【ソーシャルで食っていけるのか?】企(たくらみ)展トークセッション「これからの『クリエイティブ』な仕事を考える」に登壇してきた

2018年11月29日(木)。これで998記事目!

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12月27日(火)午後5時半

東京駅に到着し、そのままタクシーで六本木のミッドタウンへ。


デザインハブのリエゾンセンターでは、

女子美プロダクトデザインが
女子美術大学 × 企業 共創展 ~ジョシビ トキメキマジック
というのをやってました。展示にお金がかかってるところを見ると「プロダクトデザインが」というより「産学連携部署が」なんでしょうね。

よく知る女子美職員さんから「よっ!美大愛好家!」とバカにされる(涙)
よりによってこの日にやらんでも・・・いいさ。男の生き様を見せてやるよっ!


てなわけで、19時から
企(たくらみ)展トークセッション「これからの『クリエイティブ』な仕事を考える」

●日時:2018年 11月 27日 (火) 19:00-21:00
●登壇:酒井博基 (D-LAND)、小野裕之(greenz.jpビジネスアドバイザー)、手羽イチロウ(美大愛好家)
●司会:河野奈保子(greenz.jp)
●会場:武蔵野美術大学 デザイン・ラウンジ

に登壇したのでそのレポートをお送りします。


最初は、

今回の中心人物であるグリーンズ河野さんから、タクラミ展の経緯や趣旨説明。


「の前にお互いがどういう立場の人か、少しだけ話し合ってみましょう」と

いきなりのワークショップ。グリーンズっぽいというか視デっぽいというか(笑)
手羽はこういう時にATフィールド張っちゃう超人見知りな人間なもんで、いきなり知らない人と話ができる人がすごいなあ、といつも感心させられます。ま、このテーマでやってきてる人達だから当然といえば当然なんだけど。
来場者名簿見ると、学生さんもいましたが企業の方が多かったかな。


そして、登壇者3人から10分プレゼン。

最初は手羽から。
「タクラミ展の(本当の)経緯」というタイトルで、「実はタクラミ展の経緯は新学科を作った経緯でもあるんです」という話をしつつ、「美術大学と学生の考察」「美大が社会に求めるもの」「美術大学の課題と強み」「美大での本質的な学び」などを

事例を入れながら説明。「女子美さんはトキメキマジックとか言ってる場合じゃないよね」と負けずに。

なかなかこの話を10分にまとめることができなくて、すいません、15分プレゼンでした。
ま、他の人も15分以上しゃべってたんでいいか、と(笑)


続いて、

D-LANDの酒井博基さん。
D-LANDとは美大生のクリエイティブなアイデアで、社会に前向きな変化を起こすプロジェクトを実践することを目的とした、美大生のための放課後活動拠点でありプラットフォームです。ちなみにD-LANDの「D」は、ドキドキの「D」とデザインの「D」で、某ネズミーランドとは関係ありません。

酒井さんはムサビ建築院を出てSFCに行き、現在は京都造形の客員教授や法政大の非常勤講師もされてます。
建設系学生が他業界に流出、少ない人材を奪い合う
こういう記事が出てましたが、建築学科って建物の設計だけじゃなく、都市、コミュニティの問題点などにどうしても触れないといけないんで、建築系学生さんの学びや気づきはサービスデザインやソーシャルデザインと相性がいいからじゃないかと思ったりもしてます。
ムサビ建築卒の人もストレートな建築へ進む人ももちろんいるけど、酒井くん含めてこっち系の人が多い気がする。鈴木先生もそうだし。

ありがたかったのは、酒井さんが解釈する「創造的思考力とは?」の話をしてくれたこと。
新学科が定義する「創造的思考力」とはほんの少し違うんだけど、こういうことでさらなる可能性に気が付かされるんですよね。


3人目は、

greenz.jpビジネスアドバイザーの小野裕之さん。

様々な活動をされていて、例えば
SIRISIRI

という日本の伝統工芸で作るジュエリーブランドの経営やマイプロSHOWCASEおむすびスタンドANDONの仕掛人でもあります。あ、下北にANDON2号店ができるそうですよ。

実に忙しい人で、トークセッション翌日は、
11/28東京大学Cedep×まちの保育園 「コミュニティコーディネーター講座」
こちらに登壇されたり、今日以降も
12/2(日)【ゲスト ようび・大島奈緒子さん】まちづくり会議#2「地域資源を活かした仕事・暮らしを語ろう」@茨城県北・大子町
12.5 Wed しごとバー リトルトーキョー存続させナイト|日本仕事百景
12/9(日)みんなに優しいまちづくりを考えよう!「レッツさがすたいるトーク」
と続くそう。


