デザイン教育の質保証国際シンポジウムに行ってきた(夢ナビライブも)

2017年10月22日(日)

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福岡訪問シリーズをお送りしています。
【芸工大】九州大学大橋キャンパスに行ってきた

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10月21日(土)朝、

鉄っちゃんだったら興奮しそうな場所にあるホテルを出発し、

電気ビル共創館3階へ。

九州大学芸術工学部主催で「デザイン教育の質保証国際シンポジウム」が行われたんです。
今日はそのレポートをお送りします。

登壇者と名刺交換する学長。

会場はこんな感じ。


  • 最初に九州大学 未来デザイン学センター長の森田昌嗣先生から挨拶。デザインハブでお世話になった方でもあります


  • 司会は九州大学の井上滋樹教授

セッション1は「デザイン教育の質を考える視点」。
「これからのデザイナーに求められるものは何か?」というテーマで3人の方が基調講演をされました。

一人目は


  • 九州大学大学院 芸術工学研究院長の谷 正和先生


  • 芸工大さんの歴史とこれからの話。

芸工大は狭い領域の専門家ではなく各ジャンルをつなぐ「高次のデザイナー」養成を目的に作られた大学なんだそうです。
デザインに求められてるのは人類の幸せであり、デザインが生み出すものは新しい価値や多様性、という話。


そして、二人目は、

武蔵野美術大学の長澤 忠徳学長です。
今回全登壇者の中で唯一の私立大学関係者だったので、私大としてのアプローチで。
学長はフリートークの脱線話が一番面白いのだけど(笑)、今回はほぼ原稿のまま語るスタイル。でもすごくいい話をされ、今回のシンポの中心となる基調講演になったんじゃないかと。


  • 3人目はKAISTのクンピョウ・リー教授

KAISTとはKorea Advanced Institute of Science and Technologyの略で、1981年に設置された韓国の国立大学。
ロイター通信の2017年世界イノベーション大学ランキングで2年連続で1位を獲得してます。

昔の職人時代は消費者を抜きにして(without)モノを作っていた。その次の時代がマーケティングを行い消費者に向けたtoの時代で、今はユーザ中心のforの時代。これからはユーザーと一緒に作るwith、ユーザーが作るbyの時代になっていくので、デザイナーは何をする人ではなく、なぜそれをするのかを考える人になる、という話。


セッション2は「デザイン教育のフレーム」。
これからの社会に必要とされるデザイン教育をどう構築するか、という話を事例紹介しながらお二人から。


  • シンガポール国立大学のクリスチャン・ブシャレンク准教授)


  • 清華大学の王 国勝准教授


ここで質疑応答タイム。

これで午前の部は終了。

お昼タイムになったので、手羽は会場を抜け出し

マリンメッセ福岡へ。
ちょうど同じ日にフロムページ主催「夢ナビライブ2017 福岡」というイベントで、うちの入試広報スタッフも来てるから様子を見に来たのです。
夢ナビライブは手羽が広報から離れて始まった企画なんで行ったことがなくて。
すごいとは聞いてたけどどんなもんかと。


  • マリンメッセはこういう場所にあります。中国から大きなフェリーが到着してた


  • ちょうど博多灯明ウォッチング2017の日でスタッフの方が準備されてた。天気が心配だなあ

会場に入ると・・・いやー、噂以上にすごい。


  • う、浮いてる・・。こんなに高校生がいるシーンは久しぶりかも。


  • こんな場所にも。

噂以上でしたね。
九州中の高校に動員がかかってて、1日で2万人近い動員だったみたい。


  • ムサビ相談ブース。


  • 美大の事情を知ってる人がレイアウトしたらありえないんだけど、ムサビの前がタマビでw

美術系大学で参加してたのはタマビとムサビと日本映画大学さんだけでした。

夢ナビライブの特長は、相談ブースだけでなく、様々な教授が30分のミニ講義をすること。


  • ムサビの講義は満席。200人ぐらいいたかしら。地方でこれだけの人数に一斉説明できることはもう難しいからありがたい

映像学科の小口詩子先生が「魅惑の映画を作る『私』を作る」という講義をされました。

夢ナビライブのメインターゲットは高校1年で、手羽家のリンクロウくんも高1.
毎日和太鼓部の生活で、口すっぱく言ってるけど「大学進学なんてまだ先」と思ってるんですよ。これだけの生徒さんが高1で大学選択活動をスタートしてることに、すごく焦りを感じました・・。


