7月19日(金)、またしてもムサビ市ヶ谷キャンパスへ。
まずは前日18日にオープンしたばかりのMUJIcom 武蔵野美術大学市ヶ谷キャンパスの様子をチェック。詳しくはこちら。
■【7/18OPEN!】MUJIcom 武蔵野美術大学市ヶ谷キャンパスに行ってきた
com Studioは端材や廃材を使ったワークショップなどをやる場所で、既に子供が遊んでた。
26日はこういうイベントもあります。
今日の目的地である7階へ上がりましょ。
隣の教室では大学院クリエイティブリーダーシップコースの学生さんが制作してました。
油絵学科の赤塚先生が指導してて、こういうがっつりファインアート系の授業もあるんです。通常の大学が「時代はアート思考だ!」と叫んでも、やってもクロッキーか鑑賞会ぐらいなんで、ここまでやれるのが美大の強み。
んで、何しに来たかというと、
■ソーシャルクリエイティブ・イニシアチブ「共創と学びの場」
だったのです。ソーシャルクリエイティブ・イニシアチブ・・・略称SCI・・・愛称ソークリについてはこちらをご覧ください。
■【MUJIcom 武蔵野美術大学市ヶ谷キャンパス】ソーシャルクリエイティブ・イニシアチブ「共創と学びの場」が開催されます
本日はそのレポートをお送りいたします。
ちなみに横に座ってた方が必死にメモや写真を撮ってたから、「もしかしたらあの方が有名なグットパッチの高野さんかもしれないなあ」と思いながら負けじと手羽も必死でメモってました。
第1部は若杉先生が進行役で、最初の若杉先生の爆笑プレゼンでは・・・すいません、最初は間に合わなかったので予想で書いてます(笑)・・「市ヶ谷キャンパスをベースに人・経済・学びの運動体をつくる」と多分語られ、そのまま1階店長の伊藤さんが経緯やコンセプトについて説明されました。
続いて良品計画の小山裕介さん(ムサビ工デOB)から「MUJIデザインチームのデザインと学び」という話。
良品計画は既に存在する世界の文化や習慣などから「無印良品らしさってなんだろう」を探す「Found MUJI(見出されたMUJI)」という活動や 「オブザベーション(観察)」という手法を取り入れ、生活者のリアルな暮らしを観察して商品開発につなげています。
例えば冷蔵庫にホワイトボード張ってメモしてるのを見つけ、「だったら表面がホワイトボードの冷蔵庫があればいいんじゃね?」と作ってみたり、換気扇をヒントにご存知壁掛式CDプレーヤーを作ったり。
そうそう。良品計画といえば、今年初めに光が丘にある
MUJIcom 光が丘ゆりの木商店街を見学してるんです(ようやくこの日のことが書ける)
恐らく「MUJIcom 武蔵野美術大学市ヶ谷キャンパス」を解釈する上で一番ヒントになるはず。
単に「売上」「ストレートなブランド向上」が目的であれば、もっと賑やかな駅前かオサレな高級住宅街にオサレな店舗を作ればいいだけですよね。光が丘は「団地にMUJIの店を出した」という簡単な話ではないんですよ。
詳しくはこちらをご覧ください。
■団地再生 | プロジェクトストーリー | 良品計画新卒採用サイト - 採用情報 - Muji
そう、地域のコミュニティの活性化を目指す「光が丘団地プロジェクト」の一環なんです。
若い人には「無印良品」といえば「安くておしゃれな雑貨を売ってる会社」というイメージの人も多いかもしれませんが、手羽が今でも「良品計画」と聞いて真っ先に思い浮かぶのは、学生時代に授業で教わった「うどん」なんです。
うどんの製造で干して乾燥させる工程があり、吊るして曲がった部分はこれまで廃棄されてました。それを見つけ「味は同じなのにもったいない」と集めて販売した、という有名な話。わけあって安い。
ちなみに先日のトークでは長澤学長は「割れ椎茸」を事例に使ってましたが、手羽はうどん派です(笑)
手羽にとって良品計画さんは「そういう発想を原点にしてる会社」という認識なので、光が丘団地プロジェクトを始めこれから紹介する事例も何ら抵抗はないんだけど、それを知らないと「ムサビは話題性とキャンパスをオサレにするためにMUJIを入れたんだろ!」「最近の無印は社会貢献とか言ってるw」ぐらいにしか理解できないかもしれません。
