【美大4年生必見】手羽の卒業制作35ヶ条その2「才能とお金と校正」

2020年1月10日(金)

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卒展出品経験と教務課時代の卒展担当経験、あちこちの美大卒展を見る趣味から、教育研究効果・美術的評価ではない視点の
「卒展ではこういう部分を気を付けるといいよ」
「卒業制作で陥りやすい点」

等テクニカルなアドバイスをまとめました。多分一番欲しているのは精神論ではなくこういう話なのかな、と。
ムサビ生向きな内容になってますが、他美大の方、また卒展以外でこれから展示を考えてる人、来年卒展の方にも参考になると思います。

これまでの話はこちら。
【美大4年生必見】手羽の卒業制作35ヶ条その1「卒業制作展は卒業記念制作展ではない」

準備編2

2.才能あるやつはある。自分と一緒にしない


  • 昨年度の名古屋芸術大学卒展風景 撮影:手羽イチロウ

芸術の世界の難しいところは、センスや才能のある人だとサクっといい作品が作れちゃう点です。そういう人がいるのも事実。
手羽が学生時代、ほとんど大学に来ない同級生が講評3日前に出てきてチャチャっと作ったものが、毎日夜遅くまで作業してきた自分よりもセンスいい作品を作ってね。「才能ってこういうことなんだなあ・・」と悟ったことがあります。
大学なので出席日数の方がポイント高いかもしれないけど、「あんたセンスないけど頑張ったからね」と憐れみを受けてる感覚が正直あったし、アウトプット勝負の世界で「あいつは学校に来てないんだから自分より点数が低いべきだ」なんて言えるわけがない。
センスのない自分は作業量・時間量か切り口かでそういう人に勝負するしかないんだな、と。
「才能がある人と自分を一緒にしちゃいけない」「才能は平等じゃない」ことを知るのも美大での学びかもしれません。


3.やっぱりお金って大事


  • 昨年度の武蔵野美術大学卒展風景 撮影:手羽イチロウ

外の人から必ず驚かれるのが、「通常課題も卒制も材料費は学生さん持ち」ということ。
課題で材料が配られることもありますが、基本的に材料や素材、道具は学生さんが自費で購入します。

で、いやらしい話ですが、最後はこれになっちゃうんですよね・・・。

安価なペラペラなベニヤ板はやっぱり安価なペラペラなベニヤ板でしかなく、お金があれば迷わず分厚いコンパネを使える。性能が良くなってもカラープリンタはどうやってもカラープリンタ出力でしかなく、印刷所にお願いした方が確実にいいものができる。拾ってきたものはセンスのいい使い方しないとやっぱり拾ってきたものにしか見えない。
これはほんと「お金次第」になってしまうんです。

ちなみに手羽は小学校の頃から溜めてた「お年玉貯金」を卒制の材料費で全部使い切って(40万ぐらいだったかな?)、更に親に借金しました(卒業してすべて返済しました)
同級生は鉄加工を外注したから150万円かかってたっけ。それなりの大きさの彫刻というか立体物はね・・・お金かかるんです・・・。


  • 昨年度の武蔵野美術大学卒展風景 撮影:手羽イチロウ

また、全展示者分のプロジェクターや大画面モニタが学内にはないので、基本的に映像機器類は自分で用意する覚悟をしといた方がいいです。人が見られる状態にするまでが作者の役目で、例えるなら彫刻学科や油絵学科の学生さんが「イメージは頭の中にあります。実物はありません」と言えないのと同じ。そういうことです。「あなたの作品はUSBメモリやDVDメディアですか?」で。
でも映像機器って1週間とかリースすると結構するんですよね・・。


お金に関しては、こういう考え方もあります。

突然舞い込んだ展覧会と違って、卒業制作は入学した時、つまり4年前に必ず通る道だとわかってます。
ひと月1万ずつ卒展貯金をしてれば40万ぐらいは確保できるはずだし、それが厳しいのであれば夏休み、春休み2回がっつり長期バイトをすればそれなりの金額をためることができるはず。
ムサビだと、4年生を対象とした校友会の「校友会奨学生」、いわゆる卒業制作援助制度ってものもあります*今年度の募集はもちろん終了してます。
校友会の卒展援助受けた人は結果的に優秀賞を取ってることが多く、「早い段階で卒展資金をどうするか気が付き、アンテナを張り、自分で情報を調べる」「10月にプレゼンできる状態にある」「お金を獲得してでも作りたい強い意志を持ってる」人は、そういう人だってことかもしれません。

資金確保のためにコンペに応募する手段だってあります。
マットアーティスト上杉裕世氏と『シン・ゴジラ』樋口監督が対談 - 「eAT2018 in KANAZAWA」Powered by TOHOKUSHINSHAレポート | AdverTimes(アドタイ) by 宣伝会議


渡米資金のために欽ちゃんの仮装大賞に応募して、見事グランプリ100万円をゲットしたムサビ油絵OB・上杉裕世さんはもはや伝説。

また、


  • 昨年度の東京造形大学卒展風景 撮影:手羽イチロウ

去年卒業した美大日記OBの東京造形大・スズキリくんは、伝統的な織物メーカーとコラボして寿司を立体的に表現したファブリックブランド「メゾン寿司」を学生時代に立ち上げ、それを卒展で展示してました。スズキリくんは学生時代からいろんな活動をしてて、学生さんなのに株式会社カラットの取締役をやってたし、卒業後は起業してます。
で、この屋台はギフトショー出店用に企業の方に作ってもらったそうで、今どきだとこういうパターンだって全然普通にあります。

