デジハリに入ったら、これ!これからのデジタルクリエイションを考える講義に潜入!

未来を担うクリエイターを育てる、デジタルハリウッド。今回は、現役美大生の筆者が、デジタルハリウッド・杉山知之学長の講義「デジタルコミュニケーション概論」にお邪魔しました。4時間にもわたる熱の入った講義の模様をレポートします。

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デジタル時代の先駆者が行う、最先端のクリエイター教育

「デジタルコミュニケーション概論」は、デジタルハリウッド開校以来23年間続く看板授業。1億総インターネットユーザーの時代を生きるクリエイターのため、学長自らが教壇に立ちます。

授業は、杉山学長の自己紹介からスタート。杉山学長は、1987年からMITメディアラボでの研究員をつとめ、帰国後の1994年にデジタルハリウッドを設立しました。デジタル技術未来予測を得意とし、「これからの時代に何が必要なのか」を常に想定し、最先端のクリエイター教育を行ってきました。「デジタルコミュニケーション概論」では、デジタルテクノロジーの過去と未来を、分かりやすくときほぐしていきます。

これからの時代、デジタルテクノロジーは何を扱う?

読者の中には、デジタルネイティブと呼ばれる若い世代の方も多いでしょうか。社会システムにコンピュータが組み込まれ、身の回りのさまざまなものがデジタル化されているのが当たり前の21世紀。杉山学長は、「われわれは常にデジタルコミュニケーションの存在を前提として生活していくべき」だと語ります。デジタルコミュニケーションとは、デジタルコンテンツを通じて、さまざまな人やモノがつながる仕組みのこと。これからの時代にコンピュータが実現しうる未来を次々に予測し、デジタルテクノロジーの可能性を示していきます。
たとえば、嗅覚や触覚、味覚。力覚ディスプレイや触覚センサーを応用することで、人間の五感をコンピュータによって再現できる時代がやってくるかもしれません。あるいは、時間や魂の記録。ブログやSNSなどを通じて自分の発言をWeb上に記録することも、時代を越えて幅広い世代の人々がつながるデジタルコミュニケーションの一環だといえます。


  • 学長自らが熱の入った講義。


杉山知之学長が語る「7つの確実な未来」とは

デジタルコミュニケーションの可能性が示されたのち、講義はいよいよ核心へ。「デジタルハリウッドが考える7つの確実な未来」について語られます。杉山学長はこれまで、デジタルコンテンツの確実な未来を予測し、その未来を見据えた教育活動を行うことで、第一線で活躍するクリエイターを育ててきました。この講義では、そんな未来志向のまなざしを私たちも共有することができるのです。
今回は、7つの未来予想のうち、心に残った3つの未来を紹介します。

1.デジタルが産業を革新する

デジタルテクノロジーが世界を席巻する……。なんとなくの「予感」はあっても、具体的にどのようなことが起こるのかをイメージできる人は少ないかもしれません。特に、デジタル分野におけるクリエイションは、社会にどのようなかたちでコミットしていくのでしょうか?
杉山学長は、コンテンツ産業におけるデジタルクリエイターが担う仕事の重要さに、早い段階で気がついていたといいます。芸能界、アニメーション、ネットショップ、ゲーム、プロスポーツ…。さまざまな分野において、クリエイティブなアイデアが常に求められています。デジタルメディアの発展にともなって、複数の産業間に横のつながりが発生するようになりました。企業の中だけではカバーできない部分を担当できるデジタルクリエイターは、コンテンツ産業の拡大の中で重要なポジションを獲得することが可能なのです。
デジタルクリエイターの躍進に着目したデジタルハリウッドは、D ROCKETSというシードステージのインキュベーション事業を自社で展開しており、そこから資金を集めてベンチャーに投資してもらえる仕組みを整えています。こういった環境の影響もあり、デジタルハリウッドは大学発ベンチャー創出数ランキングで、国内10位にランクインしています。

