何故政治家がアートプロジェクトを運営するのか?
松葉:「Outsider Architect」の第3回は八王子市議会議員でNPO法人 AKITEN の代表を務めます 及川賢一 さんにお話を伺っていきたいと思います。まずは簡単な自己紹介をお願い出来ますか。
及川:八王子市議会議員をしながらアートプロジェクトを運営するNPO法人AKITENの代表をしています。大学時代はジャーナリズム論を学びジャーナリストに憧れていたのですが、次第に観察者として社会問題を解決するよりも、プレイヤーとして解決したいという思いが強くなりました。その後は経営コンサルタントとしてプロジェクトマネジメントの経験を積み、現在は政治家やNPO法人といった手段を通じて地域活性化に関わっています。
松葉:市議会議員でありながらAKITENの活動を通じてアートプロジェクトを運営しているというのは全国でも類を見ないのではないかと思います。しかも、近年その活動が認められ 「まちづくり法人表彰」国土交通大臣賞 や 日本都市計画家協会「優秀まちづくり賞」など様々な賞を受賞されていますね。今から5~6年ほど前に八王子駅の空きテナントのワンフロアで友人・知人のアーティストを集めての期間限定のアートギャラリーを始めたところから、今や日本国内のまちづくりのお手本のような活動にまでなってしまったわけですが、元々何故アートプロジェクトを運営しようと思ったのでしょうか?
及川:市議会議員をしながらアートプロジェクトをしているのは珍しいとよく言われますが、自分としてはすごく自然なことでして、昨今では全国で文化芸術振興を目的とするだけではなく、地域活性化の手段としてアートプロジェクトが数多くおこなわれています。市民と一緒に社会問題を解決する場合、問題解決に向けたアクションを促すためには、まずその問題を地域で解決すべき問題として認識してもらう必要があります。人に気付きを与えるという点においてはアートが持つ力はとても大きく、政治家がマイクを持って街頭で訴えるよりも、アートティストが感覚に訴える方が人々のモチベーションを喚促しやすい。しかしアートは問題解決の手段とはならないため、最終的には政策などの形に変えて行政と一緒に解決していく必要があります。そのためアートプロジェクトで気付きを与え、それを政策として行政に繋げていくというのは、すごく自然な流れです。
松葉:一概には言えませんが、アートやアーティストというのは元々反体制側のスタンスをとることの方が多く、政治とは相対するスタンスだったのだと思います。ただ、近年主流となりつつある芸術祭やアートプロジェクトというものは、どちらかというと体制に寄り添う形でうまくやって行こうという傾向ですよね。これはアートやアーティストが狂犬から飼いならされた番犬になって来たとも言えなくはないですが、一方でうまく体制側を使いこなしているとも言えるとも思います。またアートに限らず音楽や演劇、それに建築もですが、かつては特権階級のものであったものが近代化とともに徐々に大衆にまで広がってきているということもあると思います。アートの民主化とでも言えるのでしょうか。日本においては未だにアートは美術館で鑑賞するものという認識が根強いとは思いますが、そこに芸術祭やアートプロジェクトも根付きつつあるのかなと思います。ただ、相変わらずアートを購入するという文化は根付かないですがね。ちなみに僕はアートコレクターとして将来自身の美術館をつくることを目標の一つとしており、最近は自身のコレクション展を外苑前のギャラリーで開催しました。いずれにしても政治家がアートプロジェクトを運営しているというのは、非常に現代的な事なのかなと思ってしまいます。僕自身が建築の設計をやっていることもあり、既存のルールや仕組みをうまく活用した上で自分のやりたい事を実現していくというスタンスの方がしっくりくるというのもあるのですが。
及川:そうですね。体制とか反体制とか常に決まったスタンスでいる必要はなくて、行政であれ、体制であれ、自分のやりたいことや自分たちが目指したい社会のために協力してくれるパートナーがいるのであれば、互いに寄り添ってうまくやっていった方が良いと思っています。
アートの力で空きテナントをポジティブな場所へ
松葉:AKITENの活動についてお聞かせいただけますか。
