【美大と東大のアートの違い】第19回東京大学制作展 “WYSIWYG?”に行ってきた

2017年11月19日(日)

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11月18日(土)、午前はあかりちゃんの学芸会。
「今時だなあ」と感じたことが2点あって、それは最後に。

で、午後はこちらへ行ってきました。

東京大学本郷キャンパス、もちろんこれは赤門。
ちなみに赤門は赤門であって、正門が別にあることを今回知りました・・。

銀杏がいい感じに色づいてましたね。

東大に来るのは3年ぶりで、その時は安田講堂は大改修中だったから外観をちゃんと見るのはこれが初めて。

安田講堂では公開講座をやってました。こういう使われ方してるのね。

国立大でありがたいのは、

力強い銅像があちこちに設置されてること。
東京工業大学もそうですが、これは国公立大の特徴じゃないかと。私立だと小さな銅像が1,2体ぐらいじゃないかしら。
このソファにくつろぎながら安田講堂を見つめるように鎮座する像は濱尾新(はまおあらた)像で、総長を2回つとめ、本郷キャンパスのレイアウトを考えた人。
ちなみに制作は堀進二さんで、なんと東工大の「ツバメマーク」をデザインした人でもあります。

散策しながら目的地の

工学部2号館へ。

何をしに来たかというと、こちらを見に来たんです。


  • http://www.iiiexhibition.com/

第19回東京大学制作展
●会期:2017年11月16日(木)-20日(月) 12:00-20:00
●会場:東京大学本郷キャンパス工学部2号館2階 展示室・フォーラム+9階 92B他

https://twitter.com/iiiEx
https://www.instagram.com/iiiexhibition/

前からこの企画の存在は知ってて、ずっと一度行きたかった展示なんだけど、タイミングがなかなか合わず。だって東大がいう「アート×テクノロジーの融合」とはどういうものなのか、気になりません?

まずは第3会場から。

9階のエレベータを降りると、トリックアートを使ったサインがありました。

結構な人でしたね。
でも美大の展覧会とはやはり層が違ったかも。


  • 「動Ku光」という作品。

光を動かすとその軌跡が模様になって表示されるインタラクティブアート。

レコードにプロジェクションされた路線図を操作し、針を落とすとその街ゆかりの音楽が再生される「Music Journey」。

こちらは「Into the Womb」という作品・・のキャプション。
この形でわかると思いますが、子宮に包まれながらの胎内 VR 体験をするもの。つまり生まれる前の赤ちゃんの体験をVRでするってことですね。
あとで気が付きましたが、東工大となんとムサビ通信生が制作にかかわってました。

一人で行ったもんで写真は他の方の写真ですが、手羽も体験しました(笑)

「産道を通る体験です。きついでしょ?赤ちゃんもこんな感じのはず」と言われる。

そしてVRゴーグル、ヘッドフォンをつけ、子宮の中へ。確かに目が見えて記憶があればこんな感じなんだろうなあ。

・・・ってちょっと待って。
産道を通ってから子宮体験って流れ的に変だな。もしかして最初は精子体験ってことじゃ・・。

第1会場へ。


  • 「時は加速する」という作品。


  • 作品「ドッペルゲンガー」。

こちらは「How to Walk Branches」という作品で、アクチュエーターで接続された木の枝が機械学習によって自律的に機能を創発する作品。

動画はこちら。

コケ植物をマテリアルとして使用した3Dプリンタのコンセプト作品「bryophytes.io」。

アクリル柱が水中から上下しながら時を刻む「Χ(r/n)os」
動画はこちら。

いつまでも見てられますね。

そして吹き抜け空間の第2会場。
大型作品をこちらにまとめたのかな。

ちなみにWEBやバナー、サインはオシャレな感じに仕上がってたけど、このバナーのマップが現在地と見てる方向が反対に描かれてて、手羽はちょっと迷いました(笑)
東大生からすれば「そんなのちょっと考えりゃわかるだろ」かもしれないけど。