2.ふつうの仕事は、ロボットとAIがやる

人間の仕事が奪われてしまう、残酷なようにも思えるこの未来。テクノロジーの進化にともなう働き方の変化は、デジタルコミュニケーションを考えるうえで最も重要な要素のうちのひとつです。実際に、テクノロジーの発展によってロボットやAIにとって代わられる仕事があることは事実だといえます。
そんな時代が到来したとき、AIにできなくて私たちにできることはなんでしょう。
杉山学長は、「AIとうまく付き合っていくことで、人間のできる仕事の量も質も進化し続ける」といいます。AIの能力によって仕事が効率化されたぶん、人間にしかできない仕事を創造する可能性があるのです。これまでの常識を覆す視点からのクリエイションは、人間にしか行えません。デジタル時代のクリエイターだからこそ実現したアイデアを紹介しつつ、これからの時代をリードする姿勢が示されました。

3.クリエイティブであることしか求められない
 
この講義のラストに提示されたのが、「クリエイティブであることしか求められない」という未来。
日本は土地も狭く資源にも恵まれない中、クリエイティブの力によって世界に通用するコンテンツを生みだしてきました。世界中で人気を集めるアニメーションや漫画、初音ミクなどの新しいデジタルコンテンツはその筆頭でしょう。
誰とでも、何とでも、デジタルコミュニケーションでつながることが可能な時代。EdTech、FinTech、IoT、Fashiontech……デジタルテクノロジーを応用したトレンドが次々と生まれています。これは、デジタルテクノロジーとクリエイティブの力が融合することで、これまでになかった領域を新たに生み出すことができるということなのです。
デジタルハリウッドの広告のキャッチコピーは「バカにされよう。世界を変えよう」。たとえ周囲に理解されないことがあっても、クリエイティブなことに挑戦しつづけてほしいという思いが込められています。
講義の最後に、杉山学長はこのように語ってくれました。
「新しいことをやるとたいがいバカにされる。この学校を始めたときも相当あれこれ言われました。みんなも、常識に縛られず、権威を権威だと思わず、思い切ってやったほうがいい。環境はそろっています。こんなチャンス、つかまない手はない。」


  • 印象的なキャッチコピー。

4時間におよぶ長丁場の講義でしたが、日本のデジタルクリエイションを率いてきた杉山学長だからこそできる、クリエイターをめざす人にとって、心揺さぶられるようなお話を聞くことができました。

アートやクリエイティブの分野に携わっていると、つねに付きまとうのが未来への不安。「この先、どのようなモノづくりをめざしていくのか」は、多くのクリエイターが直面する課題でもあります。今回の「デジタルコミュニケーション概論」では、デジタルコミュニケーションという視点から、これからの時代のクリエイターの道筋が提案されたのではないでしょうか。デジタルハリウッドでは、このほかにも通年で様々なコースがあり、クリエイティブの可能性を伸ばすサポート体制が整っています。デジタルで繋がる新しい世界を見たい人は、ぜひ参加してみてはいかがでしょうか。



▼デジタルハリウッド東京本校(でじたるはりうっどとうきょうほんこう)
日本唯一の、大学・大学院を併設した社会人・大学生向けプロ養成クリエイティブスクールです。開学以来フラッグシップコースとして開講をしている『本科』はCG、デザイン、テクノロジーを活用できる真のクリエイターを育成し、クリエイティブ業界のビジネス発展に寄与することを目的としたコースです。専門技術の習得だけに終わらず、現場での即戦力になりうる「実務能力」「作品力」の向上を目指します。 デジタルハリウッド東京本校(御茶ノ水)web/デザイン/CG専門スクール(学校) | 東京本校 | デジタルハリウッド|Web/デザイン/3DCGの専門スクール


執筆:齋木優城(東京藝術大学芸術学科美学専攻修士課程2年次在籍)

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