■これまでのあらすじ。
4月、別府の某大学に合格したリンクロウだがオンライン授業で東京生活を強いられていた。
後期も「対面orオンライン授業」が発表され、このまま東京に残ることも可能だったが、払いっぱなしの家賃ももったいないし、後期授業開始日10月5日の2週間前に別府入りしたのだった。
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コロナ直前の2月、奥さんとリンクロウが取り急ぎアパートを決めただけだったから、「家財道具一式をそろえる」が今回の最大のミッション。
昨日、4泊5日の別府生活から東京に帰ってきたので、その様子をレポートします。あ、美大話は一つも出てきません。
なんせ家財道具が一つもないし、男二人でリンクロウのアパートに泊まるのも嫌だったので、この期間
手羽家の定宿となってる杉乃井ホテルに泊まってました。ビジネスホテルでも良かったんだけどなんとなく(笑)
杉乃井ホテルは巨大なリゾートホテルで、
ボーリング場もあったり、ホテルの端から端まで1km以上あるんじゃないかしら。循環バスが常に走ってるくらい。
昔から九州ではテレビCMが流れてるから、九州人からすれば「一度泊まってみたい憧れのホテル」なはず。手羽もそうでした。でも団体旅行客減少、施設の陳腐化などで経営が苦しくなり、2001年に民事再生法適用を申請して、オリックス不動産グループ傘下に(今回の旅行まで知らなかった)
そこから大幅なリニューアルを行い、早い段階で韓国や台湾からの団体客を積極的に誘致して復活に成功しています。
リニューアルはまだまだ続き、
■「別府 杉乃井ホテル」大規模リニューアルに着手~新棟の建設など、2025年に全面完了予定~
2025年までに老朽化した本館を解体、新棟2棟建築することが2019年6月に発表されてます。現在の客室数647室、宿泊定員2,636名と今でも全国有数の規模ですが、最終的に客室数は700室になるそう。
本館14階に泊まってたんで、ここからの景色はこれが最後かも。
このタイミングでの大規模リニューアルは建物老朽化や急激に増えた外国人観光客対応もあるだろうけど、2019年8月に「ANAインターコンチネンタル別府リゾート&スパ」開業、2021年春頃には隈研吾設計の「星野リゾート 界 別府」が開業するのも関係してるはず。素直に星野リゾートは泊まってみたい。
ただ、去年泊まった時はロビーも食堂もアジア系外国人ばかりで、ほとんど日本語が聞けない状態だったけど、今回は日本人しかいない状態。これからどうなるんだろう。
と杉乃井ホテルの心配をしてる場合じゃなく、リンクロウのアパートを仕上げないと。
大型ワンボックスカーをレンタルして、ニトリとリサイクルショップと100円ショップを何度も往復し、
あとは取り寄せのデスクが届けば完成ってところまで5日間で持ってくることができました。9割ニトリ。
手羽が学生時代はブラウン管テレビが生活必需品で、テレビの場所ってそんなに変更できないから、ほぼレイアウトが決まっちゃってましたよね。リンクロウが「テレビはいらない。PCがあればいい」と言った時は時代を感じましたな。固定電話もないしね。
今回の準備で地味に面倒だったのが、古紙以外のゴミが全部有料なところ。
有料ゴミは小平市とかもそうだけど、東京と全然分別方法が違うから、何度かやり直した・・。
リンクロウは指定された日にちゃんとゴミ出せるんだろうか・・。
「にしても、この準備に5日間かかる?」と思ったあなた。
正解。
ずっと引っ越しをやってたわけじゃなく、ちょいちょい観光もはさんでました(笑)
水曜午後は学内理事会にzoomで2時間参加したりしてたけど、暇を見つけては前から行きたかった場所に足を運んでたんです。それで5日間かかったわけで。
まずは、
高崎山自然動物園。
何度か別府には来てるけど、なかなかタイミングがなくようやく。
もちろん猿だらけ。
人間に慣れてるので、変なことしない限りは襲ってきたりもしません。猿かわいい。
でも個人的にビックリしたのは、
入り口付近にある、この猿の銅像。
一瞬でその辺の作家が作った銅像じゃないのがわかるレベルで、看板見たら、
なんと朝倉文夫作だった。朝倉さんって大分出身だったんですね。
朝倉文夫を知らない人のために説明すると、「早稲田大学の大隈重信像を作った人」が一番わかりやすいかな。
ムサビにも関係してて、札幌中島公園にある木下成太郎像も 朝倉文夫作で、木下成太郎とは大東文化大学とムサビの創設にかかわった方なのです。
■木下成太郎 ~大東文化協会創設の立役者~ | ヒストリア | 大東文化大学の歴史 | 2023年、大東文化大学は創立100周年
