美大生の就職先というと、多くの先輩たちが勤める広告会社や制作会社などを候補にしがち。でもほんとうは、“事業会社” や若き社長たちの “スタートアップ” にも、美大生が活躍できるフィールドがたくさんある。あんまり身近に先輩がいないこともあって、「どうやってその会社見つけたの!?」「クリエイターがマイノリティの会社って仕事しにくくないの?」「事業会社に就職を決めるって不安はないの?」などなど、事業会社はたくさんの “未知” に包まれている‥‥!
そこで、今回「事業会社で働くクリエイターの仕事との出会い方」について、多摩美術大学2016年の卒業生で、現在dely株式会社で映像制作を担当している、海老子川央暉さんにインタビューを行った。
— 大学時代、どのように卒業後の進路イメージを描いていましたか。
海老子川さん:多摩美術大学在学中は、具体的な進路のイメージは持てていませんでした。ただ、漠然と「映像の仕事に携わりたい」とは考えていました。そもそも僕が動画をはじめた理由は、高校3年生の時にストップモーションの映像をつくったこと。動画制作って楽しいなと、興味を持つようになったんです。
“映像” といってもさまざまな進路があると思うのですが、僕の場合は学生時代、知り合いのフリーのカメラマンの元で働いていました。企業や団体よりも、作品やその作品を手がけた作者に惹かれて。ところが、突然、勤めていたところが潰れてしまって。「これは食べていけなくなる‥‥」と、慌ててアルバイトを探して見つけたのが、delyでした。大学4年生の6月ごろかな。
— delyはどうやって知ったんですか。映像の制作会社はよく先輩の就職先だったりしてなんとなく知っていくと思うんですが、事業会社となるときっかけがないと出会うのが難しそう‥‥。
海老子川さん:せっかくアルバイトするなら映像に関する業務をしたいと思って、「Find Job!」という求人サイトでアルバイトの求人を探していたところ、delyの求人を見つけたんです。はじめはもちろん、コンビニや居酒屋のアルバイトを見ていたんですが、駄目元で調べてみたら映像に関わる仕事が見つかって。アルバイトのうちから撮影や編集など動画制作の一連の流れをワンストップで経験できる環境に魅力を感じてdelyに応募しました。
— ということは、アルバイトがきっかけで卒業後に入社を決めたんですね。
海老子川さん:はい。社員になったのは大学を卒業してから、当時の上司に誘われたのがきっかけでした。アシスタントとしてではなく、自分でカメラを回したり撮影をしてスキルを伸ばす経験を積みたい、自分の今のスキルがどれだけあるかを試してみたいと思っていた中で、撮影から編集、公開などの工程をワンストップで経験できたり、多くの裁量が与えられていて挑戦できる環境を魅力に感じ、delyの社員になるという選択をしました。
— それでも、delyさんはクリエイターばかりの会社ではないと思います。事業会社に就職することの不安などはありませんでしたか?
海老子川さん: “不安” というより、 “冒険” という気持ちでしたね。アルバイトでお世話になった方々は、みんな個性のある人や面白い人が多く、今まで美大周辺では会ったことのなかったような様々なバックグラウンドを持つ人が多くて。「社長が26歳ってどうなってるんだ」って思いましたし。
どうなるかわからないけど、 “人” がおもしろい。たしかに制作はしたいけれど、それ以上に、卒業制作や学生時代の制作を通じて “一緒につくる人” が重要だと思っていたので、 “人” でこの会社を選びました。
— アルバイトを通じて、どんな人と仕事をできる環境なのか知ることができたことが “冒険” への後押しになったのでしょうね。実際に事業会社で勤めてみて、事業会社で働きたい美大生が「在学中にやるべきこと」があったら教えてください。
海老子川さん:「自分が好きなことに没頭する」ということでしょうか。事業会社に飛び込む以上、入社後は会社のミッションや目標に則って動いていくことになり、自分の好きなことだけを仕事にしていくわけにはいきません。だからこそ、入社前には、「入社後に役立つこと」を探して準備するのではなく、「自分の目標ややりたいこと」にとことん熱中する方が良い経験になると思います。入社後の業務で経験できないようなことに挑戦したことで、逆に普段の業務で活きることも多くありますね。
— 現在delyではどのようなお仕事をしていますか。
海老子川さん:delyは、レシピ動画サービスの「kurashiru(クラシル)」というサービスを運営しています。レシピ動画数は世界No.1、DL数も1,200万を超えているような、かなり規模の大きなメディアです。
僕は「kurashiru(クラシル)」に掲載されるレシピ動画コンテンツの一連の編集スキルを身につけた後、現在はカメラマンとして企業様とのコラボ動画の撮影、編集、制作を手がけています。
