6月26日(木)、デザイン・ラウンジで開催された大学院造形構想研究科クリエイティブリーダーシップコース説明会の様子をレポートをお送りいたします。
6月のオープンキャンパス後に開催が決定し、告知も大学WEBとラウンジWEBでしかやってないのにお越しいただいた皆さんには本当に感謝です。
最初は井口先生による挨拶。
あ、勢いで前から2列目に座っちゃったもんで以降同じような写真ばかり続きます・・すいません・・。
続いて長谷川 敦士先生(就任予定)が新大学院の造形構想研究科クリエイティブリーダーシップコースについて説明。
手羽が感じたポイントは3つかな。
それは「プロジェクト型カリキュラム」と「プロトタイピング志向」「セルフビルド志向」。
新学科、特に新大学院では実際の企業の課題に取り組むプロジェクト型カリキュラムが中心となります。そのために現在様々な企業や自治体とのコラボレーションがほぼ決定してるし、市ヶ谷キャンパスには「ある仕掛け」を施すことになってます。
ただ、企業の課題だけでは狭い世界になってしまうので、未来の社会の課題や兆しから考える「ビジョンデザイン」についても学ぶことになりますね。
そして、今までは失敗を恐れてずっとずっと仮定を検討して本番に挑む傾向にあったけど、「とりあえずやってみる。自分で作ってみる。そこから考える」という志向があるのが新大学院。スピード感だったり現場意識だったり当事者意識が「プロトタイピング志向」「セルフビルド志向」なのです。
会場から「東大、SFC,、東工大、京大、そして海外の大学でもデザイン思考を使った同じようなプログラムをやってるけど、その違いは?」という質問がありました。
このあたりは海外含めて調査済み・・・というか、東工大さんとはむしろ連携してやってたりするわけですが(笑)
大型資金を使ったプロジェクトは大規模大学さんにはとてもかないませんが、「デザイン思考」となると昔から美大でやってることであり、むしろ「あ。今までやってきたことを『デザイン思考』と呼んでるのね」という感覚。
また、美大の最大の特徴は「造形言語リテラシー」にあります。「デザイン思考だけでは課題解決・改善できてもイノベーションは起こしにくい」と言われてて、そこで役立つのが発想の飛躍・課題発見能力の高い「アート思考」です。
デザイン思考を形だけ手法的に学ぶことは総合大学でもできますが、「アート思考」×「デザイン思考」な「クリエイティブ思考」、つまり「創造的思考力」は美大以外で本格的に体験することはできません。これが違いというか強みかしら。
そしてスタッフから入試について説明がありました。
クリエイティブリーダーシップコースは社会人の履修を可能とするため、必修授業は基本的に6限(18:10-)、7限(19:50-)及び土曜日に開講するようにしており、あとの時間は選択授業という構成になってます。(ちなみにそれを図にすると逆Lになるので「L型カリキュラム」と私たちは呼んでます)
なので、一般入試の他、2年以上の社会人経験または実績のある方を対象とした「社会人入試」も行うことになってて、一般入試は書類審査+小論文+面接で、社会人入試は書類審査+面接だけ。
ちなみに小論文は日本語で出題されるけど、回答は英語でも可能です。
あ、試験会場は市ヶ谷ではなく鷹の台キャンパスなのでお間違えなく。
会場からは「社会人入試の場合、上司の許可が必要な大学もあるけどムサビは?」という質問がありました。
私たちは必要としませんが、社内・上司の理解は必須だとおもいますのでそこはよく社内でご相談いただければ。
そして今日の目玉は、なんといってもこれでしょうね。
若杉 浩一先生(就任予定)が市ヶ谷キャンパスについて紹介。
オープンキャンパスでもやらなかった初出しの情報です。
お待たせしました。
皆さん気になる市ヶ谷キャンパス内部のイメージイラストを公開します!!
