2月5日(金)12時半、手羽は
豊島区の南長崎にいました。ここは南長崎花咲公園。
南長崎は友達の家に遊びに行って以来だから20年ぶりかな。
正式名称は南長崎花咲公園だけど、別名
トキワ荘公園です。
・・「トキワ荘」って知らない人がいるのかな。平成28年に豊島区が実施したアンケートだと75%の人はある程度知ってるみたいなんで簡単に説明すると、手塚治虫、赤塚不二夫、藤子不二雄、石ノ森章太郎、鈴木伸 一、寺田ヒロオなどが同時期に住み切磋琢磨した木造アパート。
マンガ好き、漫画家を目指す人には聖地と言えるけど、1982年に老朽化で取り壊されました。
でも、シェアハウス等プロのマンガ家を目指す若者を支援するプログラムに
■トキワ荘プロジェクト
とついて、それで支援内容がわかっちゃうくらい、伝説な存在になっています。
南長崎花咲公園は漫画ファンには有名な場所で、
2009年に記念碑「トキワ荘のヒーローたち」が設置されました。
記念碑の存在は手羽は知ってて一度拝みたいとは思ってたけど、実はここがトキワ荘跡地じゃないんですよ。「記念して近くの公園に設置しました」ってだけであって、そのためにわざわざ行くのはちょっとなあ・・という想いがあり、「きっといつかトキワ荘が再現されるはずだから、その時に行こう」と決めてました。
豊島区立郷土資料館は解体された4年後の1986年に「トキワ荘のヒーローたち 漫画にかけた青春」展を開催し、既にトキワ荘の文化的重要性に注目しています。
1986、1987年には銀河テレビ小説『まんが道』が放送されたし、1996年にはモッくん主演で「トキワ荘の青春」という映画ができたり(今チェックすると阿部サダヲや生瀬さん達が出ててビックリ)、1999年に区議会へ約4000名のトキワ荘復元の署名が提出されたりしてます。
トキワ荘復活の動きはずっとあったんだけど、豊島区文化観光課が基礎的調査を実施したのが2011年。
きっかけはこの記念碑設置と思われますが、「あ。人を呼べるコンテンツなんだ」と区が気が付き動き始めるのにこんなに時間がかかってるんですね。このへんが豊島区が東京23区の中で唯一「消滅可能性都市」に入ってる理由かもしれない。
今は
■マンガとアニメの聖地|豊島区公式ホームページ
と売り込んでますが。
でもここからが動きが早く、2016年に「漫画のミュージアムを作ろう」と整備検討・建築構想が始まり、そして2020年7月、この南長崎花咲公園の敷地内に
豊島区立トキワ荘マンガミュージアムが誕生したのです(ドーン!)
今回千住キャンパスの帰り道だったんで行くことでできました。
手羽は2000年以降の機運しか知らないけど、多分1986年頃からずっと地道にトキワ荘復活活動されてた方々がいたはずで、感慨深いはず。
いつか作られるとは信じてたけど、動き出したらこんなにあっさりできちゃうものなのね。
トキワ荘マンガミュージアムの完成度はかなり高く、エイジングがそりゃ見事。
メディア等ではこの場所からの写真が多いと思いますが、この看板もエイジング処理で作られたもの。ちなみにこの四角柱の看板、時代によって形状や書体が違ったそうで、
裏には違うフォントの看板も再現されてます。
ちなみに設計など空間デザインをされたのは丹青社さん。
■豊島区立 トキワ荘マンガミュージアム | 実績紹介 | 株式会社丹青社
さすがです。
さ、中に入ってみましょ。
このご時世なんで事前予約が必要だけど、日曜祝日じゃなければ直前でも予約取れるんじゃないかしら。手羽も1時間前に予約して大丈夫でした。
この階段もあえてギシギシと軋むように設計されてるそう。
部屋の中も忠実に再現されてます。
現行法では耐火建築物にしなくちゃいけないので、見かけは木造モルタルだけど実際は鉄骨造で作られていて、それがわからないよう壁を2重構造にしてるんですって。天井もパっと見はベニアだけど、これも当時住んでいた住人からヒアリングして忠実に木目を再現したシートなんだとか。
小さい頃から手羽が気になってたことがあって。
それは「1階は誰が住んでたんだ?」という疑問。いつもそこはフワフワされてて、ずっと気になってたの。でも今回「漫画家が住んでたのは2階だけで1階には普通に一般の方が住んでいた」ことがわかりました。
このトキワ荘マンガミュージアム、なんと入場無料なんです!驚きでしょ?