つまり早めに「卒業制作」への意識が生まれてれば、せめて「こんな感じのもの作りたいなー。それっていくらぐらいするんだろ?」と気が付いていれば、お金に関しては対策が取れなくはないってこと。
逆に4年になって「卒業制作どうしよう」と考え出しても、取れる手段はかなり限られてきます。通常課題と違って卒業制作ですからね。あまり妥協はしたくないもの。・・・と現在卒制真っ最中の学生さんにこれを言っても「おせーよ!」と言われますね・・3年生以下の方へのメッセージってことで。
ムサビ生の春休みは長いです。長期間実家に帰って田舎の友達と遊びまわるのもいいけど、卒制でベニヤ板じゃなく分厚いコンパネを使いたくないですか?

ちなみにやったこともないのに安易に「クラウドファンディングすればいいじゃん」と言ってる人の言葉はあまり信用しないほうがいいですよ。描かれる夢や目標が共感できるものじゃないと、たんに「展覧会やるんでお金ほしい」ぐらいじゃ目標金額には多分達成しません。手段の一つとしてアリですが、メディアで言われてるほど簡単じゃないよ、と。


4.DMやチラシはよーく校正しよう


  • 昨年度のムサビ卒展各学科リーフレット

よく「記事のここが間違ってますよ」と指摘されたり、最近も理事長に出した書類が「2019年1月」になってた手羽がいうのもなんなんですが、自分のことは棚にあげて。

最近は自分で卒展のDMや名刺を作る学生さんが増えてて、自分で宣伝する意識があって素晴らしいんだけど、最後に自分以外の誰かに必ず校正してもらいましょう。

というのも、結構な確率で学生さんのDMやSNSでの発信は、日時や曜日が間違てることが多いんです。
ややこしいのは「年度」表記で、ムサビだと「今年度卒業予定者の展覧会」だから、2020(令和2)年1月に開催しても「2019(令和元)年度 卒業・修了制作展」という表記を使うんです。つまり、「2019年度卒展は2020年1月に開催」という表記になる、と。

1年に2回は必ず見かけるのが「exhibition」の綴り間違い。iが続いたり、hが余計だったり、間違えろってばかりの単語なんだけどね。
他に今まで見た綴り間違いで多いのは、Informationのrが抜けてるInfomationだったり、UniversityがUnivercityになってる2つです。
今年のタマビと桑沢の学園祭サイトも「Infomation」になってたし(今は修正されてます)、

こんな感じに・・・。

そしてこれは間違えだとは言い切れないんだけど、卒展の英語表記です。
ムサビ公式では「Graduation Exhibition」ではなく「degree show」を使っています。というのも海外の大学ではほぼdegree showなんですよ。ネイティブな人に聞くと「Graduation Exhibition」は「卒業記念の展示」ぐらいのニュアンスなんだそう。なのでムサビ生ならできるなら「degree show」を使ってほしいな、と。
というか、来てほしい相手が日本人メインなら、中途半端にかっこつけないで日本語でいいんじゃないかとは思ってますが。

あとは自分のグルーピング・所属を間違えることも、とってもとっても恥ずかしいこと。
その時だけの綴り間違いぐらいはみんな寛容になれますが、所属を間違えるって「4年間もいて、気が付かなかったの?!」なわけだし。
DMに書いた所属学科が「映像科」「油絵科」になってたりしてませんか?
ムサビにあるのは「映像学科」「油絵学科」なんだけど、この2学科の人はよく間違ってて、古いところだと、まさにこれがそうです・・・。
「油画科」と書いてる学生さんもよく見かけるけどそんな科はムサビにない(笑)
また、「生徒たちの卒業制作をご覧ください」と書いてあることがしばしばありますが、大学にいるのは「学生」であって「生徒」ではありません。時々先生たちも間違ってるけど(ぼそっ)
それと「卒業・終了制作展」と書いてた学生さんも過去何人かいました。終了しちゃダメ絶対。
 

ただ、大事な周年事業で大人が何人も何回もチェックしても間違えることはあるんで、学生さんは間違いをあんまり気にせずに情報発信した方がいいとは思います。


続く!
以上、このペースじゃ絶対にムサビ卒展前に終わらないことに気が付いた手羽がお送りいたしました。どうしよう・・。

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OTONA WRITER

手羽イチロウ / teba ichiro

【美大愛好家】 福岡県出身。武蔵野美術大学造形学部彫刻学科卒。 2003年より学生ブログサイト「ムサビコム」、2009年より「美大日記」を運営。2007年「ムサビ日記 -リアルな美大の日常を」を出版。三谷幸喜と浦沢直樹と西原理恵子とみうらじゅんと羽海野チカと銀魂と合体ロボットとパシリムとムサビと美大が好きで、シャンプーはマシェリを20年愛用。理想の美大「手羽美術大学★」設立を目指し日夜奮闘中