東京都現代美術館で開催されていた
トーキョーワンダーウォール公募入選作品展レポート
トーキョーワンダーウォールでは、毎年多数の応募者の中から約100名の入選者が選ばれ、その作品を東京都現代美術館で展示しています。今年も6月6日(土)~28日(日)、東京都現代美術館企画展示室3階にて2015年の入選作品が89点展示されました。実際に足を運んでみましたのでご紹介します。
平面作品が圧倒的に多い会場で、ひときわ目を引いていたインスタレーションがありました。トーキョーワンダーウォール賞・審査員賞(山村浩二)をあわせて受賞した、片貝葉月の《感情纏身装身具/見世棚》。この作品は一見不思議なものたちが並べられた「見世棚」と、中心のモニターで流れるそれら「感情纏身装身具」の使い方を実演した映像が合わさったインスタレーションです。貧乏ゆすりをうみだす機械、涙を流す機械、のどに取り付け声を震わせる機械など、滑稽な機械仕掛けの感情表現がエンドレスに流れる不思議な作品。展示しある道具への好奇心と映像内容のシュールな滑稽さに随分と長く見入っていた来場者もいました。
片貝葉月《感情纏身装身具/見世棚》
ミクストメディア、木、モーター、電池、セロハンテープ、段ボール、針金、紙、ビニールパイプ、ねじ、ナット、アルミホイル、ポンプ、銀紙、2015
トーキョーワンダーウォール賞 / トーキョーワンダーウォール審査員賞(山村 浩二)
また展示空間の一角に掲げられた庄司朝美《うしろ》(トーキョーワンダーウォール賞)、赤池千怜《アンネ・フランクへ捧ぐ》(審査員賞・鴻池朋子)、吉田裕亮《神さまの存在》(トーキョーワンダーウォール賞)の三作品が並ぶ壁面は、賑やかさ・華やかさが目立つ展覧会場の中で闇や祈りといった奥深さを感じる一角となっていました。様々なジャンル・テーマの作品が選ばれ一同に展示されており、この公募展の幅の広さを感じました。
▼開催概要
《トーキョーワンダーウォール都庁2014》
スケジュール:
2015年7月2日(木)~7月23日(木)大人倫菜
2015年8月6日(木)~8月27日(木)須藤晋平
2015年9月3日(木)~9月24日(木)飯田美穂
休館日: 土、日、祝日
時 間: 09:00~17:30
入場料: 無料
主 催: 東京都、公益財団法人東京都歴史文化財団 トーキョーワンダーサイト
会 場: 東京都庁第一本庁舎3階南側空中歩廊 (E/Fエレベーターをご利用ください)
そしてこのあと10月からは、今年の受賞者の作品が一年かけて順番に展示されていきます。(7月、8月は休場となりますので、ご了承ください。)
入選作品展を見逃した方はぜひ都庁の歩廊でご覧になってはいかがでしょうか。
《TWS-Emerging》
さらに、トーキョーワンダーウォールとの連携プログラムはまだあります。
トーキョーワンダーウォール入選者から希望者を募り、審査を経て作家を選出。《TWS-Emerging》と題し、トーキョーワンダーサイト渋谷で個展が開催されています。
今年度は21名の才能ある若手アーティストたちを7期に分けて紹介しています。間もなく開催される第4期では、生け花の世界でも活躍する建築科出身のアーティスト・石川里美による植物と建材を組み合わせたインスタレーションなどジャンルを超えたアーティストの作品が。ひとつのジャンルにとらわれない表現者の活躍の場となるのもこのトーキョーワンダーウォールの一連の企画の魅力なのではないでしょうか。
▼開催概要
《TWS-Emerging》第4期~第7期
会 期: 2015年08月15日(土)~2016年01月24日(日)
休館日: 月曜日(月曜日が祝日の場合は開館、翌平日が休館)、年末年始2015年12月28日(月)~2016年1月4日(月)
時 間: 11:00~19:00
入場料: 無料
主 催: 公益財団法人東京都歴史文化財団 トーキョーワンダーサイト
会 場: トーキョーワンダーサイト渋谷
入賞後にも都庁での展示、さらに選考によるトーキョーワンダーサイトでの展覧会参加の機会提供など、様々な支援プログラムと連携して実施されるトーキョーワンダーウォール。
若手の新進作家の育成も目標として掲げるトーキョーワンダーサイトだからこそのプログラムです。
若い才能の今後の活躍に注目するとともに、2016年はあなたが応募することも視野に入れてみてはいかがでしょうか?
▼情報参照元
トーキョーワンダーウォール
トーキョーワンダーウォール都庁
TWS-Emerging
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