で急いで電気ビルへ帰り、シンポジウムに復活。
最終セッションの「デザイン教育の質保証アジェンダを考える」が始まったところだった。


  • 京都工芸繊維大学の岡田 栄造教授


  • シンガポール国立大学の陳培育 准教授


  • 九州大学のワイ・リオン・ロウ 助教

モデレータで九州大学・池田 美奈子准教授が加わり、「これからのデザイン教育について重要なこととは?」「今後5年間でデザイン教育が達成すべきこととは?」というテーマでディスカッション。なかなかエキサイティングな内容でした。
学会のシンポだと研究・学術的な話になりますが、様々なアジアの大学の先生が「教育者」としてこれからのデザイン教育を語る会だったので、デザイナーの倫理観だったり、「人」がテーマになってたのが面白かったですね。

基調講演も含め動画が公開されるそうなので、楽しみに待っててください。

それまでグラフィックレコーディングで我慢してね。

あ、今回登壇者に「今後5年のデザイン教育を決定づけるキーワードを4つ程度出して」というお題があったんです。
皆さんのキーワードはこちらでした。(綴り間違ってたらすいませn・・・)
●INNOVATIONS|SCENARIO|COOPERATION|SDGs(SUSTAINABLE DEVEROPMENT GOALS)
●CROSS BORDERS|DIVERSIFICATION IN VALUES|SOCIO-CULTURALLY INFORMED DECISION
●BACKCASTING|SPECULATIVE DESIGN|INNOVATIONS|CREATIVE LEADERSHIP
●RMPOWERMENT|UNFINISHED|CONNECTED|PERSONALITY
●FUNDAMENTALS|HUMAN CENTRED|ENVIRONMENT|CULTURAL IDENTITY|ETHIC
●SERVICE-ORIENTED DESIGN
●PROBLEM DISCOVERY|DESIGN THINKING|PROTOTYPING|CYBER PHYSICAL SYSTEMS|AI
●CONTINGENCY
●TRADITIONAL CRAFT|ARTISANAL KNOWLEDGE|NATURAL MATERIAL|DIGITAL FABRICATION|COMPREHENSIVE EXPERIENCE
●INTERACTION DESIGN|INTERACTION ART|INNOVATION
●INNOVATION|DIVERSITY|COOPERATION|OPEN ANSWERS
●HOLISTIC PERSPECTIVE|TECHNOLOGY PHILOSOPHY BIOLOGY|EXECUTION ABILITY|TECHNOLOGY PERSONAL NETWORK
●BIG DESIGN|DEEP DESIGN|OPEN DESIGN
●ETHIC|HISTORY AS DESIGN PROCESS|DESIGN FOR THINKING|SKILLS MAKING|POLITICS
●SCIENCE-DESIGN INTERFACE|AUTHENTIC CONNECTEDNESS|INTERGRATIVE THINKERS|CRITICAL THINKERS|CREATIVE THINKERS|FOUNDATIONS OF DESIGN PROFESSIONAL
●INTEGRATION OF RESEARCH,PRACTICE AND LEARNING|CONTEXTUAL THINKING|ALTERATIVE THINKING|CROSS-XX THINKING|ACTION AND "GESTALTEN"

「イノベーション」と言ってるのは日本人だけかと思ってたんですが、他国の先生も挙げられてることに驚きました。

皆さん、長丁場、お疲れ様でした。
そして素敵なシンポジウムに呼んでいただき、ありがとうございました!


以上、

ラーメンが最高にうまかった手羽がお送りいたしました。

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OTONA WRITER

手羽イチロウ / teba ichiro

【美大愛好家】 福岡県出身。武蔵野美術大学造形学部彫刻学科卒。 2003年より学生ブログサイト「ムサビコム」、2009年より「美大日記」を運営。2007年「ムサビ日記 -リアルな美大の日常を」を出版。三谷幸喜と浦沢直樹とみうらじゅんと羽海野チカとハイキュー!と合体変形ロボットとパシリムとムサビと美大が好きで、シャンプーはマシェリを20年愛用。理想の美大「手羽美術大学★」設立を目指し奮闘中。