気温で駆動するアクチュエータによってドーム表面についた蝶が羽ばたくように変形する「Papilion」という作品。35度ぐらいで変化するそうなんで昨日みたいな寒い気温だとほとんど動かないのだけど、すごいことがわかる。

ダブルベットの間に透明な壁があるから直接は相手に触ることができないんだけど、向こう側の動作をセンサーが検出して、こっちのモーターが動作を真似する、という作品「Futon--」。
美大だと壁を作るまでで終わりかもしれない。


  • 電車のモーター音を使った音ゲー「モハトーン」


  • 水中で楽しめるファッション「Jelly Fish Wear」

たい焼きがバタバタ動く、その名も「たいやきばたばた」。
動画はこちらです。

これは美大っぽいかも。

率直な感想は、やはり微妙にアートに対する意識が美大生とは違うなーでしたね。
タマビの情報デザイン学科とか理系寄りのところとも少し違うなにか。よく言えばそれを作った理由とかその後の使われ方まで見越した作品が多かったし、悪くいえば説明的というか「作りたいから作った」な衝動的な部分がもっと表現されると面白くなるはずで。
でもこういうものを東大生が作ってるのは美大からすればほんと脅威で、「やめてくれないかな・・」が正直な感想(笑)

そのあとはフラフラと見学。

理工連携キャリア支援室。


  • エレベータの中が夜ヒット状態になるのかな(表現が古い)


  • グローバルデザインセミナー。いろいろやってるなあ

2008年にグッドデザインを受賞した安藤忠雄さん設計による「情報学環・福武ホール」。
ちなみにメディアデザイン担当チームはムサビ関係者がやってます。知ってる名前ばかり(笑)


  • 次回のU-Talkは高橋かおりさん。

東大のお土産が買えるコミュニケーションセンターがあります。
大学での研究結果で誕生した商品もあるので、手羽はユーグレナクッキーを買って帰ることに。

この展覧会は20日(月)までやってるので、ぜひ!


さて、学芸会の話ですが。

先生のお子さんの学芸会と日程とかぶってしまったので、先生は前日のリハを見せてもらうことになり、こっちのリハは欠席されたんですね。大事な教え子のリハをですよ。でも、子供たちが「お子さんの学芸会を見に行くんだって」とサラっと言ってるんです。

そして、演目は劇団四季の「エルコスの祈り」。主人公はエルリック・コスモス、通称「エルコス」という少女型アンドロイドで、今どきの学芸会らしくシーンによって一人のエルコスを3人で演じてました。でも2番目の子があきらかなウイッグで、「ああ、髪の毛の長さをそろえるためにこの子はかつらをかぶってるのかな」と思いながら最後まで見て、あることに気が付いたんです・・・「あ。あの子、男の子だ・・」
声変わりもしてないし背の小さな子でしかもスカートはいてたから、多分気が付かなかった人もいたはず。
あとであかりちゃんから聞いたら、その子が「エルコスやりたい!」と主張したらしく、「ま、●●くんならいいか」とみんなOKしたそうで。昔なら「えー。男がスカートはくなんておかしいでしょ。やーい、男おんなー!オカマー!!」と男の子たちからいじられてたはず。

この二つの出来事から思ったのは、大人は「みんな違ってみんないい」と偉そうに言ってるけど、許容・寛容・多様化社会ができてないのは大人たちであって、子供たちはなんの抵抗もなく受け入れる社会を作ってるんだな、と。
未来は明るいぞ、と。

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OTONA WRITER

手羽イチロウ / teba ichiro

【美大愛好家】 福岡県出身。武蔵野美術大学造形学部彫刻学科卒。 2003年より学生ブログサイト「ムサビコム」、2009年より「美大日記」を運営。2007年「ムサビ日記 -リアルな美大の日常を」を出版。三谷幸喜と浦沢直樹とみうらじゅんと羽海野チカとハイキュー!と合体変形ロボットとパシリムとムサビと美大が好きで、シャンプーはマシェリを20年愛用。理想の美大「手羽美術大学★」設立を目指し奮闘中。