予定通り時間が押し(笑)、プレゼンが終わったところで質問を受け付けることに。
「やりがい詐欺について」「デザイン思考だけじゃなくファインアートの可能性とは?」などなど。

そして!
他に質問がないことを確認し、手羽から酒井さん、小野さん、河野さんに質問をぶちかましてやりました。
このトークセッションが決まった時から「これを聞きたい!」と思ってて。それは禁断のようなワード・・だけど多くの人が聞きたいと思ってる質問。
「ソーシャルデザインで食っていけるのか?」

手羽がムサビ彫刻学科を受験する時も入学した後もずっと聞かれてきたのが「彫刻なんて食っていけるのか?」でした。「美大」という進路自体も普通の人は不安に思うのに、さらに「彫刻学科」ですからね(笑)美大の中でもっとも「謎の選択」で、なおかつ学費も美大の中では一番高い。「彫刻勉強して何になるの?」と何度聞かれたことか。
18歳で「いろいろなものを捨て、もう一般社会には戻れない覚悟」がないと彫刻なんて進路は選べないもので、そういう生き様をかっこいいと思ってた自分がいたことは否定しません。

今なら彫刻の良さだったり、彫刻・造形の本質的な学びだったり、「本当の」就職状況だったり、OBOGの生き様を語れるんだけど、当時は「だってやりたいから・・」ぐらいしか答えることができませんでした。
でも本当は「いや、こういうビジネスモデルがあるから、絶対にとは言えないけどそんなに心配はいらないんすよ。わはは」ぐらいのことを余裕で言い返せないといけなかったし、周りもそういう返答を期待してたはずなんですよね。
甲田前学長が卒業式で言ってた「絵描きはお金を稼ぎたいから絵を売るんじゃない。絵の具を買いたいから絵を描くんだ」というフレーズが手羽は大好きなんだけど、これを「理解」はしても「納得」はしてくれない人の方が多いのが現実。

「ソーシャルデザインを生業にする」もまだ似たような感じだと思ってて、なんとなく「やりたいからやってる」「わかる人だけにわかればいい」「内輪の盛り上がり」「いいことをやってればいずれ伝わる」的なものを正直時々感じることがあるんです。そう、美大がそうだったように。
その「意義」「必要性」や「やりがい」は全然理解できるけど、「ソーシャルデザインに興味がある大人」と「ソーシャルデザインに興味がある子供を持つ親」には伝えるメッセージは違く、このあたりうまく説明できる言葉が自分ももっと知りたいし、そうなってくるともっと広がっていくんじゃないかな、と感じています。
多分「誰もが知ってるヒーロー」が登場するのが一番手っ取り早いんでしょうね。今後、小野さんをはじめ若手からどんどん出てくるはず。


さて、タクラミ展の関連イベントですが、昨日はギャラリーツアーがありました。


  • ツアーコンダクターは河野さんと織戸さん


そしてまだまだ関連イベントは続きます。
順に紹介していくと、

トークセッション「都市と地方、デザインができること」

より良い社会をつくるために、これからの時代、デザインが出来ることは何か? 都市と地方、それぞれで活躍するデザイナーのお二人をお招きして、デザインの価値を見つめ直します。
日 時:2018 年 11 月 29 日 ( 木 ) 19:00-21:00
登 壇:山口祐史 (ようび)、三上悠里 (憲法のきほん)
司 会:植原正太郎(greenz.jp)
会 場:武蔵野美術大学 デザイン・ラウンジ
参加料:無料

詳細・お申し込みはこちら


トークセッション「藤野の地域デザイン」

神奈川県旧藤野町には、約30年前からの芸術への取り組みを契機にアーティストのスタジオや、持続可能な暮らしを目指す様々な取り組みが増え、オルタナティブなカルチャーの集積地とも言える地域になっています。藤野での様々な取り組みのデザインを聞くとともに、地域全体のデザインについてを藤野のキーパーソンが議論します。
日 時:2018 年 12 月 6 日 ( 木 ) 19:00-21:00
登 壇:中村賢一(藤野里山交流協議会会長・藤野エリアマネジメント代表理事)、設楽清和(パーマカルチャー・センター・ジャパン代表)、髙橋靖典(シュタイナー学園理事長・藤野電力)、傍島飛龍(廃材エコヴィレッジゆるゆる村長)、池辺潤一(藤野地域通貨よろづ屋事務局)
司 会: 植原正太郎(greenz.jp)
会 場:武蔵野美術大学 デザイン・ラウンジ
定 員:50名
参加料:無料

