【中学校を美術館に変える】ムサビる!2017に行ってきた

2017年8月6日(日)

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8月5日(土)、あかりちゃんを連れて東大和市立第五中学校へ。

土曜日に中学校へ何しに来たかと言うと、もちろんこちらです。

ムサビる!~好奇心「好きをつめこめ」~
●会期:2017年8月5日(土)、6日(日)
●時間:9:00-16:00
●会場:東大和市立第五中学校(東京都東大和市芋窪5-1119)



ムサビる!の説明の前に「旅するムサビプロジェクト」についてサラっとおさらいを。

全国各地の学校や美術館などを訪れ、学生が子ども達と対話をしながら持参した作品を鑑賞する「対話型鑑賞」、中学校などの空き教室でムサビ生が制作に取り組む「公開制作」、 子どもと一緒に制作する「ワークショップ」、 そしてご存じ「黒板ジャック」等、これらをひっくるめたプロジェクトを「旅するムサビプロジェクト」、略して「旅ムサ」と呼んでいます。

このムサビる!もその旅ムサの一環で、ムサビOBの中学校美術教諭・未至磨明弘先生が「子どもたちに本物の美術に触れてもらいたい」と旅ムサの仕掛人でもあるムサビ・三澤先生に相談したところ、「普段中学生が使ってる学校にムサビ生や教員の作品を展示して美術館にしてしまえばいいんじゃない?」と提案したことから始まります。
2009年からスタートし今年で9回目。来年は10周年なんだね。

あ、こちらが三澤先生です。

学校そのものを美術館にすることによって美術を身近に感じてもらうので、別名「中学校美術館化計画」「スクールアートプロジェクト」とも呼んでており、 「ムサビる!」のポイントは、やはりこの「生きてる中学校に美大生や教員が展示する」です。
「廃校での展示」「使われてない教室で展示」は、ま、よくある話なんですが、「現在もバリバリに使われてる中学校全体を使って大学生が展示する」てのは全国でもこのムサビる!ぐらいじゃないでしょうか。校長先生を始めとして美術以外の先生のご理解がないとできないことなので、真似したくても多分他の中学校ではかなりハードルが高いはず。
未至磨先生のご尽力と情熱につきますね。

では会場に入ってみましょう。


  • 芸文・杉浦先生と米徳先生が「にやんこ先生とびっくり探検隊」をやってた。


  • これは1,2階のフロアマップですが、中学校全体でやってるのがわかるはず。

いろいろワークショップもやってて、こちらは玉ねぎ、ブドウの2種類を使ったハンカチ染めワークショップ。

他にもこんな感じでやってます。
あ。学生だけでなく、先生や助手さんも展示してます。


そして美大関係者だけでなく、ムサビ生と中学生が一緒に進めた展示企画もあって


  • こちらが中学生展示の会場。


  • ムサビ生と一緒にどんな展示にするのか考えるところからやってるんです。テーマは「secret tree」

フォトスポットも(笑)
こうやって展示室で来場者を迎え、「質問があったらなんでもどうぞ」と声をかけるのは彼らにとって初めての経験じゃないかしら。こういう美術を通した「経験」もあるってことですね。 
あ。ちなみに9年もやってると、この東村山五中で中学時代にムサビる!に参加したことから、ムサビに入学した学生さんもいるんです。


  • こちらは中学生のドローイング

あかりちゃんが床に落ちてる手袋を発見。
「あ、落とし物だね。展示が始まったばかりだし多分落とし主が探しにくるだろうから、今はそのままにしとこう。一回りしてまだあったら受付にもっていこう。しかし、これも作品みたいだね(笑)」
と答える。
 


  • よーーく見ると、


  • つまようじ(竹串?)がささってる。8000本使ってそう。


  • チンパンジー(♀)のスザンヌちゃんとニホンザル(♂)のうめ丸君


  • 題名は「宮下公園」で、テーマはもちろん「ホームレス」。実際にホームレスの方に会ってインタビューしてきたそう。


  • 1000個のQRコードを使ったインスタレーション。「あたり」もあるそうです。

それにしても普通教室はクーラーが入ってるけど美術室や理科室等の特別教室は都の補助金対象外なのでクーラーが設置されてないんです。監視する方は1日暑かっただろうなあ・・。


作品もいいんだけど、毎回ムサビる!に来るたびに中学生の日常生活から生まれたアート性が楽しみだったりします。


  • 壊れた時計。「外せばいいやん」は理系の考え方(笑)

毎年チェックしてて、一番好きなのがこの「体育館に何気なく干された雑巾」なんです。
この絶妙な配置とバランス、ぶら下げ具合、周りの水色との関係とか、意識したら絶対に出せない(笑)
さらに作品にしようと思ったらつい色味を一色ぐらい入れちゃうもんだけど、あえてモノトーンで統一されてるのもよく、どの作品よりも現代アートしてるように見えるんですよね。
やっぱりこういうもののパワーにはかなわない・・。

教室だったり工場だったり普段使いされてる場所での展示は、ホワイトキューブでの展示よりも周りへの気の使い方、事前計画、空間の意識がより必要で、単純に「場所がもらえたから展示しましたー」ではなく、いかに空間と共有するか、影響させるかが重要になり、そうしないと「場に負ける」ってことが起きちゃうってことですね。 

今年は朝1で行きましたが、例年より来場者が多かった印象でした。それと来場者の層も幅広くなったかな?

 
帰ろうとしたら、あかりちゃんが「お父さん、これ・・・」と指さす。

手袋・・・・
さ、作品だったのか・・パっと見は革だと思ってたけど、よーーく見たら、これブロンズやん。
あわててパンフレットを見ると、非常勤講師の松本さんの作品だと判明。や、やられた・・・。


以上、

蝶になった手羽がお送りいたしました。
「手羽さんでもいいけど、できれば可愛い女子で」と言われたんだけど、あかりちゃんに「写真撮ってあげようか?」と誘ったけど「絶対にイヤ」と断られたの!(涙)そんなのわかってるよ、おっちゃんが蝶になったところでなんなんだって話ですよ。
もうあかりちゃんも小5だもんなあ・・・一緒にムサビるに行く・・・いや、一緒に出かけててくれるのも今年の夏が最後かな・・・。

ムサビに立ち寄って、この日やってた公開講座の様子を見て帰るのであった。

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OTONA WRITER

手羽イチロウ / teba ichiro

【美大愛好家】 福岡県出身。武蔵野美術大学造形学部彫刻学科卒。 2003年より学生ブログサイト「ムサビコム」、2009年より「美大日記」を運営。2007年「ムサビ日記 -リアルな美大の日常を」を出版。三谷幸喜と浦沢直樹とみうらじゅんと羽海野チカとハイキュー!と合体変形ロボットとパシリムとムサビと美大が好きで、シャンプーはマシェリを20年愛用。理想の美大「手羽美術大学★」設立を目指し奮闘中。