及川:AKITENは八王子駅周辺の空きテナントを使って地域の文化や魅力を発信していくことを目的とした活動です。アートギャラリーの他、産業、文化、歴史など、地域の独自性を持ったコンテンツを空きテナントに持ち込み、アート、デザインの力でそれらを市内外に広めるプロジェクトを八王子で展開しています。それらの活動には、空きテナントがあっても商店街が活気を失わないように人を集められるという効果だけではなく、大家さんの協力のもと家賃負担を減らして自由に地域の独自性を持った空間を作ることができるという効果があります。
松葉:駅前に空きテナントがあるというと一般的にはネガティブなイメージになってしまうと思いますが、一方でそれを公開空地のような場所と位置づけると急にポジティブな場所になりますね。空きテナントの価値を転換させるようことによって、まちの印象も大きく変わってくるのだと思います。同時にAKITENのコンテンツは駅前でシャッター商店街になってしまっている地方都市にも適用できますよね。
及川:国土交通大臣賞という大きな賞を頂いたこともあって、八王子以外の都市から相談を受けることや、取材を受けることが増えてきました。松葉さんが言うように、AKITENのコンテンツはどこの都市でも活用できる汎用性の高い取り組みなので、様々な都市のまちづくりにおいてマイナスイメージの強い空きテナントの存在をポジティブに捉え、アートの力を使って空きテナントの有用性について気づきを街にもたらすことができればと思っています。また、八王子では食をテーマにした FARMARTというファーマーズマーケットを空きテナントや空き家、空き地を使って開催してきました。これは非常に評判の良いイベントで毎回1000人近いお客さんが来場してくれるのですが、FARMARTでは、八王子に住んだらこんなに素敵な食生活が送れるという、八王子ならではのライフスタイルを提案していければと思っています。
松葉:八王子ならではのライフスタイルとはどんなものなのでしょうか?というのも、建築の設計では地域特性というものを意識しない訳にはいかないと、最近強く思うようになってきました。気候や風土といったものを建物形態に落とし込むという事は以前からやられていたと思うのですが、それだけでは不十分なような気がしています。建物の話だけでなく、食や文化、産業など人の生活を取り巻く様々な要素をトータルでコーディネートしていくという事が求められて来ている気がします。最近レストランのデザインをさせていただく機会が増えたのですが、企画から開店までのプロセスを間近で見ているとそれを強く感じます。例えば広尾に2017年にオープンした生井祐介さんがオーナーシェフを務める Ode(ミシュランガイド東京2019一ツ星獲得店)というフレンチレストランの内装は基本的に全てグレーで統一しているのですが、驚くことにシグネチャーディッシュもグレーなのです。お皿だけでなく料理そのものもグレー。普通だったら美味しそうに見えないけど、不思議なことに生井さんが料理すると美味しそうに見える。もちろん、ただ単に全てグレーにしましたと訳ではなく、生井さんの料理・食材、食器、空間といった要素に対する理念が集約され一皿で体現されていると思います。まさに総合芸術ですね。それと同じように何か根底に理念があって、その上でトータルにコーティネートされていないと大量に物や情報が溢れている時代にはすぐに見透かされてしまいます。当然そこには新しさも無くてはならないといけませんが、地域や物事の特性を無視してニュートラルなものを構築してしまうのは違うのではないかと思っています。
及川:私が提案していきたい八王子ならではのライフスタイルというのは、すでに八王子にあるものや、八王子だからこそ始められるものを日々の生活の中に取り込み、市民の暮らしを豊かにしていくことです。八王子は市域が広く、都心部には無い豊かな自然と、地方には無い市街地があることが、強みの街です。裏を返せば、都心部ほどではない市街地と、地方ほどではない自然を持った、目立った強みのない街という見方もできるのですが、色々なものがあるというのは、それだけ人々の多様性を享受できるまちであると考えています。まちの中に色々なものがあるということは、それだけ生活の選択肢が多いということです。その選択肢の数が増えれば増えるほど、市民一人一人が自分らしい生活を送れるようになっていきます。また選択肢の数が増えれば、選択肢の組み合わせの数も増えていきます。選択肢の組み合わせの中から、また新しい選択肢が生まれていく。八王子だからこそ、色々なことにチャレンジできて、そのチャレンジの中から新しいモノやコトが生まれていったらいいなと考えていて、流行りの言葉で言えば、ダイバーシティとクリエイティビティという言葉に置き換えられるんだと思いますが、その両方をまちづくりに活かしていくのに、八王子はやりやすい都市だと思っています。市内の産業を生活の中に取り込んでいくことや、既存の産業と産業の組み合わせの中で新しいサービスを作っていくということには、すでにいくつか取り組んできていて、AKITENのメンバーに加えて、多摩地域の様々な事業者やクリエイター達と連携して、繊維業や林業、農業などに関するプロジェクトも実施しています。