なかでも「kurashiru(クラシル)」に掲載されている企業様とのタイアップ動画のほとんどが、自分が関わったもの。そういった意味では入社前の期待通り、もしくはそれ以上に大きな裁量を持って仕事を任せてもらっていますね。大規模なメディアのコンテンツ制作に、初期から現在まで携われているのは、とても貴重な経験です。
>>海老子川さんの最近の制作実績
https://www.instagram.com/p/BiVdIwNHUji/?taken-by=1_weekends
https://www.kurashiru.com/features/244
通常の真俯瞰のレシピ動画だけでなく、作っている人の生活シーンまで想起できるような動画の表現や、読み物としても楽しめる記事型のコンテンツなど、新しい表現方法に挑戦している。
— 最後に、「事業会社」に入社して、よかったと思う点ややりがいについて教えて下さい。
海老子川さん:そうですね、在学中にもアシスタントなどの経験から様々な動画制作に携わっていましたが、料理というものにフォーカスした映像作品を制作するのは、僕にとって新しい経験でした。
たとえば、料理の動画では、その料理が食べられているシーンや状況からイメージして、料理の表情やベストな撮影方法を考えることも必要になります。料理ごとに合わせた色味を念頭において編集することや照明の当て方、その料理の見せ場、完成シーンの盛り付けやコーディネートなどは汎用的な正解があるものでなく、その料理ごとにベストな撮影方法は異なります。それを常に考えているということ自体が大きなやりがいに繋がっていますし、ひとつのジャンルを突き詰めて撮影ができることは大きな経験だと感じています。Find Job!でdelyのアルバイト求人を見つけたときは、ここまでレシピ動画が自分にハマるとは思っていなかったですけどね(笑)。だからこそ、学生の皆さんには「これ」という風に選択肢を狭めることなく、様々なことを経験して、それを自分の武器にしてほしいなと思いますね。
WEB・IT業界のクリエイター求人がたっぷり!な「Find Job!」
海老子川さんがdelyのアルバイト求人を見つけたという「Find Job!」。「Find Job!」といえば、WEB・IT業界をうたっているため “エンジニアの採用が多い” という印象をもっている美大生もいるかも? ところが実際には、海老子川さんのような映像クリエイターやデザイナーの募集も充実している。
「Find Job!」を運営するのは、株式会社ミクシィ・リクルートメント。業界屈指のWEB・IT業界に特化した人材募集サイトだ。掲載されているのは、大手企業からスタートアップまで40,000社を超えるIT/WEB人材を求める企業の求人。さまざまな仕事に出会うことができる。
自分の世界を広げたい、スタートアップや事業会社で、サービスや製品づくりそのものにクリエイターとして関わりたい美大生、「Find Job!」の活用のしがいがありそうだ。ぜひこの機会にチェックを。
そして海老子川さんのように、 “勇気”をもって、気になる業界に飛び込んでみては!
>> Find Job(https://www.find-job.net/)
>> Find Job! 内 クリエイターアルバイト求人一覧
dely株式会社
delyはレシピ動画サービス『kurashiru(以下、クラシル)』を開発・運営しているスタートアップ企業。クラシルは2016年2月のサービス開始以来、「70億人に1日3回の幸せを届ける」ことをミッションにレシピ動画サービスを運営。約2年で、1.8万本のレシピ動画、290万人のSNSフォロワー、1,200万のアプリDLを有する日本最大級(※) のレシピ動画サービスに成長し、20代から40代の女性を中心に、多くの人が利用している。
最近では、競合レシピ動画サービスのmogoo買収や、ヤフー株式会社との戦略的パートナーシップ構築など、これまで築き上げてきたレシピ動画サービスとしての価値を向上させるとともに、より広範な食領域におけるサービス提供を視野に飛躍的な前進を続けている。
(※) 2018年6月29日時点 Appliv調べ(ナイル株式会社による「料理レシピ動画掲載アプリ」に関する独自調査の結果)
>> 企業サイト:https://www.dely.jp/
>> 求人情報:https://www.find-job.net/list/company/2135755/jobs
>> 参考記事「新生delyはこれから、モノを売り、1兆円企業をめざす」techcrunch
>> 参考記事「『変わらずIPO目指す』ヤフー子会社化のデリー」日本経済新聞
>> 関連記事「個性的な社員ばかり!その全員がわたしの“師匠“」美大卒業生の仕事の選び方。野崎あずさ(面白法人カヤック)
(写真・今井駿介 取材・吉田裕紀 編集/文・上野なつみ)
PARTNER編集部です。 編集部アカウントでは、フリーマガジンやイベントなど、総合メディアPARTNERに関わる様々な情報を提供いたします。