僕らは数多くのものに出会っているからこそ、見たことないものをつくりたい。ーアーティストユニット・magma

海外のアートフェアやKENPOKU ART2016 茨城県北芸術祭への出品を経て、2017年も注目を集めるアーティストmagma。今月2月10日からはコワーキングスペース・midoriso永田町での展示、3月3日からはギャラリー・VOILLDでの展示が行われる。二人の美大での出会いから今の作品に至るまでどんな道があったのだろう。

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武蔵美の同級生であるmagmaが結成されたのは在学中3年生のちょうど卒業制作が始まる少し前。お互い2浪で入学した同士でもある。
武蔵美に入学してみたら、まわりは自分たちよりも若い現役生だらけだった。

宮澤「若いものには馴染めん、って仲良くなったんだよね。」
杉山「なんか、スカート履いてるやつとかいたね。」

一緒に何か作るようになったのは2年生の芸術祭の頃。

杉山「BOMBERSっていう5人組で、ミニ四駆をリバイバルするユニットを組んだんです。今の原点みたいなところがある。」
宮澤「グッズを作りたい!っていう欲がそこからでてきました。タミヤのロゴを真似てステッカーを作ったりして。」

3年生の時に大学の近くにアトリエを借り、それからは大学とアトリエの往復の日々が始まった。当時の作風を振り返る。

宮澤「初期は女性向けのお店に関わらせていただくことが多くて、自分たちがオーダーに応えていくところもあって。もっと、誰でもかわいいっていうような色や素材を使ってた。」
杉山「今は本当に自分たちが好きな作品を作りたいって」

確かに最近のmagmaの作品—例えばKENPOKUに出品した作品は、アンティークの木製椅子を組み合わせた家具や、木肌がむきだしになった時計やスピーカーを組み合わせた作品群からなる「WOODSTOCK」や、木材から彫りおこした小学校の校長先生を思わせる「GREAT TEACHER」を見てみても、ネオンカラーの可愛らしくポップな色合いから一歩垢抜けて、職人の域に足を踏み入れたような印象すらある。




宮澤「例えばこの『WOOD STOCK』に使われてるスピーカーも、パーツを組み合わせて作ることはできるかもしれないけれどそれだと自分の形になってしまう。誰かが作ったものの形を編集して再構成することを大事にしているんです。このスピーカーは、最近買った最新のBLUE TOOTHのスピーカーより全然音が良くて。イチから作るより、こういうできている完成しているものの物量や迫力から学ぶことが最近多いんです。多分、普通の人はこういうものは買わないですよね。壊れてるし、大きいし、なんか昭和っぽいし、今じゃありえないデザイン。でもそこから教えてもらうことがたくさんあるんです。」




杉山「この校長先生をモチーフにした作品は、小学校の校長先生をモチーフにして作っています。先生の話、長いなーって思ったのを思い出しながら。目のパーツなんかは、ちょうどぴったりなものがあってそれを使っています。あとで思い出し笑いができるような作品になればなって。」


商品として売れるものが、今流行っているものだとしたら、その先に行きたい




杉山「やっぱり、誰も真似できない人になりたいじゃないですか。素材になるものを集め続けることで、誰も真似できなくなっていくと思うんです。」
宮澤「とてつもなくでかいものも作ってみたい。街中の待ち合わせ場所にある銅像みたいに、ずっと展示されるものっていいなぁって。それって永久展示だなって。」





宮澤「きっと、アーティストや何か作ろうというひとは、誰もやらなかったことに敬意を抱くと思う。それって単純なことだけど、なかなか難しいことなんです。今自分がやろうとしてるのは、宇宙人が作ったような作品を作ること。でもそれって、見たことないし、想像もつかないんです。僕らは数多くのものに出会っているからこそ、見たことないものを作りたい。」
杉山「商品として売れるものが、今流行ってるものだとしたら、その先に行きたいんです。」

(執筆・写真/ 出川 光)


◆展示開催情報
「magma archives in Midoriso 永田町」
magmaの代表的な過去作品の中からさまざまな作品をmidoriso永田町に展示。

会期:2017年2月11日(土)~2月26日(日) 10:00-19:00
※2月24日(金)にはMidori.so 永田町のオープニングパーティー(17:00-21:00) があり、magmaも在廊します。

場所:〒102-0093
東京都千代田区平河町2-5-3 Nagatacho GRID6F(5F)
Midori.so 永田町
▼半蔵門線・南北線・有楽町線 「永田町駅」
4番、9番b出口より徒歩2分
▼「赤坂見附駅」 7番出口より徒歩5分
「麹町駅」 1番出口より徒歩7分
▼詳しいアクセス
https://grid.tokyo.jp/index.html#

詳細情報:
https://www.facebook.com/events/386145625085559/392044481162340/?notif_t=like¬if_id=1487046498402475

「magma‘STOP THE TIME’ 」

会期:2017 年 3 月 3 日 ( 金 ) ~ 3 月 31 日 ( 金 )
開廊時間:水ー金 12:00~20:00、土日 12:00~18:00
※月・火・祝日休廊

・オープニングレセプション:3 月 3 日 ( 金 ) 19:00~22:00 アーティストが在廊致します。

場所:VOILLD(ボイルド)
〒153-0042 東京都目黒区青葉台 3-18-10 カーサ青葉台 B1F

▼アクセス:東京メトロ日比谷線・東急東横線「中目黒駅」出口より徒歩 12 分、 東急田園都市線「池尻大橋駅」東口より徒歩 8 分

公式サイト:http://www.voilld.com/

◆magma
杉山純と宮澤謙一によるアーティストユニット。2008年、東京にstudio magmaを構える。セルフワークでは、キネティックアート・オリジナルプロダクツの制作を主とし、クライアントワークでは、ムービングディスプレイや什器・舞台美術(ギミックワーク)・アナログロボットの制作などを主に活動中。
公式サイト:http://magma-web.jp/

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OTONA WRITER

出川 光 / Degawa Koh

現PARTNER編集長。2010年武蔵美卒。専攻は写真。新卒でリクルートに入社、営業・ディレクターを経て、クラウドファンディングCAMPFIREを立ち上げるため転職。5年間CAMPFIREでチーフキュレーターを務め2015年に独立。カメラマン、クラウドファンディングコンサルタントにを経て現職。