大学による高校生へのアプローチはざっくりと7段階あって、まず「その分野に興味を持ってもらう」から始まり、次に「とりあえず大学名(学科名)を知ってもらう」、そして第3ステップで「大学に興味を持つ」となり、第4ステップ「大学のことを調べる」、第5ステップ「オープンキャンパス等に行く」など実行ステージに変わり、第6ステップがいよいよ「受験する」、第7ステップが「入学する」となる、と。
大学側からすると第4ステップ以降が「入試広報」であり、第3ステップまでは「将来的には受験につながるといいけど、まずは多くの人に大学名・学科名を知ってもらって興味を持ってほしい」という「大学広報」と言えるかもしれません。
大学広報の典型例が、「大学が主催する高校生向けのデザイン・アート・映像・ビジネス、起業系コンペ」です。
これが意外とあるんですよ。
美大だと「美術に興味を持ってもらうきっかけ」「若い才能の発掘と育成」「美術教育の振興」「新しいデザインアプローチの発見」が開催趣旨になりますね。
でもコンペによっては「オープンキャンパス日や学園祭に授賞式します。あ、ついでにAOも受ければいいやん」「大賞の人は入学手続納入金免除してあげますよ」なケースもあり、チラホラと大学の裏目的が垣間見えることも・・。
でも若い方に機会を作るのはいいこと。なんせ励みになりますから。
てなわけで、今日は手羽が知ってるものをいくつか紹介していきます。
一番積極的にコンペを開催してるのは恐らくこちら。
■2020年度岐阜女子大学主催のコンテスト・コンクールご案内
岐阜女子さんは「手作り絵本コンクール」「伝統文化裁縫コンテスト」「文化創造デジタル作品コンクール」等学科ごとにやってるんですね。これだけのコンペを1大学でやるってかなり大変なはず。
美大系で有名どころだと、まずはこの3つかな。
■全国高等学校デザイン選手権大会(デザセン)
●主催:東北芸術工科大学
●応募資格:同じ高等学校または高等専門学校に通う生徒2名もしくは3名で構成されたチーム
1994年に始まったコンペで、美大系の高校生対象コンペでは一番続いてるんじゃないかしら。
グラフィック系のコンペではなく問題・課題発見のコンペだし、学生のサポートチームが立ち上げり、学生さんの学びにもつながっていることが成功の要因かもしれません。
ちなみにこの記事でも紹介されてるように
■デザセン25周年企画web対談|長澤忠徳×中山ダイスケ | デザセンからのお知らせ
デザセンを作ったのは当時東北芸術工科大学助教授だった長澤学長なのです。
■高校生ファッション画コンテスト
●主催:文化学園大学・文化学園大学短期大学部
文化学園さんも昔からやっている印象だけど、2020年で13回目。
ちなみにコンテストの入賞者はAO入試で加点評価されます。
■"世紀のダ・ヴィンチを探せ!"高校生アートコンペティション
●主催:大阪芸術大学
●応募資格:高校生(満15歳から満18歳)
こちらも昔からやってる感じだけど今年が14回目。いかにデザセンが長く続いてるかわかります。
募集分野が美術はもちろんのこと、音楽、演劇、放送なども入ってるのが大阪芸大さんらしいところ。
また、受賞者で大阪芸大に合格した場合は、学費全額免除(4年間)や入学手続納入金免除、50万円の奨学金支給などの制度があるのも大阪芸大さんらしいところかな。
ではここから一気に紹介していきます。
手羽が注目したのは「応募資格」。パっと「『高校生』でいいやん」と思っちゃうけど、「高校生」だけでは言葉足らずになることもあるんです。今後コンペを開催しようと思ってる大学関係者はご参考に。
●主催:大阪成蹊学園 ●応募資格:国内に在住する高校生
