関西と関東の美大の違い2

タイトルバナーはPARTERライター総会でPARTNER卒業生が作ったケータリング。ども、昨日は新宿センタービルにあるムサビ新宿サテライトで1日会議をやってた手羽です。

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新宿センタービルから宝塚大学新宿キャンパスを撮影。
近いのに遠いキャンパス。


前回までの話はこちら
関西と関東の美大の違い
予想以上に「関東は講評会、関西は合評会」話で盛り上がっていただけたようで(笑)


1.大学の通称も違う。
「ムサビ」「タマビ」は、ありがたいことに全国で通じる呼び名ですが、地域によって、人によって通称が変わる場合もあります。

京都の美大を例にしましょう。

京都精華さんや成安造形さんは「セイカ」「セイアン」のはず。
これは多分大丈夫。
問題は、京都市立芸大さんと京都造形芸術大学さんと京都嵯峨芸術大学さんで。

京都市立芸大さんのことは、東京の私たちは「市芸さん」とか「京都芸大さん」と呼びます。
市立の芸術大学は京都市立芸大さんしかないから「イチゲイ」で通じちゃうんですね。
京都造形芸術大学さんは100%「京都造形さん」。
東京には東京造形さんがあるから「造形さん」と縮めることはありません。
京都嵯峨芸術大学さんは・・・「サガさん」かな?
私が受験したころは「嵯峨美術短期大学」(2001年に京都嵯峨芸術大学に改称)だったから、手羽は「サガビ」と呼ぶことの方が多いのだけど。

でも、京都の方は京都市立芸大さんは「きょうげい」、嵯峨芸大さんは「さがげい」、京都造形さんは「きょうぞう」「ぞうけい」と呼ぶことが多いそうです。
美大日記をやってる時に京都造形の学生ライターさんが「京造」という呼び名は使ってて、「へー、今はそんなふうに略すんだ」と思ったもんです。

また、大阪で「ゲイダイ」といえば大阪芸術大学のことだけど、東京では100%東京藝術大学
よくネットで
Aさん「オレ、今高校3年だけどこれから芸大目指そうと思ってる」
Bさん「今からやって受かるわけないだろ!バカか!死ね!」
てな無駄なやりとりが生まれることがあるけど、多くの場合はAさんは大阪芸大のこと、Bさんは東京藝大のことをいってるケース(笑)
「芸大」には「芸術系(美術や音楽)大学全般の略称」の意味もあり、さらに話がややこしくなるので、詳しくは違う記事で書きます。

造形大」も関東では間違いなく東京造形大学を表すけど、新潟方面で「造形大」と言ったら長岡造形大学さんのことだし、名古屋だと名古屋造形大学さんです。
「メイダイ」と言った時に地域(または年齢)によって「明治大学」か「名古屋大学」か違う、みたいなもんで。


どうですか。
だんだんとこの面白さがわかってきましたか?(笑)


2.学科の略称だって違う。
その大学特有の学科名略称があり、例えばムサビだと
●日本画学科・・・ニホンガ
●油絵学科・・・アブラ
●彫刻学科・・・チョーコク
●視覚伝達デザイン学科・・・シデ(視デ)
●工芸工業デザイン学科・・・コウデ(工デ)
●空間演出デザイン学科・・・クウデ(空デ)
●建築学科・・・ケンチク
●基礎デザイン学科・・・キソデ(基礎デ)
●映像学科・・・エイゾウ
●芸術文化学科・・ゲイブン(芸文)
●デザイン情報学科・・・デジョー(デ情)

