみたり・・そうじゃなくてもそう見えちゃうんですよね。
多分同じことを先生もアドバイスしてると思うけど(笑)


続くっ!!


ちなみにいろんな美大の先生から「作品批評慣れしていない学生さんが増えてる」という声をよく聞きます。
以前は美術予備校で徹底的に実技作品を酷評されて入学してきた学生がほとんどだったけど、今は推薦入試入学者の割合も増え、「作品を批評される経験」がほとんどない学生さんが増えています。なので作品や取り組む姿勢を批評してるのに、自分の存在自体を否定されてるように感じてしまう学生さんが増えてるそう。
逆の言い方するなら、先生も前のような講評・指導方法じゃダメってことですね。

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OTONA WRITER

手羽イチロウ / teba ichiro

【美大愛好家】 福岡県出身。武蔵野美術大学造形学部彫刻学科卒。 2003年より学生ブログサイト「ムサビコム」、2009年より「美大日記」を運営。2007年「ムサビ日記 -リアルな美大の日常を」を出版。三谷幸喜と浦沢直樹とみうらじゅんと羽海野チカとハイキュー!と合体変形ロボットとパシリムとムサビと美大が好きで、シャンプーはマシェリを20年愛用。理想の美大「手羽美術大学★」設立を目指し奮闘中。