第10回記念特別部門としてバーチャルメディア部門を設立されました。
●共催:東京工芸大学
●応募資格:制作者の中核メンバー(企画、監督、脚本、撮影、編集、美術、音楽、録音の担当者。ただし、出演者を除く)が2001年4月2日~2004年4月1日の間に生まれた者が制作した作品であること。
■DHU U-18アーティストコンテスト
●主催:デジタルハリウッド大学
●応募資格:18歳以下の個人またはグループ
■美術工芸甲子園
●協力:学校法人二本松学院
●応募資格:高校生(個人またはグループ)
工芸甲子園から美術工芸甲子園に代わり、学校法人二本松学院さんは主催から協力に変更になってます。
1大学で複数やっているのはこの3大学。
■トチギ・デッサングランプリ
●主催:文星芸術大学
■とちぎこども芸術祭
●主催: 文星芸術大学・宇都宮文星短期大学
●応募資格:栃木県内の小学生(※学年不問)
とちぎこども芸術祭は小学生対象。
■倉魂!高校生コミックイラストコンクール
●主催:倉敷芸術科学大学
●応募資格:全国の高校生
■全国高校生現代アートビエンナーレ
●主催:倉敷芸術科学大学芸術学部
こちらは「ビエンナーレ」で、前回の第10回が去年だから次は来年。
●主催:星槎道都大学美術学部
●応募資格:2020 年4月現在,高等学校在籍の生徒(1~3年)および,高等専門学校在籍の1~3年の生徒
■高校生インテリアデザインコンクール
●主催:星槎道都大学美術学部建築学科
●応募資格:令和2年4月現在、高等学校在籍の生徒(1 ~ 3 年)、および高等専門学校在籍の1 ~ 3 年の生徒
●主催:星槎道都大学美術学部デザイン学科
●応募資格:小学生から高校生、さらに予備校、専門学校、大学等に在籍するか、学生ではなくとも美術に関心のある方で、2020年9月30日時点で年齢が20歳以下
星槎道都大学美術学部さんはなんと3つやってます。
どんどんいきましょ。
■FASHION PRIZE
●主催:名古屋学芸大学 メディア造形学部ファッション造形学科
●主催:筑波大学芸術専門学群
2020年度は英語エッセイ、2021年度は日本語エッセイのコンテスト
■デジ絵コン 全国高校生塗り絵コンテスト
●主催:四国大学 生活科学部 生活科学科 デザインコース
●応募資格:日本国内の現役の高等学校(全日制、定時制、高専、通信制など)に属している個人、年齢や国籍は問いません。
■高校生デザインコンテスト
●愛知産業大学造形学部スマートデザイン学科
●応募資格:中部圏(富山、石川、福井、長野、岐阜、静岡、愛知、三重、滋賀)に所在する高校の生徒
●主催:福山大学 メディア・映像学科
■高校生デザイネージコンテスト
●主催:東京都市大学 メディア情報学部
■情報メディア作品コンテスト「Bunri Creative Award」
●主催:名古屋文理大学情報メディア学部
●応募資格:高校生
■デザインコンペ「わたしtoデザイン」
●主催:共立女子大学家政学部建築・デザイン学科
新しいところだと、
■SEIKA AWARD
●主催:京都精華大学
●応募資格:国内の高校生
京都精華さんは始めたばかりで、2020年で2回目です。
●主催:桑沢デザイン研究所
こちらは大学ではなく桑沢デザイン研究所のコンペだけど載せないと高橋さんに怒られるので。
こうやって見ていくと、やっぱりずいぶんコロナの影響で中止になってますね。
建築や3D系だと理工系も関係してくるので、これがすんごいあって。
手羽がざっと調べたくらいでこれくらいありました。
■ものつくり大学(技能工芸学部 建設学科)|高校生建設設計競技
●応募資格:原則として応募時に高等学校に在籍しているもの
■秋田県立大学|全国高校生建築提案コンテスト