そうそう。以前はこういう活動を単語で説明するのは難しかったけど、今なら「ソーシャルデザイン」である程度説明ついちゃいますね。
続いて、ATELIER MUJIシニアキュレーター・鈴木潤子さんから「MUJIの未来を思う」。
鈴木さんはオープニング企画展覧会「ここから始めよう、みんなの新たな学び舎」のディレクションをされていて、
この企画展の裏話やATELIER MUJIの話など。
通常展覧会は2年前ぐらいから取り組みますが(ムサビもそうです・・・)、今回依頼されたのが5月連休明けで(すいません・・)、時間もお金もなく(本当にすいません・・)、詳細図面が確定してなかったり(誠に申し訳ございません・・)、さらに消防法などの制限(何も言えません・・・)もあったけど、「デザイン思考には限りがない」をモットーにそれらの制約の逆発想でひらめいたアイデアもあった、とか。
そう言っていただけると救われます・・。
第1部最後は良品計画ソーシャルグッド事業部・生明さんによる「MUJIソーシャルグッドチームの活動と学び」。
もっとお店にいい野菜を置いて紹介したいと思っても、農地法や「農家の減少(新宿には農家がいない)」「農家の平均年齢が67歳」等から、生産数を増やすことができない。そして限界集落の問題。
良品計画さんは、様々な主体と協働した事業を通じて地域を活性化する活動をされていて、千葉県の棚田保全「鴨川里山トラスト」や千葉県南房総市シラハマ校舎での「小屋のあるくらしを提案するプロジェクト(廃校跡地の活用)」など、地域創生活動も活発にされてるんです。
最近だと、千葉県大多喜町旧老川小学校校舎にコワーキングスペースを開設してますね。これらも利益最優先であれば絶対にやらないわけで。
生明さんの「もともと『百姓』の語源は『百の仕事をする人』という意味だった。人間、日本人には百種類の仕事をやれる潜在的能力があるはずなのに、どんどん仕事がパーツ化してる。グローバル化による競争の激化や少子高齢化、景気の停滞などで市場のシュリンクが進み、縮む日本の中では、一人がいくつも仕事をする時代になる」という言葉が印象的でした。
これはバックキャスティングやチャレンジ精神の必要性、副業の在り方や「一つのことしかやらない・やれないのはまずい」という解釈にも取れます。
第2部は山崎先生が進行役になって、「市ヶ谷とのつながり」をテーマに今後ムサビと一緒に活動をされる方々からプレゼン。
市ヶ谷に5000人とも7000人とも言われてる社員がいらっしゃる大日本印刷株式会社(DNP)・松川雅⼀さんからDNPさんが取り組んでいるIGUDの話。
そして法政大学システムデザイン学科の安積伸先生からヒューマニティデザインラボの取り組み紹介。
最後は山崎先生がまとめ。あ、山崎先生といえば、このリリースを。
■武蔵野美術大学とGVA TECH株式会社で 「みんなのための法律とデザイン」の共同研究を開始
ソークリの次のイベントは9月27日(金)です!お楽しみに!
そして山崎先生から重大発表がありました。
MUJIcom 武蔵野美術大学市ヶ谷キャンパスの話で埋もれちゃってる・・というか、ここ数日のムサビはリリースを出し過ぎというか情報が渋滞してる感があるんだけど(笑)・・・社会問題の解決や新たな人類価値の創出を目的とし、ソーシャルクリエイティブ研究所が立ち上ったのです!!
■武蔵野美術大学が市ヶ谷キャンパスに「ソーシャルクリエイティブ研究所」を設立
英語名称はMusashino Art University Research Center of Social Creative、略称RCSC、愛称は・・・「ソークリ研」でいいのかな?まだ決まってません(笑)
研究所では、激しい環境の変化や未来が予測しづらい現代が抱える課題を企業、地域、行政、教育の壁を越え、領域横断的に取り組み、ビジョンとプロトタイプを研究提案していきます。
そのオープニング企画として、この夏4つのイベントが開催されうのです!!ドーン!
