【美大出身者は美大職員になろう】美大職員への道

2018年5月1日(火)

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2018年5月1日現在、学校法人武蔵野美術大学と学校法人多摩美術大学が専任職員の募集を行っています。

学校法人多摩美術大学 事務系専任職員
●雇用形態:事務系専任職員
●応募条件:2019年3月に4年制大学/大学院修士課程を卒業見込み/修了見込みの方
●募集人員:若干名
●応募締切日:6月18日(月)エントリー締切
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学校法人武蔵野美術大学 専任職員
●雇用形態:専任職員(総合職)〈正職員〉
●募集人員:若干名
●採用期日:平成30年10月1日(予定)
●応募条件:
(1)4年制大学卒業以上
(2)平成31年4月1日時点で30歳以下(若年層の長期キャリア形成を図るため)
●応募締切日:平成30年5月31日(木)エントリー完了、6月1日(金)書類必着(17:00)
エントリーサイト


というわけで、大学職員・美大職員について、数回に分けてお届けしています。
前回までの話はこちら。
【タマビとムサビが専任職員募集中】大学職員への道1
【大学職員に求められるもの】大学職員への道2

今回は「美大出身者こそ美大職員になろう」という話を。
あ、TOP画像はオープンキャンパスで頑張ってる若手職員の図です。
 

ムサビもタマビも「●●課の職員」という形で募集はしていません。
採用されてもどの部署に配属されるかは全くわからないし、鷹の台かも吉祥寺かも市ヶ谷かも上野毛かもわかりません。あ、以前の採用試験で「六本木のデザイン・ラウンジで働きたい」という人がいましたが、それは100%ありませんので・・。

手羽のせいか「美大職員は美大卒ばかり」と思われてるフシがありますが、美大といっても大学なので(笑)、ほとんどの職員は一流総合大学卒の方達です。
タマビの採用実績を見ると、北海道大学 ・東京大学・横浜国立大学・京都大学・桜美林大学・学習院大学・慶應義塾大学・国際基督教大学・駒澤大学・上智大学・専修大学・中央大学・東海大学・ 東洋大学・法政大学・明治大学・立教大学・早稲田大学・同志社大学・立命館大学という名前がずらりと並びます。
だいたいムサビも同じです。あとは青学さんとか。約70人いるムサビ専任職員でムサビOBOGは1割ぐらいだし、他美大さんでの割合もこんなもんだと思います。
いろんな職員に「なんで美大の採用試験受けたの?」と聞いたことがありますが、明確に美大と自分との関係を語った人はいなくて、「たまたま」とかそんな感じだったかな?面接で「御校の教育理念や活動に感銘を受けまして」とか言ってても、ま、そういうもんです。


美大卒業生も職員採用試験を受けてはいるそうなんだけど、最終面接まで残りにくいって話を聞いたことがあります。
というのも、美大事務業務で学生や高校生と話をするような仕事、直接美術に関係する仕事はほんの一部の部署なのね。くどいですが美大といっても「大学事務」なので、総務、人事、経理、施設管理、IR、法人、監査など表に出ないバックオフィス系や美術の知識をほとんど必要としない仕事の方が実は多いんだけど、美大生はそれがイメージできないようで。
どうしても総合大学卒のジェネラリスト的な発想を持ってる人と比べると、美大生は弱く感じられてしまう・・らしいです。

その大学の事務がどういう人材を求めているかでもちろん変わりますが、今回ムサビが求めてる人材は
◎仕事を通じて自己の成長を図りたい方
◎組織の発展のために尽力する熱意のある方
◎美術・デザインを通じて社会貢献に取り組む意欲のある方
◎柔軟な創造力と着実な実行力を併せ持つ方
◎経営的視点で大学を運営できる方

の5項目です。

「美術・デザイン」という言葉がでてくるのは1項目だけで、しかも「を通じて社会貢献に取り組む意欲」なのよね。
つまり、美大卒の人が採用面接で熱く「高校生に美術の面白さを伝えたいんです!」「ワークショップと産学経験あります!」「絵を描くのが好きです!」ぐらいのことを語ってるだけじゃ「ふーん・・で?」を思われ逆効果になる可能性が高い、と。