●応募資格:高校生(高等専門学校の場合は在籍3年以下の学生)
■日本大学全国高等学校・建築設計競技
●主催:日本大学理工学部、生産工学部建築工学科、工学部建築学科、短期大学部建築・生活デザイン学科
●応募資格:2020年4月現在、高等学校在籍の生徒、高等専門学校に在籍する3年次生までの生徒
■国士舘大学理工学部理工学科建築学系|高校生建築アイデアコンテスト
●応募資格:全国の⾼等学校在籍⽣・⾼等専⾨学校 1〜3 年⽣
■日本工業大学|建築設計競技
●応募資格:原則として応募時に高等学校の建築科、または準ずる学科に在籍する者
■九州産業大学建築都市工学部|全国高等学校プロジェクトコンテスト
●応募資格 全国の高等学校(高等専門学校は除く)に在籍する生徒
■長崎総合科学大学 工学部工学科 建築学コース|全国高校生設計アイデアコンテスト
●応募資格:高校生(2020年度、高校在学の方)
■日本工業大学 |3D-CAD プロダクトデザインコンテスト
●応募資格:2020年10月時点で、高等学校(または高等専門学校の場合は1~3年生)の在校生のみで構成されたチーム、あるいは在校生
多すぎて途中で調べるのやめちゃったんで(笑)、興味のある高校生は自分で調べてみてね。
最近かなり増えたきてるのがソーシャルデザイン系やビジネス、起業系コンペです。
■秋田公立美術大学|高校生クリエイティブキャンプ 2020
●応募資格:高校生(高等学校に所属している生徒)
■大分大学|高校生なるほどアイデアコンテスト
●応募資格:高校生
■千葉商科大学|サービス創造大賞
●応募資格 : 全国の高校生、大学生
●応募資格:高校生以上の女性で、次の(1)、(2)どちらかに該当する方
(1)新たに起業をする意思のある方、今回のアイディアを実行する意思のある方
(2)すでに事業を営んでいる方でこれから新たな事業展開をする方、もしくは事業を開始して間もない方
「あ。女子大だと女性限定か」と気が付きました。
●応募資格:高校生(学年不問)
●応募資格:全国の高校生(高等学校、高等専門学校1年生から3年生まで、専修学校高等課程、特別支援学校高等部、中等教育学校等含む)で2020年4月時点で当該の高等学校に在籍
■静岡理工科大学|高校生「ものづくり・ことづくり」プランコンテスト
●応募資格:高校生(3年生以下の高等専門学校生も可)
●応募資格:高校生、高等専門学校1年~3年生
一方で最近終了した大学主催コンペもあります。
■尚美学園大学|高校生映像フェスティバル
■京都造形芸術大学・東北芸術工科大学|東アジア高校生国際公募展
この二つのように「終了します」と宣言されているといいのですが、「いつのまにかやってない」ってのも結構あるんです。
名称が変わったりして手羽が探せなかっただけかもしれないのだけど、
■佐賀大学|佐賀大学コンテンツデザインコンテスト
は2016年の第5回までしか見つからないし、
■玉川大学工学部 エンジニアリングデザイン学科|3Dプリンティングデザインコンペティション
■静岡文化芸術大学 文化・芸術研究センター|ユニバーサルデザイン絵本コンクール
この2つは去年は開催してるのは確認できてるんだけど、2020年がわからなくて。
ご存知の方教えてくださいませ。
【美大愛好家】 福岡県出身。武蔵野美術大学造形学部彫刻学科卒。 2003年より学生ブログサイト「ムサビコム」、2009年より「美大日記」を運営。2007年「ムサビ日記 -リアルな美大の日常を」を出版。三谷幸喜と浦沢直樹とみうらじゅんと羽海野チカとハイキュー!と合体変形ロボットとパシリムとムサビと美大が好きで、シャンプーはマシェリを20年愛用。理想の美大「手羽美術大学★」設立を目指し奮闘中。