■ソーシャルクリエイティブ研究所発足記念イベント 「日本のビジョンをデザインする」
●日時:8月23日 (金)18:30 - 21:00
●会場:武蔵野美術大学市ケ谷キャンパス
●協力:ソーシャルクリエイティブ・イニシアティブ、 SDN Japan、X デザインフォーラム、日本デザイン学会PD 部会
●料金:一般3000円、学生無料(要事前申込)
●プログラム
18:30-19:30
・「ソーシャルクリエイティブとは」井口博美(武蔵野美術大学)
・「日本のデザイン政策と未来(仮)」菊地拓哉(経済産業省)
・「未来のためのクリエイティブ(仮)」左右田智美(エクスペリエンスデザイナー)
・「日本のソーシャルイノベーション(仮)」長谷川敦士(武蔵野美術大学)
19:30-20:10
・「日本のビジョンのデザインアプローチ」山﨑和彦(武蔵野美術大学)
・「日本のビジョンをデザインする」ワークショップの作品発表
20:10-21:00
・交流会
■ソーシャルクリエイティブ研究所発足記念「日本のビジョンをデザインするワークショップ」
●日時:8月23日 (金) 10:00 - 21:00
●会場:武蔵野美術大学市ヶ谷キャンパス
●募集(先着順):一般15名、学生15名(高校生または大学生/大学院生)
●料金:一般10000円、学生1500円
●ワークショッププログラム:
10:00-12:00 講義とワークショップ
・「未来のためのビジョン」山﨑和彦(武蔵野美術大学)
・「未来のためのクリエイティブ」左右田智美(エクスペリエンスデザイナー)
・ワークショップ(地域、思い出、未来、表現)
13:00-15:00
・ワークショップ(ビジョン、体験、表現)
15:10-17:30
・ワークショップ(ストリーを考慮して、発表に向けて作品を仕上げる)
18:30-21:00
・発表イベント
・ワークショップの作品発表
・交流会
■ソーシャルクリエイティブ研究所発足記念イベント「ソーシャルクリエイティブのために「ありえない」を生み出すアート思考」
●日時:2019年8月28日 (水) 18:00 - 21:00
●会場:武蔵野美術大学市ケ谷キャンパス
●協力:ソーシャルクリエイティブ・イニシアティブ、 SDN Japan、X デザインフォーラム、日本デザイン学会PD 部会、株式会社HEART CATCH
●プログラム:
18:30-19:30
・「ソーシャルクリエイティブとは」井口博美(武蔵野美術大学)
・「ソーシャルクリエイティブとアート」山崎和彦(武蔵野美術大学)
・「Art Thinking Improbable Workshopとは」西村真里子( HEART CATCH)
19:30-20:00
・アート思考ワークショップの作品発表
20:00-21:00
・作品鑑賞と交流会
■ソーシャルクリエイティブ研究所発足記念「ソーシャルクリエイティブのために「ありえない」を生み出すアート思考ワークショップ」
●日時:8 月26 日(月)27 日(火)28 日(水)10:00-18:00(28 日(水)は21:00)
●会場:武蔵野美術大学市ケ谷キャンパス
●協力:ソーシャルクリエイティブ・イニシアティブ、 SDN Japan、X デザインフォーラム、日本デザイン学会PD 部会、株式会社HEART CATCH
●募集:一般10名(3日間参加できる人)、学生10名(3日間参加できる高校生または大学生/大学院生)
●料金:一般100,000円|学生3,000円(要事前申込)
●プログラム:
8月26 日(月)10:00-18:00
・社会とアートとデザイン(山﨑和彦)
・アート思考を学ぶ時代背景(西村真里子)
・講義・ワークショップ(貢献、逸脱)
8月27 日(火)10:00-18:00
・講義・ワークショップ(破壊、漂流)
8月28 日(水)10:00- 17:30
・講義・ワークショップ(対話・展示)
8月28 日(水)18:30-21:00 発表イベント(開場18:00)
・発表イベント
・アート思考ワークショップの作品発表
・交流会
あ、研究所ではないけど8月9日にはこういうイベントもあります。
■クリエイティブイノベーション高校生フォーラム
■クリエイティブイノベーション・オープンラボ(市ヶ谷キャンパス進学相談会)
高校生とクリエイティブイノベーション学科の学生がクリエイティブという視点で交流を深めるイベントです。高校生であれば、どなたでも参加可能っす。
6階で交流会。こういう場ではこれが一番大事だったりします。
今回は人が多くて6階だったけど、いずれ1階でやる予定です。
以上、まだまだこれからで、ムサビ市ヶ谷での活動にしばらく注目しててください、の手羽がお送りいたしました。
あ、六本木のデザイン・ラウンジも忘れないでね。こっちでもいろいろやってます(汗)
【美大愛好家】 福岡県出身。武蔵野美術大学造形学部彫刻学科卒。 2003年より学生ブログサイト「ムサビコム」、2009年より「美大日記」を運営。2007年「ムサビ日記 -リアルな美大の日常を」を出版。三谷幸喜と浦沢直樹とみうらじゅんと羽海野チカとハイキュー!と合体変形ロボットとパシリムとムサビと美大が好きで、シャンプーはマシェリを20年愛用。理想の美大「手羽美術大学★」設立を目指し奮闘中。