てなことを書くと「じゃ、全然美大卒のメリットがないじゃん・・」と思うはず。
ポイントは、今まで「美大の本質的な学びがなんなのか?」を考えたこと、実感したことがあるかどうかじゃないでしょうか。
これは確実に美大出身者の優位ポイントのはずです。
「美大での本質的な学び」を体感してる人が美大職員に増えれば、もっと美術・デザイン業界や美大業界、そして社会ががよくなるはずだと信じてます。なのでたとえ総務や経理に配属されても美大卒の美大職員がもっと増えるべきだし、個人的には美大卒ほど役所に就職してほしいと思ってるくらいで。

で、その「美大での本質的な学び」とは何か?
答えは・・・最後に書きます(笑)

あ、文春オンラインで公開されたばかりのこの記事は参考になりますよ。
こんな時代に地方の美大が生き残るための方法――東北芸工大学長・中山ダイスケの考え

なんか微妙にムサビをディスられてるような気もするけど(笑)、でもおもいっきりムサビ新学部の理念とかぶるところもあり、さすが中山さん。美大関係者はこのシリーズは読んでおきましょ。
今まで美大の学長といえば、美術史やファインアート系出身者だったので「美術はステキ!」で終わってた感があり、デザイン系出身の学長が徐々に出てきてるのは美大にとっていいこと。
「ムサビデザイン系学科出身学長」ということで、うちの長澤学長と対談しません?>東北芸工さん

これを読んでから、先ほどのムサビが求める人材5項目を読み返してみてください。
どうすか。「あ。ほしい人材は美大の本質的な学びを体感してる人なんだな」と気づきませんか?
そしてこれは美大職員に限らず、大学職員に求められる人材でもあるんです。
ちなみに去年通常の採用ルートでムサビOBが津田塾大さんに就職しています。てへ。


でも、美大職員の難しいところは「とはいっても美術の世界と全く無関係じゃない」ってことで。
時々言われるんですよ。「手羽さんはいいですよね。美大卒だからデザインの知識があって」と。

ちょっと待てよ、と。
確かに彫刻の知識と経験は総合大卒の人よりあるけど、自慢じゃないけどデザインなんか全然知らないっつーねん!ほんとに自慢じゃないけども。
逆にデザイン系出身者が油絵のことを語れるはずもなく。例えるなら、体育大で器械体操学んでる人が全員アイススケートできますか?で、超初歩的な知識と「共通するスポーツの本質的な学び」は語れるけどもって話で。

手羽のほぼ9割のデザインの知識は、広報、産学連携、デザイン・ラウンジを担当するようになって「あ。今の状態じゃまずいなあ・・」と必要に迫られて学んだだけです。仕事に関係する部分を優先的に勉強したからいまだに「応用はわかるけど基礎は知らない」という状態だったりしますが(涙)
つまり何が言いたいかというと、「知らないのはあなたが勉強してないだけ!」ってことです。


あ、「美大での本質的な学び」とは何か?でしたね。
それは手羽美術大学★に書かれてあります!(びしっ)


以上、GWの合言葉は「カレンダー通りですが、それが何か?」の手羽がお送りいたしました。
いよいよ次回は「ムサビ職員」について語ります!

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OTONA WRITER

手羽イチロウ / teba ichiro

【美大愛好家】 福岡県出身。武蔵野美術大学造形学部彫刻学科卒。 2003年より学生ブログサイト「ムサビコム」、2009年より「美大日記」を運営。2007年「ムサビ日記 -リアルな美大の日常を」を出版。三谷幸喜と浦沢直樹とみうらじゅんと羽海野チカとハイキュー!と合体変形ロボットとパシリムとムサビと美大が好きで、シャンプーはマシェリを20年愛用。理想の美大「手羽美術大学★」設立を目指し奮闘中。