解体からの創造・生命の呼応 刺繍作家・宮田彩加個展

宮田彩加 個展『花を形成するプロット』が H.P.FRANCE WINDOW GALLERY MARUNOUCHIで、5月8日(金)から6月18日(木)まで開催されています。 オリジナルテクニックを使った刺繍作品は花の美しさを解体し、構築するストーリーを紡いでいます。京都で活動する宮田さんの作品を東京にて、生で見られる貴重な機会、ぜひ東京・丸ビルへお急ぎください! 【トップ画像】「WARP -ポピーを形成するプロット-」2015 直径30cm ミシン糸・綿布

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<失敗の行為から生み出される作品>

宮田彩加さんという作家をご存知でしょうか。
宮田さんは、オリジナルのテクニックを使って刺繍作品を世に送り出す注目の若手作家です。作品は、遠くから見ると平面作品のようで近づいてみると刺繍独特の糸の凹凸、陰影などが感じられます。それは、平面なのか立体なのか、工芸なのか現代アートなのか、刺繍というメディアから生み出される作品は鑑賞者へ多様な解釈の広がりを生んでいます。


  • 撮影:木奥恵三 Keizo Kioku

実は、作品はコンピューターミシンの刺繍から生み出されていて、プログラミングのエラーという失敗の行為から一針一針、糸を紡いでいるのです。
それらの技法を使ったミシンの均一な針目を意図的に崩すことで糸のゆがんだ層を見せている「WARP」シリーズを制作、2012年から、刺繍で必要であるはずの支持体に布を用いず、多くの結び目のみで構成した「Knots」シリーズの制作を行っています。これらのオリジナルテクニックは、いわば、エラーというマイナスの行為が、意図してプラスに転換していくことになります。


  • 撮影:南竜司 Ryuji Minami

<現代刺繍作家 宮田彩加>

生命力の力強さを糸で紡いでいくような感覚を大事にして刺繍作品作りを続けている宮田彩加さんは、京都造形芸術大学を卒業後、OL経験を得て、作家として人生を歩み始めます。刺繍作品と聞くと、大人しいとか、年配の方のもの、という印象が強いと思われがちですが、宮田さん自身はとてもパワフルで大胆な方です。生命力あふれる宮田さんの生命賛歌のような刺繍作品は、近年、東京でのTHE MIRROR展(名古屋商工会館・銀座)にも招待作家として出展し、注目を集めています。

<個展 花を形成するプロット>

今回の展示は、これまでの「WARP」×「knots」の技法を用いた融合作品です。
生命の進化、自然のフォルムを作り出してきた宮田さんは、今回初めて「花」をモチーフにしています。今まで、花をモチーフとして選ばなかったのは、美術における普遍的なテーマであることや、オリジナルのテクニックを使った刺繍に対して、なるべく装飾的な要素を省いていきたいという想いがあったからだと言います。しかしながら、宮田さんは、展示会場であるウィンドウギャラリーをパブリックスペースと捉えることで、モチーフに向き合う良い機会だと考えました(※)。
時間の蓄積と糸の厚みを同義と捉えることのできる刺繍は、作品の中に種子から芽がでて、花開き、やがて萎んでいく生命賛歌の時間を内包しているようです。

宮田彩加さんの花を紡いでいくストーリーをぜひお見逃しなく!

※ 会場となるH.P.FRANCE WINDOW GALLERY MARUNOUCHIは、東京駅目の前にある丸ビルの1階におしゃれなカフェやブティックに並列されており、お買い物に訪れる人、ランチに来るオフィスワーカーなど、幅広い客層が訪れます。


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▼開催概要
「花を形成するプロット」

宮田彩加 Sayaka Miyata
会期:2015年5月8日(金) - 6月18日(木)

会場:H.P.FRANCE WINDOW GALLERY MARUNOUCHI
URL:http://hpgrpgallery.com/window/
Facebook:https://www.facebook.com/events/1415920035383518
宮田彩加HP:http://www.sayakamiyata.com
Facebook:https://www.facebook.com/pages/Sayaka-Miyata/747496255269178

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STUDENT WRITER

manami / manami

社会とアートをつなぐことを目標に日々奮闘中。