美術系大学の志願者・合格者・入学者の女性比率を調べてみた

2018年8月13日(月)

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某大学のニュースを見てると、「美大の志願者・合格者・入学者の女性比率はどんなもんなんだろ?」と気になりまして。
実はニュースになった直後に調べてたんですが、先に記事にされた方がいたり(笑)、話題が盛り上がってる時に出すのもアレかなと思ってストップしてました。
でもお盆の時期は閲覧数が急激に減るので(手羽ブログは職場で見てる人が多い笑)、何かのデータに使えるかもしれないから、このタイミングで公開することにしました。

結論を先に書くと「これだけじゃ何にもいえないなあ・・」なのですが・・。


■補足:
●志願者・合格者数は各大学のWEBサイトを参考にしました。基本的には一般入試のみとし、一般方式+センター方式を足した数字にしています。
●入学者数は男女別で掲載するようになってる大学ポートレートから持ってきました。
●なので、志願者・合格者数は「一般入試」、入学者数は「全入試方式による」と母数が違うのでご注意ください。大学が発表してる数字と合わないのはそのせいもあります。
●大学ポートレートで公開されてるのが3年分なので、ベースは「過去3年を見る」としました。
●完全な手羽調べなので間違っていたら指摘お願いします・・。


まずはムサビ。

ムサビは過去3年分の入試結果を公開しています。
傾向的には志願者より合格者の方が3~5%女性比率が上がり、入学者になると約2%減ってますね。
入学者の女性がどんどん増えてるように思ってたけど、表にすると割合的には減ってるんだなあ。


次にタマビ

タマビは2007年入試までのデータを公開していたので、過去5年と10年前の数字を入れてみました。
2017年までは志願者→合格者の女性比率は3%増ぐらいで推移してるけど、2018年は6.3%に増えてます。それにしても入学者の女性比はムサビの方が高いと思ってたけど、いつのまにかタマビの方が高くなってたのね。
あ、それと入試ページを見てもらえばわかりますが、よく「美大は合格最低点を出さない」とネットで書く人がいるけど、ムサビタマビはずいぶん前から公開しています。20年前ぐらいの「美大イメージ」で固まってる人が多く、いまだに「ムサビは1次で学科足切りやってる」「短大がある」とおっしゃってる高校の先生もいるぐらいでして・・。


続いて金沢美術工芸大さん。

カナビさんは志願者数と入学者数だけ男女数を出してました。
2016、2017年と志願者→合格者の女性比率が下がってますが、2018年は増えています。


次に沖縄県芸さん。

沖縄県芸さんは志願者と合格者がわかったのでそこだけ。
2017年までは志願者→合格者の女性比率は約2,3%増だけど、2018年は7.6%増と一気に増えてる。
母数が少ないのでムサタマと比べて「1%の大きさ」は違いますが、ムサビ、タマビ、カナビともに2018年は過去3年の中でも一番志願者→合格者の女性比率の差が大きい。


そして皆さん一番気になるのはこちらなんでしょ?(笑)
東京藝大の美術学部です。

藝大は2007年から入試結果を公開してるので全部ひろってみました。(入学者も4年前からは大学WEBサイトからもってきてます)
2014年以外は志願者→合格者の女性比率は下がってますね。2014年って入学定員を減らした(240人から234人)年だっけ?

パっと見は「えっ」と思っちゃうけど、多浪生の方が実技はうまいので多浪生の男女の割合とかを見ていかないといけないし、「力強い作品を選ぼう」「塊で見れてる人を高得点にしよう」など実技には教員の視点が入るので(しかも年によって変わる)、これだけで結論出すのは無理ですね。ここからどういうことが読み取れるのかはお任せします。
手羽が気になったのは「さすが日本で一番歩留まり率の高い大学だなあ」「入学定員より低く合格を出すことがあるんだな」ぐらいかな。



ところで、「『美術系大学を調べてみた』と言いながら、調べたのが5大学だけ?しかもこの組み合わせ?他にもいろいろあるだろうになんでやらないんだ!?あの大学とかあっちの大学とか」と思った方も多いことでしょう。

今回調べて一番わかったことは「ほとんどの大学が男女比を出してない」です(笑)
いつもチェックしてる25校ぐらいの美術系大学WEBを調べる限り、美術系大学ではこの5大学しか公開してなかったんですよ。階層の下の方をみればあるかもしれませんが。
男女比がなくても過去数年の入試データを出してればいい方で、2018年度入試だけのところもチラホラ。関西の美大さんは特にその傾向にあります。
しかも鳴り物入りで始まった大学ポートレートだって全然更新していない大学が結構あるし。

考えられる理由としては、
●在学生の男女比はわかった方がいいかもしれないけど、志願者の男女比ってそんなに必要な情報か?
●「男女」という括り方がすでに今の時代に合ってない。
●既に関西では一般入試よりもAO・推薦入試が中心になってるから、一般入試のデータを載せたところで誰もありがたく思わない。作業の無駄。
●とても入試結果を載せられる状態じゃない。
●大学ポートレートって誰が見てるの?しかも更新作業量が膨大すぎるし、どの担当が更新すべきかわからない。

こんなところかな?

手羽も作っておきながら、ムサタマ一般入試の一般方式とセンター方式は併願者が多いんで、それを足した方がいいのか別の方がいいか、どっちが自分が知りたいデータに近づくのかわからなくて(とりあえず「一般入試」で括ったけど)
また、ちゃんとした大学であれば一般入試は性別も名前もわからない状態で採点するけど、推薦やAO入試は書類審査・面接で顔も名前も性別もわかるし、国語・英語みたいに「何点」というのはわかりにくいわけで。


以上、文科省から受験者の男女数を公開するように指示があるかもしれないなあ、の手羽がお送りいたしました。

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OTONA WRITER

手羽イチロウ / teba ichiro

【美大愛好家】 福岡県出身。武蔵野美術大学造形学部彫刻学科卒。 2003年より学生ブログサイト「ムサビコム」、2009年より「美大日記」を運営。2007年「ムサビ日記 -リアルな美大の日常を」を出版。三谷幸喜と浦沢直樹とみうらじゅんと羽海野チカとハイキュー!と合体変形ロボットとパシリムとムサビと美大が好きで、シャンプーはマシェリを20年愛用。理想の美大「手羽美術大学★」設立を目指し奮闘中。