いやー、いいもん見た。
続いて、
グローバルタワー。
巨大で目立つから、多分ほとんどの人が別府に入ると「なんだありゃ」と思うはず。
全高125mで、設計はやはり大分出身の磯崎新さん。
大きく弧を描く部分は、別府公園中央部の標高ゼロメートル地点を中心とする直径1kmの巨大な仮想球の一部をなす曲面を想定してデザインされてるそう。そう、直接構造には関係ないんです。これが驚き。
2本の円柱の支柱はそれぞれエレベーターシャフトと階段で、100m地点の360度オープンデッキの展望テラスまで登ることができます。
高所恐怖症のくせにタワーとお城好きな手羽。横は何度も通ってたけど、ここもなかなか行くチャンスがなかったんですよ。
てなわけで登ってみた。
全然深くはないけど深い言葉に取れる格言をお送りします。
「タワーは登るとタワーが見えない」
東京タワーもスカイツリーも京都タワーもそうだったけど、手羽が一番見たいのは「高いところから見たタワー」であって、タワーがない風景ではないんですよ。でも登るとタワーが見えなくなる。どうですか、深いですか。
んで25日の早朝に行ったのが、どうしても今回行きたかったところ。
これだけじゃわかりませんね。
国宝臼杵石仏です。
自然の岩壁を彫って造立された仏像を「磨崖仏(まがいぶつ)」と言い、大分県臼杵には平安時代後期から鎌倉時代にかけて凝灰岩の岩壁を彫った磨崖仏群があり、その61体すべてが国宝に指定されています。
大分は国東半島の熊野磨崖仏を始め磨崖仏がたくさんある県で、大分県には全国の磨崖仏の6~7割が集中してるそう。
学生時代からすんごく見たかったんだけど、なかなか不便な場所にあり、子供が小さいとその移動時間をかけるんだったらサファリパークやハーモニーランドなどを選ぶしかなく。
でもリンクロウも大学生だし、そろそろこの価値もわかる頃かな、と。
切り出した石を彫って置いたわけじゃなく、自然の岩を彫る。
ミケランジェロの「大理石の中の天使を自由にした」という言葉があって、彫刻家はその形を作るのではなく、石や木の中にもともと存在する姿をみつける役割だと言われてます。
当時の仏師も山岩を見ながら「なんだ、仏様はここにお隠れになってたんですね」と笑いながら何体も何体も彫ったんじゃないかと想像すると、なんか涙が出てくるんです。
こちらが臼杵石仏の中心的存在でもある「古園石仏」。
これが一番見たかった・・・んだけどなんか違和感があって、自分の記憶とぴったり一致しない。
はてなんでだろう?と思ってたら、近くにあった写真で理由が判明。
崩壊破損が激しく、長年の修復工事で平成5年に仏頭が復位したんだとか。
その前の状態が、
小さい頃から見てた風景はこれだ!!
仏頭が復位して荘厳な姿になった気もするけど、仏頭が置かれ緑に包まれた前の状態の方が神秘度が高ったんじゃないかしら。しかも恐らくコンクリの修復もなんか甘い気がする・・。
修復って難しいですね・・。
去年APU、OPAM、地獄めぐり、ラクテンチも寄ったし、だいたいこれで大分で見たかったところは行けたかな。あとは熊野磨崖仏と大分県立芸術短期大学さんぐらい。次は卒業式のタイミングかしら。
別府は温泉もあるし、魚もご飯もおいしく、5日間温泉+朝夕バイキングですっかりお肌がスベスベムチムチになりました。
日差しが強くても湿気が低いからじっとりした汗をかかないし、ほんと住みやすい街。仕事があったら移住してもいいなーと思える街ですね。
おっと、そろそろ飛行機の時間だ。
大分空港に着くと、
APUの販売ブースがあった。さすが。
つい「大分銘菓『ざびえる』APU開学20周年記念 特別パッケージ」を買っちゃった。でも出口学長カレーの756円は高すぎるなあ。。
APUといえば昨日25日が9月入学生の入学式だったんだけど、こういう記事が出てました。
■APUで留学生の入学辞退相次ぐ|NHK 大分県のニュース
APUは学生の約半分が留学生だから、2割が辞退って通常の大学より影響は大きいはず。
以上、
大分で頑張ってほしいリンクロウの手羽がお送りいたしました。
東京に着くと
金太郎がかわいい顔してお出迎え。
これから愛情はあかりちゃんと猫ちゃんたちにそそぎます。
あ、プレゼン資料を作るので木曜日まで更新休みます。
【美大愛好家】 福岡県出身。武蔵野美術大学造形学部彫刻学科卒。 2003年より学生ブログサイト「ムサビコム」、2009年より「美大日記」を運営。2007年「ムサビ日記 -リアルな美大の日常を」を出版。三谷幸喜と浦沢直樹とみうらじゅんと羽海野チカとハイキュー!と合体変形ロボットとパシリムとムサビと美大が好きで、シャンプーはマシェリを20年愛用。理想の美大「手羽美術大学★」設立を目指し奮闘中。