というのが、大学公式・・・公式?・・・の略称。

でも、地方の予備校・高校だと独特の文化があって、視デのことを「シカデ」「シデン」、デ情のことを「デザジョー」と呼んでるケースもあります。「シデン(視伝)」と略してる人もいたっけ。
進学相談会で高校生から「ムサビのシカクはどんなところですか??」と聞かれて、「ん?資格?四角?刺客?死角?」と悩んだこともありました(実話)。
「ムサビの視覚(伝達デザイン学科)はどんなところですか?」という意味だったんだけど、確かに「視覚伝達」なんて単語、美大を目指さない限り使わない言葉だし、普通の高校生が「視デ」という略称を知ってるわけもなく。
逆にこの学科略称を知ってると美大通・ムサビ通に見えますのでぜひ使ってください。

タマビのグラフィックデザイン学科も「タマグラ」と略す人もいれば、「グラ」と略す人や「グラフ」を使う人もいます。
タマビ広報スタッフが「グラフ」と呼んでたので、形から入る手羽は「グラフ」を使ってます(長いものに巻かれるタイプ)
「タマビのプロダクト」も多くの人は「プロダクト」なんだけど、タマビ内部の人が「ダクト」と呼んでるので、タマビ通の手羽は「ダクト」と。


3.学生生活だって違う
PARTNERライター総会で、そのグラフの学生さんが「ムサビの視デには100ドロって授業があるんだって」という話をしてて、「あ。多摩美にはないんだな。実はデ情でもやってるのよ」と思ったシーンがありました。
ムサビ関係者からすると昔からやってる普通の授業なんだけど、多摩美生には「珍しい授業」と感じることもある。ムサビとタマビでも違うし、知らないことも多いんですね。

また、初めてムサビに来る人がびっくりするのは「校内に貼られたチラシ」です。
私たちには「日常風景」なんだけど、こんなにあっちゃこっちゃに貼られ、しかもカラー出力され、デザインされた張り紙があることに感動するそう。
私が広報の時、オープンキャンパス直前に清掃さんが「校内が汚く見えるから」とチラシを全部はがしてたんですよ(この考えも一理あります)。でも、「美大の日常」を見てもらいたいのでやめてもらったりもしました(笑)


4.当たり前に思ってることは当たり前じゃない
タイトルの「関西と関東の美大の違い」から全然違う話になっちゃってるけど(ぼそっ)、言いたいことは「当たり前に思ってることは、人も場所も変われば当たり前じゃない・・かもしれない」ってこと。

ムサビ日記や美大日記の学生ライターさんに普段から言ってたのが、「単なる情報はつまらない」です。
「大学でこんなイベントあります」「イベントありました」なだけのカチンコチンな情報は大学公式サイトに任せればいいわけで、「自由な学生ブログ」ではそこに自分の感情とか熱い気持ちも書いた方が面白くなる。
「へー、そういう視点があるんだな」と気づきがうまれ、読み応えのある記事になるんですよね。
普段の何気ない日常や感想も、他の人からすれば異常な日常や感想かもしれないわけで。

最初に「ムサビ・タマビはありがたいことに全国で通じる呼び名」と書きましたが、これだって一般の方には全く通じない完全な「美大用語」ですから(キッパリ)


PARTNER_WEBはすんごく上質の情報を流してると思うけど、もっと気楽に考えてそういうのもアリなんじゃないかと。


今回のまとめ
●手羽美★の学生ブログをスタートする時は、いつもの日常を書いてもらおう。
●唯一のNGは「手羽をいじってもいいけど、いじめるな」ってルールで。



よし、手羽美術大学★開設の野望がまた一歩近づいた!!

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OTONA WRITER

手羽イチロウ / teba ichiro

【美大愛好家】 福岡県出身。武蔵野美術大学造形学部彫刻学科卒。 2003年より学生ブログサイト「ムサビコム」、2009年より「美大日記」を運営。2007年「ムサビ日記 -リアルな美大の日常を」を出版。三谷幸喜と浦沢直樹とみうらじゅんと羽海野チカとハイキュー!と合体変形ロボットとパシリムとムサビと美大が好きで、シャンプーはマシェリを20年愛用。理想の美大「手羽美術大学★」設立を目指し奮闘中。