【拡張・共生】イノベーティブシティフォーラム2017に行ってきた

2017年10月13日(金)

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10月12日(木)、朝から六本木ミッドタウン・・・

じゃなくてヒルズへ。「アートナイトの時しか来ない」と書いたばかりだけど、すぐ来ちゃった。

六本木ヒルズ森タワー49階のアカデミーヒルズ。
ここは3回目ぐらいかな?

49階から望む六本木。
右端の高いビルがミッドタウンで、左側に国立新美術館が見えます。
左端に「P」と書かれた巨大な駐車場みたいな空間は何だかわかります?ここは23区で唯一の米軍基地(赤坂プレスセンター)でヘリポートなんです。

んでここに何しに来たかというと、

Innovative City Forum2017(以下ICF)というイベントのキーノートセッションに参加したんです。

ICFは、2013年から始まり今回で5回目。Art、Design、Science、Technology、Urban Developmentの各分野で先進的な活動をされている国内外の専門家が登壇して、都市とライフスタイルの未来像を議論しているそう。
・・手羽は知りませんでした・・ヒルズ族じゃなくてミッドタウンファミリーなもんで・・。というか今回招待状をいただいたので参加したんですが、本当なら1セッション5000円ですからね。サラっと参加するには敷居が高く、手羽アンテナからは外れてたようで・・。

今年のICFは、科学・技術、アート・デザイン、都市開発の視点に更に経済・産業分野の視点を加え、午後のセッションでは「拡張(Augmentation)」「共生(Symbiosis)」をテーマに議論することになっています。

最初のシティブレインストーミングの進行役は竹中平蔵さん。今の肩書は「東洋大学教授 / 慶應義塾大学名誉教授 / 森記念財団都市戦略研究所所長 / アカデミーヒルズ理事長」なんですね。
最初はプログラムコミュッティからの提言という形で、右から明治大学公共政策大学院ガバナンス研究科長・教授/ 森記念財団都市戦略研究所理事の市川宏雄さん、森美術館館長の南條史生さん、MITメディアラボ所長の伊藤穰一さんが登壇。
個人的にはミーハーなもんで伊藤さんを見に来ました(笑)

双方向議論のために、SmartClickを使ったリアルタイム集計で進行していきます。

最初は、東京を良くするるアイデアとして、プログラムコミュッティ3名の案でどれが一番いいか?という質問。
市川さんは「『花の都・パリ』みたいに『●●の都・東京」と冠をつけたい』という案。
南條さんは「経済を発展させたければ、もっと文化にお金を使うべき」、伊藤さんは「官と民間だけでなく、国民もプロセスに巻き込む」という案。

結果は、

こうなりました。
南條さんのマニフェストが認められ、見事に当選。おめでとうございます(笑)

こんな感じで観客集計取りながら、これから始まるフォーラムの問題提起がされました。
あ、他にどういう質問があったかというと、


  • クリエイティブシティを実現するには、どちらを振興するべきか


  • 2025年の東京のイメージはどのようになっててほしいか。


  • 身体機能を拡張できるとしたらどこか。

結果は最後に書きます(えっ)


さて、最初の基調講演は、

日本デザインセンター代表取締役社長で、ムサビ基礎デザイン学科主任教授の原研哉先生です。
テーマは「遊動の時代 / 伝統の未来」
遊動については、以前から原先生が提案されてる「半島航空」で手羽も何度か聞いたことがありました。

日本の文化は「空っぽ(empty)」という話が面白かったですね。
西洋では「簡素(simplicity)」という概念が約150年前にできたけど、それよりも前に日本では「ないけどあるように見做す」「枯れた風情」「侘び」「間」を大事にする「空っぽ(empty)」という概念が存在してる。

この記事のトップバナーに使ってる画像。
これはなにかというと、外務省が戦略的対外発信強化の取組として、日本の魅力を発信するための情報発信拠点「ジャパン・ハウス」をロンドン、ロサンゼルス、サンパウロの3都市へ設置を進めており(サンパウロは今年オープンしました)、原先生は現在そのプロジェクトの総合プロデューサーをしてます。
ジャパンハウスの話もされてました。

初見の驚きだけを求めるのであれば、ハッピ着て神輿担いでお祭りをやるステレオタイプな「なんちゃってJAPAN」なイベントをやれば済むけど、日本の文化はそんなに理解が簡単なものではない。なんせコンセプトが「空っぽ」なんだもん。
古い伝統だけでなく、ハイカルチャー・サブカルチャー・ハイテクノロジーも使って、国内外に「日本とは何か」「いかに日本を知らなかったか」の気づきを発生させたい、と。

