前編はこちら
―今年のSFFのコンセプト「化学反応」は、『WE/』の提供価値と共通するところが多いと思うのですが、『WE/』ではどのような化学反応を起こしたいと考えていますか?
出会うはずのなかった人たちが出会って、考えもしなかったようなたことが起こったり、ものの見方が変わったりして新しいことが起こるような場・メディアでありたいとは常に思っています。
たとえば、2018年11.12月号は人間拡張、人工生命といったテーマだったので、「もしあなたの恋人やパートナーがアンドロイドだったらどうしますか?」や「生命にとって無くてはならないものとはなんですか?」といったようなクエスチョンをいろんなアーティストやサイエンティストに聞いて、Webサイトで公開しました。
そして、同じような質問を社員にもした上で、POLAの社員食堂を使ってイベントも実施したんです。
社員や外部パートナーの方に答えを書いてもらって、社員食堂につるしていくみたいな。
いろんな社員のいろんな意見が集まって並べられるということで、社員がこれをきっかけに今回のテーマについて考えたり、あの社員はこんな風に考えてるんだ、とか。
生命にとってなくてはならないものとはなんですか?などの質問は化粧品の開発にも活かせそうなテーマなので、そこから新しい商品が生まれたらいいなと。
化学反応が生まれるような取り組みを色んなところでやっていますしこれからもどんどんやっていきたいですね。
―会社の中でもそういった取り組みをされてるんですね。こういった企画は毎号やられてるんですか?
テーマにあわせて、不定期でやってますね。
『WE/』をきっかけにみんなが繋がったり、新たな発見があったり、そういうメディアでありたいと思ってます。
社内外問わず化学反応を起こしたいですね(笑)
―「化学反応」を起こすために、フリーペーパーには何が必要だと思いますか?
まずはいかに手に取ってもらえるかですよね。
手に取ってもらうまでのたたずまいがすごく大事だと思っています。
普通の雑誌とかって書店に並んだりしてるじゃないですか。
それとは違って、フリーペーパーって街中で偶然出くわすものだったりするわけですよね。
その時の独特のストリート感というかたたずまいみたいなものってすごく大事だなと思っていて。
紙って今の時代どうなの?デジタルが主流でしょ?みたいなこと言われますけど…。
パーソナライズ化というのが今後進むにつれて、自分の好きなものや自分の想像の及ぶもの、
つまり必然的な出会いというのは満たされていくと思うんですけど、偶然の出会いって生活からますます無くなっていくと思うんですよね。
ふと街を歩いていたり店に立ち寄った時の偶然の出会いというのはすごくロマンがあって、フリーペーパーならではの強みかなと思っています。
その時に「あっ!」と思って手に取ってもらえるようなたたずまいというのがすごく大事だと思います。
そのたたずまいにいかに熱量を乗せるかという話なのかもしれないですけど。
フリーペーパーの強みでありすごく大事な部分なんじゃないかなという気がします。
ふと見てすてきだなと思うことってありますもんね。
―好きなフリーペーパーを教えてください。
『東京VOICE』というフリーペーパーが好きですね。
たたずまいが本当にかっこいいなと思っていて。
雑貨屋とかいろんなショップに置いてあったりするんですが、その町になじんでいるんだけどなじんでないというか。
ちょっと気になって手に取りたくなるっていうたたずまいだと思うんですよ。
ちょっとした違和感を残しつつ目を引くようなかっこよさがあるわけですよね。
こういう、その街の雰囲気やお店の空気感もあわせたたたずまいっていうのがフリーペーパーのすごさ、強みだと思います。
あとはどうやって取材してるのかな、といつも思うんですよ。
まず、いわゆる有名な方を名前を伏せて出しているというところに面白さがあるんですけど、聞いている話が親にも恋人にも親友にも話さないような、割と赤裸々なことを皆さん語ってらっしゃるじゃないですか。
取材って難しくてなかなかそこまで深い話を聞けなくて。
誰にも話せない話をなんでこんなにいっぱい引き出せるんだろうって、見ていて悔しい。
あと『大学喫煙所名鑑』!