ただし、1階の特別展を見るのには大人500円/小中学生100円かかります。でも500円ですよ。ここはお金を少しでも落としてあげたい。
ちなみに今は「トキワ荘のアニキ 寺田ヒロオ展」をやってて、
次回は「トキワ荘と手塚治虫 ―ジャングル大帝の頃―」。
トキワ荘時代に手塚さんはリボンの騎士とか描いてるんですよね。コロナのため開催延期中なので最新情報をお待ち下さい。
ミュージアムを出て、周辺をちょっと歩いてみますか。
よく使われてるマップは2種類あり、
公園に隣接する形である「ふるいちトキワ荘通り店」は、築約30年の店舗をリノベーションしたブックカフェ。トキワ荘に関連する書籍や雑貨が売られてました。
その名も「トキワ荘通り」。
手羽からすると「いかにも南長崎の通り」ですが。
この散策、マップがないとかなり厳しい。
例えば、
ひっそりと案内サインがあるんです。
曲がって直進すると、
これがトキワ荘跡地記念モニュメント。
トキワ荘のあった場所は一度更地になり、現在は日本加除出版株式会社の私有地になってますが、2012年に豊島区制施行80周年を記念して5年自動契約でモニュメントが設置されました。
ちなみにここにこういうモニュメントがあるのは「カオスだもんね」で知ってました。
私有地に入れるのも、私有地にモニュメントを設置できたのも、日本加除出版さんの完全なご好意なので、
窓に「地下アイドルの法律相談」という本の宣伝がちゃっかり張られてても、誰も文句言えない。
でも「弁護士×元地下アイドル×マンガ家がタッグを組んで、地下アイドル救済のための本を作りました!当社としては異色の書籍」とあり、一応ここを巡ってる人向けな内容になってた(笑)
てか面白そう。
一番わかりにくかったのは次のここ。
ゆかりの地が、というわけじゃなく、なんとなく街並みを見てると都市計画を失敗してる感が・・。
漫画家たちが通った有名なラーメン屋「松葉」。
普段の手羽なら食べていくところなんだけど、奥さんから「ラーメンの汁は毒」ときつく言われてるのと、写真みたら手羽の苦手な黒い醤油ラーメンだったんで中には入らず。
トキワ荘マンガミュージアムと同時OPENした「トキワ荘マンガステーション」は、トキワ荘関連の書籍約6000冊が入場無料で自由に読める施設。
トキワ荘散策の拠点となるのはこちら「トキワ荘通りお休み処」。
築90年の米屋を改装して2013年にオープンしたお店で、関連グッズの販売をしてます。
売れ筋は「昭和風のスリッパ」やトキワ荘通り名物 チューダーあめなんだそうだけど買って帰るにはちょっと微妙・・・てか全体的にお土産が微妙で、変にレトロオシャレを出す必要なく、「トキワ荘最中」とか「トキワ荘せんべえ」とかストレートなものでいいんだけどなあ。だって「チューダー」なんて知らない人の方が多いわけで・・。
散々悩んだあげく手羽は
2017年の「まんが道大解剖」と2009年の企画展で発売された図録「トキワ荘のヒーローたち : 漫画にかけた青春」を購入。図録は古本市場だと5000-9000円ぐらいするけど、ここなら定価で買えますよ。
以上、偉そうに説明しててきたけど、ぶっちゃけ「まんが道」は最初の方しか読んでない手羽がお送りいたしました。だって藤子Aの絵が苦手で(言っちゃった)
【美大愛好家】 福岡県出身。武蔵野美術大学造形学部彫刻学科卒。 2003年より学生ブログサイト「ムサビコム」、2009年より「美大日記」を運営。2007年「ムサビ日記 -リアルな美大の日常を」を出版。三谷幸喜と浦沢直樹とみうらじゅんと羽海野チカとハイキュー!と合体変形ロボットとパシリムとムサビと美大が好きで、シャンプーはマシェリを20年愛用。理想の美大「手羽美術大学★」設立を目指し奮闘中。