【二つのターニングポイント】「社会をクリエイティブにデザインする」と「オリンピック・デザイン・マーケティング」

2018年2月20日(火)

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デザインハブで行われる二つの面白そうなイベントを紹介します。
ともに3月下旬のイベントなので気が早いけど、多分すぐに埋まると思うので。


まずはこちら。

社会をクリエイティブにデザインする

●日時:2018年3月27日(火)18:00-21:00(開場17:00)
●場所:武蔵野美術大学 デザイン・ラウンジ
●主催:ソーシャルクリエイティブ・イニシアチブ準備事務局| 武蔵野美術大学 デザイン・ラウンジ
●協力:SDN Japan、NPO法人HCD-net、 Xデザインフォーラム
●参加費:無料
●申し込み:事前申込制。こちらからお申込みください


高齢化、産業構造の変化、国際競争力、次世代の人材育成など私たちは様々な課題に直面しています。これまでの経済や価値観が変容を遂げているいま、私たちが持つ「クリエイティブによる質的な変化を生み出す力」、そしてその人材育成こそが日本をデザインする鍵にもなるはずで。

そこで2018年9月に地域・日本・世界をクリエイティブにデザインする「ソーシャルクリエイティブ・イニシアチブ(仮)」というコミュニティが発足することになりました。このコミュニティは地域、日本、世界をデザインをする情熱を持った人たちが集まり、企業、行政、教育関連者が組織の壁を越えたつながりを目指すために生まれたもの。
そのプレイベントがデザイン・ラウンジで開催することになったのです!

クリエイティブの力といえば、「社長、そのデザインでは売れません!」という本の中で、TSUTAYAを展開するカルチュア・コンビニエンス・クラブの増田宗昭社長がこうおっしゃってました。

要約すると
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クリエイティビティとはモノを作ることではなく価値を作ること。そして『価値』とは光をあてること。例えば真っ暗な中に床・壁・天井・家具があるだけじゃそれはモノでしかなく価値ではない。そこに「価値」という光を当てることでモノの存在が見えてくる。
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どうしてもクリエイティブって「モノを作ること」と思われがちですが、それは「見える化」「アウトプット」した結果であって、様々な人の価値を見つける・付加することがクリエイティブなんじゃないかと。
「デザイン」「クリエイティブ」をわかりやすく説明した言葉だと思ってます。


これは美大も同じで、「絵の勉強をする大学」と思われがちだけど、実は「それぞれの価値を考える。なければ発生させる」ことを学ぶ大学だってことがどうしても伝わらないんですよね。
まさにそれを今まで伝えてきたのがデザイン・ラウンジであり、デザイン・ラウンジでコミュニティの立ち上げイベントを開催できることはうれしい限り。

当日のタイムテーブルと登壇者は、
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17:00-18:00 プレ交流会
18:00-19:00 話題提供
・「ソーシャルとサービスデザイン(仮)」長谷川 敦士【コンセント・代表】
・「地域と社会のデザイン活動(仮)」若杉 浩一【パワープレイス・ディレクター】
19:00-20:00 ライトニングトーク「社会とデザイン」
・渡邉 健太郎【SUSANOO】
・村越 悟 【(社)PLAYERS】
・井登 友一 【インフォバーン】
・上田 義弘 【富士通デザイン】
・西村 真里子【HEART CATCH Inc. 】
・江渡 浩一郎【産業技術総合研究所 】
・玄正 慎【Coaido】
・富田 誠【東海大学】
・井口 博美【武蔵野美術大学】
・山崎 和彦【Xデザイン研究所】
20:00-21:00 ビアハッシュ「思いの交流」
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となってて、登壇者の多くが「ものづくりのクリエイター」ではなくサービスデザイン系の方なので、美術・デザイン関係者からすると「誰?」と感じる人ばかりかもしれませんが、見る人がみれば「おおっ!!」と感じる人ばかりのはず。
何かのターニングポイントになるべきイベントなので参加しておいた方がいいっすよ。
 