基調講演2は、NASA本部で働き、現在は社会発展研究者(Scholar of Societal Development)のダニエル・ウッド博士による「社会課題を解決する新たなデザインを求めて~超小型衛星がもたらす宇宙からの視点~」の話。ドリームが見たくなった。


基調講演3は、建築家・s/he _ New-Territories私設秘書であるフランソワ・ロッシュさんによる「デジタル時代後の人間工学についての考察」。

これは難しかった(笑)
多分会場にいたほとんどの方が理解できなかったんじゃないかと思うのだけど、なにが難しいって、プロフィールを読んでもらうとわかります。
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New-Territoriesは1993年に設立された多形的建築集団で、以後さまざまな表題・名称・戦略・目的を掲げてきた。New-Territoriesの代表を務めるのは性別を凌駕した両性具有のアバター _S/he_であり、彼=彼女は私設秘書、PSとして選任したフランソワ・ロッシュに自らの代弁者として著作、発言及び指導を担当し、この曖昧模糊としたシステム、妄想じみた精神の道標、アリアドネの糸となるよう付託している。
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と、存在自体がこういう設定なんです(笑)
ただアーティストの切り口で聞いてるとすごくスリリングで面白い話で、美大生に聞かせたい講演だったかも。
基調講演をされた3人ともいい話で、5000円の価値はありましたな。


・・・えーと、でも、ここは突っ込ませてもらっていいですか?
富士通さんの音声認識による自動文字変換システムがずっと前に表示されてて、日本語⇔英語もリアルタイム翻訳変換されてたんです。
肩書・名前等固有名詞は登録されているのか「え。それもちゃんと変換しちゃうの?」とびっくりだったし、しばらくすると前の文章が自動的に修正されてる(ように見えた)ので、恐らく前後の文章から「あ。さっきはこう表示したけど、こっちの方がよさそうだね」とAI的な何かが判断してると思われる動作があったから、技術は相当なものなはずですが、・・・

まだ認識力がそれほど高いわけでなく・・えーと・・まだ実戦で使うには少し早すぎたんじゃないか、逆効果になったんじゃないか、多分多くの人が「グーグル翻訳の方がよくね?」と思ったんじゃないか、と・・・。
ただ、こういう技術を思い切って使うことによって次の発展があるんであって、まだ試験段階のシステムをこういう場で提供された富士通さんはすごいな、と。


10月14日(土)までは「イノベーションの現在と先端技術を体験できる1週間」として、ヒルズな様々な場所でイベントや展示が行われています。


  • ヒルズカフェでは

東京工芸大学さんがロボットサッカーをやってた。


んで、このままフォーラムだけで帰るのももったいないので、


  • 森美術館と

ジャンプ展をようやく見ることができた。会期ギリギリ・・。


以上、

タイムマシンがあったら半年前ぐらいに戻りたい手羽がお送りいたしました。



 
あ、結果でしたね。忘れてた。
「拡張したい部位はどこか?」は「頭と体両方」が1位。
ただアメリカだと宗教倫理観の関係で「拡張なんかしたくない」という反対意見の方が圧倒的に多いはずで、日本人があまり抵抗がないのはアニメや漫画の影響が少なからずあるのではないか。
「2035年になっててほしい東京のイメージ」は1位がユニーク、2位が洗練、3位が先端(手羽は洗練に投票した)。
「クリエイティブシティを実現するには伝統文化か新しい文化か?」は、予想どおり新しい文化が勝ったけど、思ってたよりは差がなく、意外とまっとうな結果に。
ちなみに昨日、このイベントの主催である森記念財団都市戦略研究所が2017年版「世界の都市総合ランキング」を午後に発表しています。
東京3位、ニューヨークに接近 世界都市ランキング:日本経済新聞

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OTONA WRITER

手羽イチロウ / teba ichiro

【美大愛好家】 福岡県出身。武蔵野美術大学造形学部彫刻学科卒。 2003年より学生ブログサイト「ムサビコム」、2009年より「美大日記」を運営。2007年「ムサビ日記 -リアルな美大の日常を」を出版。三谷幸喜と浦沢直樹とみうらじゅんと羽海野チカとハイキュー!と合体変形ロボットとパシリムとムサビと美大が好きで、シャンプーはマシェリを20年愛用。理想の美大「手羽美術大学★」設立を目指し奮闘中。