例えば、地産地消という言葉は農業の中で良く使われる言葉ですが、繊維についても地産地消は可能であると考えていて、高い技術を持った繊維業者が地元にあることで、八王子に住んでいれば良い繊維が手に入り、その繊維によって生活を豊かにしていくことができると思い、繊維を活かした取り組みを進めています。また豊かな森林があることを活かした森林学習・体験ツアーや、林業と繊維業を繋いだプロダクトの生産、都心からの交通の便を活かしたアグリツーリズムなども、取り組み始めたところなので、これからもAKITENを通じて出会った様々なクリエイター達とともに、八王子ならではの多様性を活かして、八王子ならではのライフスタイルを提案してければと思います。
松葉:なるほどそれは良いですね。ただ、各種産業とのコラボレーションということを行っていくのであれば単発のポップアップのようなものだけでなく、経済活動として継続的に利益を生み出していかないと定着はしていかないと思います。またライフスタイルに関しても同様で単発の企画の繰り返しだとマンションディベロッパーや地域情報誌がやりそうな、耳触りが良いけど薄っぺらいものになってしまうと思います。やはりきちんと地域性というものを掘り下げた上でないといけませんよね。ただ一括りで八王子と言っても範囲も広く地域特性も異なりますので一言で言い表すのは難しいという側面もあるのかもしれません。まず手始めにどこかエリアを限定して、例えばAKITENが拠点を置いている西八王子駅界隈でも良いのかもしれませんが、きちんとその地域を掘り下げ、その上で一から地域性にあったビジョン提示し活動していってみても良いのかなと思います。ちなみに八王子だからイコール繊維ネタという話をたまに聞きますが、個人的にはやや短絡的だと思っています。もちろんかつて繊維産業で栄えてきた歴史があるのでわからなくもないのですが、過去は過去で、現在は現在、未来は未来なわけです。そして客観的に見て今の八王子の基幹産業が繊維でないことは明白ですよね。であれば過去は過去として置いておいて、これからの未来をどうするのかという方が重要です。
もしそれでも繊維産業の街だと言い本気でお金を稼いでいく気があるのであれば、例えば合成クモ糸繊維を開発したスパイバーのように世界中から注目され投資対象になるような開発をし、産業を起こさないといけないと思います。個人レベルの理念の話は別ですが、産業と言うのであればやはりお金が集まり稼がないと無意味です。これは50~100年スパンで街のことを考えていく際にも非常に重要でして、まずは将来有望な産業・企業があって、そこに人が集まり経済活動が起こらないといけないとのかなと思います。最近やや低調気味ですが、zozoが幕張にあるのはとてもよいことだと思っています。というのも、東京都心部といった特殊なエリアは別ですが、基本的に大都市を除いた地方都市の場合、外部の人間が地域・街に投資するようなことはほぼ無いのではないかと思います。ただ単に儲けたい人や縁もゆかりもない人が投資する訳ないですからね。ただ投資額が少ないとやはり地域経済は活性かしない。となると、地域に根ざした産業・企業がきちんと利益をあげて街に投資していかないといけないのかなと思います。当たり前ですがお金がきちんと循環していない場所に多くの人は集まりませんし、そうでないと優秀な人材も集まってこない。だから本当に街のことを考えるのであればまず最初に優秀なスタートアップを誘致したりして、それを育てていけるような環境づくりから始めないといけないのかなと思っています。これからは惰性では生きられなくなってくると思いますので、いずれにしても優秀な人材確保できないとまずいですよね。及川さんには広い視野と見地で八王子の方向性を示し実現していけるような政治家になってもらわないと困りますし、それができる人物だと思っておりますので期待しております。
社会のコンテクストの中に自分を位置づけていく
松葉:及川さんは政治家として様々なビジョンをお持ちだと思います。同時に政治家として市民に対してはその内容をわかりやすい形で示す必要があると思います。ここでは特に文化事業についてお聞きしたいのですが、どのようなことをお考えでしょうか?