ターニングポイントつながりで、二つ目はこちら。

『オリンピック・デザイン・マーケティング エンブレム問題からオープンデザインヘ』発刊記念トーク

●日時:2018年3月21日(祝・水)
●時間:17:00-19:30(開場16:30)
●会場:インターナショナル・デザイン・リエゾンセンター(ミッドタウン・タワー5F 東京ミッドタウン・デザインハブ内)
●出演:加島卓氏[社会学者]
●聞き手:永田晶子氏[毎日新聞 編集委員]
●主な対象:デザイン、広告・マーケティング関係者を中心にオリンピックのデザインに関心をお持ちの方(学生も可)
●参加費:無料
●定員:100名
●申込方法:先着順で受付。こちらから申込ください

2015年に起きた東京オリンピック・パラリンピック「エンブレム問題」。
確実にデザイン界において「エンブレム前と後」というターニングポイントになった出来事ですが、「結局エンブレム問題って何だったのか?」がモヤモヤとしてる人も多いはずで、私もその一人。

「パクリか?」「出来レースか?」の議論だけで終わらせず、デザインとオリンピックの歴史的な文脈、デザイナーと広告代理店とメディアと市民が織りなす現代的な社会問題を、報道記事や報告書、書籍、ブログなど膨大な史料をもとに丁寧に検証し、さらに東京大会以降の「未来」においてデザインはどうなるのか、が書かれた一冊です。

著者の加島卓さんは、東大大学院学際情報学府博士課程修了。東京大学助教などを経て、現在は東海大学文学部広報メディア学科准教授。日本のデザイン史と広告史、メディア論などを専門とされています。
ムサビ芸術文化学科の非常勤講師もされてるし、「フラットカルチャー:現代日本の社会学」という本の中で「美大論」を書かれてるので、お名前は以前から存じ上げてました。

 
言ってしまえばその発刊記念イベントなのですが、何がすごいってデザイン界においてタブーになりかけてるこの話を「日本デザイン振興会さん主催でデザインハブでやる」ってことで。
この凄さ、わかってもらえるかしら。

そしてなぜこんなにこの本を宣伝してるかというと、

手羽が書いたブログも参照されてまして(笑)
TOKYO 2020 大会エンブレムデザイン募集 | 美大ラウンジ(裏)
↑これですね。まさか永井先生の隣に「手羽イチロウ」の名前が並ぶ日がやってくるとは誰が想像しよう。

ブログを書いたた時はほとんど注目されなかったんだけど、公式応募要項サイトが見れなくなった関係でエンブレム発表日は1日で2000、白紙撤回のあった9月1日は4000アクセスを超えました。
当時この情報を元データにして書かれた記事も多く、文中で「中途半端で信用されても困る数字」と何度も言ってるのに、「候補対象は80名から300人だった」といくつかのメディアでもっともらしく使われてたっけ。実は手羽もこの大騒動にうっすら巻き込まれてた1人だったのです。てへ。

個人的に最大のポイントは「こんな大事な発表だったのに、デザイン関係者も含めてほとんどの人が気にしてなく、発表・騒動が起きてから注目され、手羽みたいなデザイン素人のブログを元に記事を書くしかなかった」ことだと思ってます。


あ、オリンピックといえば、小平市でこういうイベントがあります。
東京2020に向けた市民ミーティング イン 小平
このワークショップで、視デの齋藤先生が講師をされまっせ。
■共生社会
日時:2月24日(土曜)午後2時30分~5時、3月18日(日)午前10時~正午
講師:齋藤啓子さん(武蔵野美術大学 教授)
ファシリテーター:上原哲子さん(小平市社会福祉協議会)

齋藤先生といえば立川の・・・って、この続きは後日。


以上、公認ブログラム・文化プログラムロゴマークのレギュレーションがなかなか厳しくて、もう少し使い勝手よくならないものかなー、数を増やしたいなら申請と仕様レギュレーションを簡単にしないと難しいだろうなあ、と感じる手羽がお送りいたしました。

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OTONA WRITER

手羽イチロウ / teba ichiro

【美大愛好家】 福岡県出身。武蔵野美術大学造形学部彫刻学科卒。 2003年より学生ブログサイト「ムサビコム」、2009年より「美大日記」を運営。2007年「ムサビ日記 -リアルな美大の日常を」を出版。三谷幸喜と浦沢直樹とみうらじゅんと羽海野チカとハイキュー!と合体変形ロボットとパシリムとムサビと美大が好きで、シャンプーはマシェリを20年愛用。理想の美大「手羽美術大学★」設立を目指し奮闘中。