これ切り口が面白いですよね。
ばからしい(笑)
でもこれもたたずまいとしてかっこいいとおもうんですよ。「大学喫煙所名鑑?え?」みたいな(笑)
これも街になじんでいてなじんでないというか。
―どこにあっても違和感が残りそうですもんね。
そうそう。
これならではのたたずまいとかいうのををうまく出せているんじゃないかと。
企業の場合は、ブランドイメージとかも背負ってくるので、必要とされるたたずまいとかもあるじゃないですか。
なので少し違うと思うんですけど。
―とにかく手に取ってもらえることが1番重要だということですね。
そうですね。
手に取ってもらえないとはじまらないですもんね(笑)
フリーペーパーってゲリラ的な感じで出現するものでもありますし、そういうおもしろさを存分に活かさない手はないかなと。
ちょっと「えっ!」て思うようなたたずまいだと手に取っちゃいますよね。
ー私たちが只本屋というフリーペーパー専門店で『WE/』と出会ったのは、たたずまいのおかげだったと思います。
表紙が具体的と抽象的の間で「なんだろうこれ?」という疑問で手に取ったのを覚えています。
テーマが日本的感性ということで、割と抽象的なものにしています。
ぼんやり曖昧で、ニュアンスな感じをビジュアルで表現しています。
ー『WE/』のような企業のフリーペーパーと、学生がつくるフリーペーパーの違い・共通点を教えてください。
まず目的がちがいますよね。
企業誌というのは企業がこうありたいという姿に寄与するものじゃないといけないので、その企業ブランドに興味が無い人に向けて振り向いてもらうためのものとして目的を置くのか、既にお客様でいらっしゃる方に対して企業が大事にしていることを伝え、末永くお客様に愛されることを目的に置くのかっていう2つでも全然つくりが違ってきますし。
でも企業のやりたいこと、『WE/』としてこうありたいとか、これをしたいというポイントと、アートディレクターさんやクリエイターさんのこうやりたいというポイントがうまく合致したときが1番強いですよね。
相乗効果で1番素晴らしいものが生まれる。
その時はすごい快感だったりします。
ちょうど私がきたときはまだ3号ぐらいしか出てなくて、ロビーで『WE/』を見たときに他のパンフレットとは違うと思ったのを覚えてるんですけど。
読んだ時に作ってる人は楽しくやってるんだなって思ったんですね。
化粧品メーカーなのに何でこんなことやってるんだろう?
楽しそうだなって。
『大学喫煙所名鑑』を作られた方も、好きで楽しくてやられてるんだなというのが伝わってきます。
どのフリーペーパーからもそれが伝わってきますね。
POLAは、すでに顕在化している悩みを解消することはもちろんのこと、それにとどまらず、究極のおもてなしをお届けすることで気づきや発見を感じてもらうことを目指しているブランドです。
そういうブランドから発信しているWE/も、お客さまのニーズにあわせて作っているだけでは気づきや発見を感じていただくことは絶対にできない。
誰かに聞いて出てくるものではなく、最後は、自分たちの中から想いとアイデアをひねり出すものだと思います。
フリーペーパーも近しいものがあると思っていて、自分たちがとにかくこれを伝えたい、読んでもらいたい、と誰に求められるわけでもなくつくっていくものですよね。
そういう、「苦しいけど楽しい」みたいなところは似ているんじゃないでしょうか。
ー学生フリーペーパー制作団体と、SFFにメッセージをお願いします。
学生がつくってるフリーペーパーってたくさんありますよね。
サイトとか見たんですけど、見たことないものもたくさんあって。
フリーペーパーならではの街中での偶然の出会い、発見っておもしろいし、そういうことが街中だけじゃなくて大学構内でもどんどん起こっていったらわくわくするなと思うので。
ぜひ我々も一緒に盛り上げていきたいと思います。
ということで今回参加させていただきます(笑)
実は今回、POLAさんにはSFF2018の企業ブースにも出展していただきます!
12/2、みなさんも『WE/』を手に取って新しい世界に出会いませんか?
出展だけではなくこうしてインタビューにも応じていただき本当に感謝しています。企業誌を制作している方々の貴重なお話をたくさん伺うことができ、大変有意義な時間となりました。
吉崎さん、豊田さん、安久さん、お忙しい中ありがとうございました!
前編はこちら
POLA『WE/』
株式会社ポーラが発行するフリーペーパー。2017年1月創刊、2018年11.12月号で12誌目を迎える。
新しい物の見方を創っていくべく、Magazine、Event、Webコンテンツなどさまざまなコミュニケーションを展開。企業誌であるにも関わらずアート性の高いビジュアルと斬新なコンテンツが人気を博し、様々な読者層に愛されている。
HP:
SFF=Student Freepaper Forumとは、全国から集まった学生フリーペーパーを手に取り、その制作団体と直接交流することができる年に一度の祭典です。本やフリーペーパーが好きな方、学生の熱気に触れたい方、ぜひSFF2019にお越しくださいませ。