詳細・お申し込みはこちら



トーク&ワークショップ「be の肩書き『人生の肩書き』は、プレゼントしよう」

日 時:2018 年 12 月 7 日 ( 金 ) 19:00-21:00
登 壇:兼松佳宏(勉強家)、鈴木菜央(greenz.jp編集長)
司 会:植原正太郎(greenz.jp)
会 場:インターナショナル・デザイン・リエゾンセンター
定 員: 100名
参加費:2500円(当日払い/書籍&ドリンクと軽食付き)|1500円(当日払い/ドリンクと軽食付き)
学生チケット(無料/先着20名))

詳細・お申し込みはこちら



ワークショップ「もうすぐ つみきになる つみき:あなたの手で作る、世界に一つの贈り物」

「もうすぐ つみきになる つみき」は、あなたの手で作る、大切な人に贈るつみきです。岐阜県産の美しいヒノキの材料を丁寧にやすり、優しい手触りのつみきに仕上げます。心からの気持ちをまっすぐに届ける“未完成“のギフトを、想いを込めて制作してみませんか。
制作したつみき一箱は、お持ち帰り頂けます。
日 時:2018 年 12 月 8 日 ( 土 ) 13:00-16:00
登 壇:河野直 (つみき設計施工社)
会 場:武蔵野美術大学 デザイン・ラウンジ
定 員:5組
参加費:10,000円/1組 (税込・材料費、道具使用料含む)
制作したつみき一箱をお持ち帰り頂けます。


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■トーク&ワークショップ「出張!パーマカルチャーと平和道場」

日 時:2018 年 12 月 9 日 ( 日 ) 11:00-20:00
登 壇:ソーヤー海 (共生革命家)、他多数
会 場:武蔵野美術大学 デザイン・ラウンジ




トークセッション「未来の学びをソーシャルデザインする」

人生100年時代、より主体的で創造的である「学び」が求められています。
子どもたちが大人になって、あらためて学ぶことはどんな発見があるのだろうか?
登壇者の実例を伺いながらこれからの学びについて考えていきたいと思います。
日 時:2018 年 12 月 13 日 ( 木 ) 19:00-21:00
登 壇: 佐藤桃子(VIVITA)、小村陽子(VIVITA)、稲葉裕美(WE デザインスクール)
司 会: 河野奈保子(greenz.jp)
会 場:武蔵野美術大学 デザイン・ラウンジ
定 員: 30名
参加料: 無料

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■販売イベント「企(たくらみ)展 × green drinks 」

日 時:2018 年 12 月 22 日 ( 土 ) 13:00-19:00
会 場:インターナショナル・デザイン・リエゾンセンター




タクラミ展は12月24日(日)までやってます。
「ソーシャルデザイン」「起業」「共創」などのキーワードをこうやって見せる展覧会はこれまでほとんどないはずなので、ぜひ一度お越しください。

東京ミッドタウン・デザインハブ第76回企画展 「企(たくらみ)」展 -ちょっと先の社会をつくるデザイン-
●会 期:2018年11月25日(日)~12月24日(月・振休) 会期中無休
●開館時間:11:00-19:00
●会 場:東京ミッドタウン・デザインハブ(東京都港区赤坂9丁目7番1号ミッドタウン・タワー5階)
●入場料:無 料
●主 催:東京ミッドタウン・デザインハブ
●企画・運営:武蔵野美術大学 デザイン・ラウンジ、NPOグリーンズ


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OTONA WRITER

手羽イチロウ / teba ichiro

【美大愛好家】 福岡県出身。武蔵野美術大学造形学部彫刻学科卒。 2003年より学生ブログサイト「ムサビコム」、2009年より「美大日記」を運営。2007年「ムサビ日記 -リアルな美大の日常を」を出版。三谷幸喜と浦沢直樹とみうらじゅんと羽海野チカとハイキュー!と合体変形ロボットとパシリムとムサビと美大が好きで、シャンプーはマシェリを20年愛用。理想の美大「手羽美術大学★」設立を目指し奮闘中。