及川:八王子市は美大が2つある一方で、まち自体はあまりアートやデザインに関する活動が盛んではないと思っています。そもそも東京都の多摩地区には文化芸術の拠点となるような施設があまり多くなく、国も都も文化芸術施設を置いていないので、そういった核となる施設がない中で、どうすればそれが盛んになるのかというのは、難しい部分もありますが、アートやデザインの活動によってまちづくりをしていくというのが、1つのきっかけになると考えています。最近はAKITENの活動自体も、文化芸術活動というよりも、まちづくりの活動に偏っているのですが、アーティストやデザイナー達の取り組みとまちづくりはとても相性が良いと言えます。先にも述べたように、アーティストはまちの魅力や課題を発見し、提示し、気付かせることに優れていて、彼らがまちの魅力や課題を提示し、それをまちの人々のまちづくり活動に繋げていく。そして、デザインによって、そのまちづくりの活動を彩り、より魅力的に見せていく。クリエイティブという言葉は、アートやデザインに関する活動だけではなく、まちの人々の活動もクリエイティブであって、まちのクリエイティビティというのは、その両方を含めるものだと考えています。地域の魅力や課題を見つけ、魅力を使って課題を解決していくために、アーティストとデザイナーと地域の人々が一緒になって取り組んでいくことで、相互理解が進み、文化・芸術に対する関心も高まっていくと思いますし、自身が間に入ることで、そういった事例を増やしていければと思います。
松葉:人口58万人の都市に相応しい文化芸術施設が八王子には無いのは残念ですね。個人的には金沢21世紀美術館のような施設がJR八王子駅から徒歩圏内に出来たら良いなと思っています。先日も金沢に用事があり滞在していて朝散歩のついでに21世紀美術館に立ち寄ったのですが、開館時間の9時前から人が大勢いるのを見て非常に驚きました。もちろん、展示作品や美術館の建物自体が素晴らしいというのもあるのですが、多分アートやデザインというものが地域にきちんと根付いているんじゃないかという気がしました。金沢の場合21世紀美術館だけでなく今年の夏には谷口吉郎・吉生記念金沢建築館もオープンしますし、鈴木大拙館も素晴らしい。何が言いたいかと言うと金沢の場合コンテンツはもとより建築も素晴らしい。多分これは人口が多いからできるとか、予算規模が大きいからとかいう問題ではなく街そのもの文化レベルの話なのだと思います。まあ、加賀百万石のお膝元ですのでかつては江戸や京都の次に文化レベルが高かったのかもしれませんので、そもそも八王子とはバックグラウンドが全くことなりますが。ただ過去の歴史や培ってきた文化は変えることはできませんが、未来のあり方についてはいかようにも描けると思いますし力量次第では実現も可能です。
及川:八王子は学生が多い学園都市でもありますし、教育機関ともうまく連携して学生の力をまちづくりに活かしていきたいと考えています。学生の力を借りたまちづくりというのは、よく言われることですが、社会や地域との接点のない学生たちと一緒にまちづくりを進めていくのは簡単なことではありません。実際に取り組んでみて、改めて重要だと感じたのでは、社会や地域と学生の間に入るコーディネーターの存在であり、そのコーディネーターを務めるには、かなりの覚悟と能力が求められるということです。ただ色々と苦労はしながらも、これまでに多摩美術大学や東京造形大学をはじめとした市内の学生と連携したプロジェクトをいくつか実施してきて、自分たちが関わったプロジェクトをきっかけに八王子の地域や商店街と関わり、そのまま八王子に残ってくれる学生が出てきてくれたのはとても嬉しく思っています。この対談を読んでくれている学生さん達に伝えたいこととしては、自分と社会のつながりを強く意識して欲しいということです。この国で生活している以上、多かれ少なかれ自分の生活は必ず社会と関係してきます。市場規模を見ても日本は諸外国に比べてアートやデザインに対する関心が低い国です。けれど、その関心の低さをただ嘆くのではなく、また関心を持たない人に無関心になるのでもなく、どうやったら自分や自分の作品に対して関心を持たせることができるのか?ということを考えてほしいと思います。
