いっぱいいっぱいになっている時に美しく生きたいと思った『軽くなる生き方』
大学生のころ知り合いの人に「松浦弥太郎さんの本って読んだことある?」と紹介され、
本屋さんで出会った松浦弥太郎さんの本の数々。
記憶に鮮明に残っているのは、『軽くなる生き方』。きっとこのタイトルに、手がすっと伸びたということは、なにかにいっぱいいっぱいになっていたのだと思います。
実際に、この本1冊で軽くなったわけではないけれど、あぁ、この人の人生や考え方が素敵だなと思って惚れ込んだのでした。今思うと、何でもかんでも吸収しなきゃと躍起になって、毎日背伸びしながらひとつひとつをかみしめる余裕もなく毎日を過ごしていたからこそ、彼の「ていねいな生き方」が対照的に見えて、美しいなと思ったのだと思います。
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▼例えば他にこんな本!
『もし僕がいま25歳なら、こんな50のやりたいことがある。』
『松浦弥太郎の仕事術』
『暮らしのヒント集』
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10年弱勤めた『暮しの手帖』の編集長からクックパッドへの驚くべき転職
数多くの著書を出版しつつ、主には雑誌『暮しの手帖』の編集長を務めていた松浦さんですが、昨年には他の雑誌の表紙に名前が乗り驚かされました。
雑誌『BRUTUS』で「松浦弥太郎の男の一級品カタログ」という特集が組まれたのです。
私も、こだわってモノ選びをしている松浦さんの選んだ「一級品」が気になって、すぐに購入しました。
高級で長く使えるブランド品が紹介されるのだろうかとめくった1ページ目、そこに綴られていた松浦さんの言葉にとても刺激を受けたのでした。
「自分が探して見つけた一流を、
新しい一流と改めて」
(引用:BRUTUS 2014年9月1日号)
そんな松浦さんが、今年4月、『暮しの手帖』を卒業され、クックパッドに転職したというニュースが飛び込みました。クックパッドと言えば、スタートアップの印象も根強い料理レシピのコミュニティウェブサイト。どちらかというと、こだわった料理本ではなくユーザーの知恵が詰まった「気軽にサクッとレシピ」の印象が強く、松浦さんの「ていねい」な感じとはかけ離れている印象。
松浦さんファンの私としては、「クックパッドに転職して何をするのだろう?」疑問ありつつ、それ以上に「素敵になるんだろうな」という期待感を感じ楽しみに待っていました。
そしてはじまった、松浦弥太郎さん編集のウェブサイト『くらしのきほん』
みなさまへ
すてきと思うことは、
すべて基本のことだと思いました。
基本とは、何度も使えて、使うたびに楽しく、
使うほどに磨かれていくことです。
今日の暮らしのために。
そして未来の暮らしのために。
時代が過ぎても、決して古びない、
ほんとうに知りたい、価値のある基本を発信する、
衣食住、暮らしに必要な基本のアーカイブ。
それが「くらしのきほん」です。
あなたの暮らしはもっと楽しくなるのです。
(引用:https://kurashi-no-kihon.com/info/about)
数あるウェブメディア。
そのほとんどが、たくさんのコンテンツを、
飽きずに楽しんでもらうためにいろんなものを詰め込んでいる。
このPARTNERだってそうかもしれない。
だからこそ、ウェブでもこんなに「ていねい」なものを読めるのは、
ユーザーの私たちにとってちょっとした驚きがある。
丁寧に野菜を包丁で切る美しさ。
まな板をたたくトントンという音。
卵を菜箸で溶く音と混ざり合っていく絵。
Webの特性を生かし、綺麗な映像と写真と文章で見せる、
ひとつひとつの「くらしのきほん」は、
とてもシンプルで基本的なものだけど、
だからこそ美しい。
つい、長くなってしまいました。
ぜひ、サイトを覗いてみてください!
「くらしのきほん」
https://kurashi-no-kihon.com
編集者/メディエイター。美大での4年間は「アートと世の中を繋ぐ人になる」ことを目標に、フリーペーパーPARTNERを編集してみたり、展覧会THE SIXの運営をしてみたり、就活アート展『美ナビ展』の企画書をつくったりしてすごしました。現在チリ・サンチャゴ在住。ウェブメディアPARTNERの編集、記事執筆など。