すいません・・やっぱりまだ公開できません・・。
どうしても気になる方はぜひ7月10日に開催される新大学院説明会にお越しくださいませ。内容的には今回とほぼ同じです。
若杉さんはさらに強調して「圧倒的プロトタイピング」という表現を使っていました(笑)
というのも、
2019年4月のスタート段階では、市ヶ谷キャンパスは完成していないのです。
いろいろ検討していく中、最初からこちらが完全に用意した教室や機材で学ぶことで、はたしてクリエイティブなイノベーションになるだろうか、という議論になり。
新築の建物ではなく最初から中古の「建物」がある。だったら学生さんと教員、職員、企業が一緒にどういう教室にしたら新しい学びを創り出せるのかその場で考え、一緒にリノベーションし、失敗したら作り直そう。軽快にプロトタイピングを作り、実証・検証・修正する、まさにスペースを作ることがクリエイティブイノベーションやクリエイティブリーダーシップを作る仕掛けになるという発想で、あえて最初から全部用意しないことになったのです。
市ヶ谷キャンパスの最初の2年間は大学院生しかいないからできることでもあり、なおかつ新大学院1期生だからできること。こういう発想をする大学は他にないだろうし、有形・無形関係なく「つくる」ことを得意とする美大的アプローチなのかも(笑)
最初から用意された、どこかの大学を参考にして作られた豪華絢爛な施設・設備でクーラーの効いた中「教えてもらう」「学ばせてもらう」ことにひかれる方もいるとは思いますが、恐らくこの学科や大学院に興味を持つ人でそういう考えの人は少ないんじゃないかと。
「教育研究スペース含めクリエイティブなイノベーション」していきたい人はぜひ1期生になってください。
会場からの質問だと、他はこんな感じだったかな。
*長谷川さんの説明と手羽のコメントがごっちゃに混ざってるので、正式な答えについては直接問い合わせてもらうか募集要項などをご確認ください。
●現在大学院生で来年から社会人の場合はどうなるか?
●現在社会人1年2か月目。社会人入試を受けられるか?
→願書提出段階で2年以上なので一般入試を受けてもらうことになります。
●通常の大学院だと教員研究室(ゼミ)単位で授業を進めるが、どうなの?
→研究室単位で進めることも出てくると思うけど、教授の色を濃くするよりも様々な分野の教員が横断的に関係する方がダイナミックなプロジェクトになると考えています。
(あ、もちろん大学院の研究については指導教官がついて研究を進めることにはなります)
●他のプロジェクトに興味持った場合はそこにも参加できるのか
→自分の時間とやる気さえあれば大丈夫。ただ手羽個人的にはチームを作って運営していくので、体力的にも2つぐらいが限界なんじゃないかな、とは思いますが。
●実務者じゃなくて研究者の道に進んでも大丈夫?
→もちろん。まだ新しい分野なのでアプローチ自体が研究対象になるはず。
●研究計画を相談することはできるか?
●過去事例がないから受験対策はどうしたらいいか?
→真夏のオープンキャンパスでは個人相談ブースを作るし、今後メール等で問い合わせができるように準備中です。
●例えば「少子高齢化」をデザイン思考で解決しようとする場合、どのようなアプローチがあるか?
→「少子高齢化」には様々で複雑な要素があり、またそれ全体が大きい問題だし、誰かの思い込みが介在してる可能性もある。例えるなら、それを分解していき「孤独」「尊厳」なども含まれてくることがわかれば、(有形・無形関係なく)プロトタイプを使って試してもらい解決策を見つけていくようなアプローチが今どきだし、産官学民で取り組んでいきたいと思ってます。
●社会の問題を解決するために様々な分野が関係してた方がいいのでは?
→複雑な問題を解決するには造形学部にあるグラフィックデザイン、プロダクトデザイン、映像、建築などとも一緒に考えた方がいいし、「哲学」「社会学」「心理学」も必要。それらと連動することも考えているけど、ムサビだけで閉じて考える必要もないと思っていて、都心にあるので他大学や企業と組みやすいメリットがあります。
こんな感じだったでしょうか。
私たちもまだ詰めきてれない部分も多いので、会場からの質問がなによりもありがたいです。ぜひ7月10日も来ていただいていろいろ質問お願いします。こちらは隠すことは何もないので。・・・あ、連携企業名をまだ言えないぐらいかしら。
あ、昨日こんな記事が公開されました。
■トークイベント「クリエイティブイノベーションの時代」レポート(前編) | Magazine | 武蔵野美術大学 造形構想学部・大学院造形構想研究科
井口先生も「ムサビがこれからも教育的リーダーシップを発揮するためには、自ら『美大の殻』を破るような美大らしからぬ挑戦が求められる」と語っています。
多分、美大でも総合大学でも異色な存在になる新学科と新大学院をどうぞよろしくお願いいたします。
以上、若杉さんも登壇される今週末FUKUOKA growth nextで開催される「第24回武蔵野美術大学 地域フォーラム『アート&デザイン2018福岡』創造の穴 ~『クリエイティブがイノベーション!? 』~」は予定どおり開催されます、の手羽がお送りいたしました。
スライド作らないといけないので土曜まで更新休みます。
【美大愛好家】 福岡県出身。武蔵野美術大学造形学部彫刻学科卒。 2003年より学生ブログサイト「ムサビコム」、2009年より「美大日記」を運営。2007年「ムサビ日記 -リアルな美大の日常を」を出版。三谷幸喜と浦沢直樹とみうらじゅんと羽海野チカとハイキュー!と合体変形ロボットとパシリムとムサビと美大が好きで、シャンプーはマシェリを20年愛用。理想の美大「手羽美術大学★」設立を目指し奮闘中。