松葉:正直、物事に関心を持っていない人や価値観の異なる人に、自分自身や作品を理解してもらうという事は難しいのだと思います。ただ、そういう人達に理解をされていかないと世界が広がっていかないという側面もあります。もちろん全ての人間に理解・賞賛される必要は無いと思います。むしろ賛否両論が起らない物事の方が問題であり、万人から賞賛されるというのは段階としてそんなに凄い事では無いのかも知れないと個人的には思っています。ただ、いずれにしても自分だけの殻に閉じこもっているだけでは世界は広がっていきません。内にこもり内省的であり続ける事で得られる事もあると思いますが、それは選択の問題でありまずは両方の選択肢を持つべきだと思います。
また近年は大企業の経営陣にクリエイターが参画するなど、クリエイターを取り巻く環境や求められる能力や役割にも変化が出てきています。わかりやすい例としてはワイデン アンド ケネディの共同経営者だったジョン・ジェイは現在ユニクロを運営するファーストリテイリングの経営陣の一員です。また特定の企業に参画してはいないと思いますが、佐藤可士和さんはクリエイティブの見地から企業や企業経営者にとって必要な意見が言えるからこそ必要とされ多くの仕事をされているのだと思います。逆に言うとロゴやポスターのデザインが上手だという理由では求められ時代ではありません。その辺りは比較的早い段階でAIに取って替わられるでしょうし。まあ、この辺りは建築家も同じだと思いますが。そして今後は大企業だけでなくもっと身近な企業や組織からもクリエイターが求められるようになってくるのだと思います。先ほどアートの民主化という話が出たと思いますが、こちらはクリエイティブの民主化でしょうか。社会における位置付けが変わってきているということだと思います。
及川:クリエイティブの民主化というのは、すごく進んできている感じがしますよね。それゆえに、クリエイターには、自分と社会がどう関係しているのか?ということや、自分が社会に対して何ができるのか?ということをしっかりと考えて、社会のコンテクストの中に自分を位置づけていくことが今まで以上に求められていますよね。またそれと同時に、民衆のクリエイティブ化というのをどう進めていくかというのも、これから先のまちづくりにおいては必要になってくると思います。超少子高齢化が進み、これまで以上に生産者人口の減少が進んでいくと、行政の財源がひっ迫し、新しいまちづくりを進めていくことはおろか、今まで同じサービスを市民に提供していくことも難しくなっていきます。そのような時代の中でも、まちを維持し、暮らしを向上させていくためには、市民力という名のクリエイティビティをまちづくりに活かしていくことが大切だと考えています。多様性があることで、市民がクリエイティビティを発揮できる。そのクリエイティビティがまちづくりに繋がっていく。そんな仕組みを作っていきたいです。クリエイティブの民主化と合わせて、民衆のクリエイティブ化が進んでいけば、両者の距離が縮まっていくことにもなると思うので、今後もAKITENをはじめとした様々なプロジェクトを展開していくことで、八王子がクリエイターにとって住みやすいまちになるよう頑張りたいと思います。
※本対談記事は2015年8月に掲載されました「Outsider Architect vol.3」の内容を加筆修正したものになります。
株式会社 TYRANT 代表取締役 / 一級建築士 ( 登録番号 第 327569 号 ) 1979年東京都生まれ。東京藝術大学大学院修了後、事務所勤務を経ることなく独立。人生で初めて設計した建物が公共の文化施設(旧廣盛酒造再生計画/群馬県中之条町)という異例な経歴を持つ。また、同プロジェクトで芦原義信賞優秀賞やJCD DESIGN AWARD新人賞などを受賞。