【ムサビ16号館も受賞!】2021年度グッドデザイン賞を受賞した美術大学を調べてみた

2021年10月21日(木)

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10月20日、2021年度グッドデザイン賞の受賞結果が発表されました。

2021年度グッドデザイン賞受賞概要 | Good Design Award

去年より応募件数が約1000件増え、過去最多の5,835件が審査対象になったそう。


ところで、そもそも「グッドデザイン賞」って何か知ってます?

グッドデザイン賞は1957年の通商産業省主催「グッドデザイン商品選定制度(通称Gマーク制度)」として生まれ、現在は公益財団法人日本デザイン振興会(JDP)が運営する「総合的なデザインの推奨制度」のことです。

設立当初は「大量生産されるモノのデザイン」が対象だったこともあり、いまだに「グッドデザイン賞」と聞いて多くの人が真っ先に思い浮かぶのが「かっこいいプロダクト製品」じゃないでしょうか。車とか家電製品とか。
でも徐々に「デザインで生活の質を総合的に向上させること」へ目標が変化し、1990年頃から「価値変化」、2000年頃から「価値多様化」がキーワードになっていきます。1998年の審査基準に「ソリューション(問題解決方法)の適切性」「システム的解決により生活次元でのベネフィットを生み出しているか」という言葉が初めて登場するんで、このあたりがヒト視点に切り替わりだしたターニングポイントになるのかな?(詳しい方教えてください)

一番わかりやすい例は、やっぱり2018年度グッドデザイン大賞を受賞した「おてらおやつクラブ」じゃないかと。

これがグッドデザイン大賞なんです。
「これのどこがデザインなのかわからない」「グッドデザインはもうなんでもありになってる」と批判される方もいます。

個人的には2つポイントがあると思っていて、一つが「モノ」ではなく「社会の仕組み」がグッドデザイン大賞を受賞したってこと。
二つ目は、「これはデザインの一種だからグッドデザインに出したら?」と教えた人が周りにいたってこと。日本の一般的な教育現場ではこれを「デザイン」と教えていないので、それに気が付いた人がいたってのはすごいな、と。
2017年に旅するムサビがグッドデザインを受賞してるんですが、
美術普及・振興プログラム [旅するムサビプロジェクト]

他部署スタッフから「旅ムサってアートなのになんでデザインなの?そんなに賞が欲しかったの?」と言われたことがあり(実話)、美大職員でもそのレベルの理解の人がいるくらいなので。


ここから今年のグッドデザインを受賞した美大を紹介していきます。これが意外とあるんですよ。
あ、教員等の個人レベルではたくさんいらっしゃるので、「事業主体・受賞団体が美大」に絞ります。

かるた [京都100年かるた]

こちらは神戸芸術工科大学。
 

長岡造形大学さん。
こういうイノベーター育成プログラムも受賞対象になるってことです。
長岡造形大学|「イノベーター育成プログラム(いのプロ)」がグッドデザイン賞受賞!


んで、
武蔵野美術大学 16号館

ムサビの16号館も受賞しました!
あまり手羽美★で紹介していないけど、実は建築設計がスキーマ建築計画、サインは長嶋りかこさんが担当されてるすごい建物なんですよ。
詳しくはこちらをご覧ください。大学サイトなんかより細かく解説してくれてます(笑)
長坂常 / スキーマ建築計画が完成させた、“自走する建築、学生がつくる校舎”をコンセプトとする「武蔵野美術大学 16号館」をレポート | architecturephoto.net

ムサビとしては、先ほどの2017年旅ムサ、そして2019年の9号館1階ゼロスペースに続いて3つ目の受賞となります。
ありがとうございました!
 
 
ところでグッドデザイン賞は「あれはグッドなデザインだから推薦しよう」と勝手に選ばれるわけじゃなく、「応募対象の事業主体者」または「デザイン事業者」からの公募制(申請制)だと知らない人が多いかもしれません。1957年当初は審査委員自身が街へ出て「よいデザイン」を探す選定方式だったけど、1963年から「公募形式」に変わっています。
何を隠そう手羽も10年前はそう思っていて、勝手に「うん、グッドだね!」とデザイン振興会さんが表彰してるもんだと(笑)

また、Gマークを使うのにお金がかかることを知らない人も多いんじゃないかしら。


  • 1957年に日本を代表するグラフィックデザイナー・亀倉雄策氏によってデザインされた「Gマーク」

販売価格・総事業費によって違ったり、行政機関や学校法人等公共機関・団体だとGマーク使用料は無料、個人だと半額だったりしますが、表彰状、受賞年鑑掲載等にも費用がかかることを手羽は最初知らなくて、「なるほど。社会の仕組みってうまくできてるんだなあ」と感心したのを覚えてます。
以上、余計な情報でした。


で、昨日からミッドタウンのデザインハブでこういう展覧会がスタートしました。
2021年度グッドデザイン賞受賞展

●会期:2021年10月20日(水)ー 11月21(日)
●時間:11:00-19:00
●会期中無休/入場無料
●会場:東京ミッドタウン・デザインハブ
*来場には事前予約が必要


「グッドデザイン大賞(11月2日の最終プレゼンテーション審査で決定)」「グッドデザイン金賞」「グッドフォーカス賞」「グッドデザイン・ベスト100」、またグッドデザイン全受賞対象を紹介する「Award Winners Gallery」が見れるようになってます。
例年だと地下のホールや4階の会議室含めミッドタウン全体が展示会場になってたけど、今年は5階のデザインハブだけなのでご注意を。

また、2021年度グッドデザイン賞全受賞対象を24日まで以下の2箇所で公開しています。
●東京:東急田園都市線・渋谷駅 ビッグサイネージプレミアム ハチ公口改札口付近
●大阪:Osaka Metro御堂筋線・梅田駅 Umeda Metro Vision 梅田駅上りホーム 南改札方面




以上、つい「六本木って行くのが面倒なんだよなあ」と9年間我慢してたセリフをつぶやいてしまった手羽がお送りいたしました。

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OTONA WRITER

手羽イチロウ / teba ichiro

【美大愛好家】 福岡県出身。武蔵野美術大学造形学部彫刻学科卒。 2003年より学生ブログサイト「ムサビコム」、2009年より「美大日記」を運営。2007年「ムサビ日記 -リアルな美大の日常を」を出版。三谷幸喜と浦沢直樹とみうらじゅんと羽海野チカとハイキュー!と合体変形ロボットとパシリムとムサビと美大が好きで、シャンプーはマシェリを20年愛用。理想の美大「手羽美術大学★」設立を目指し奮闘中。