のんちゃんの「美大進学検討」記事から考えてみる。

2017年5月10日(水)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

昨日、美大業界はのんちゃんの話題で持ちきりでした。

のんちゃんはテレビに出てるとつい見てしまう、手羽が気になってるタレントさんの一人です。
笑顔がかわいいし、面白いし、笑いにセンスを感じるし、「ハゲとるやないか!」のやりとりとか・・・あ?そののんちゃんじゃない?


・・・わかってますよ。のんさんのことです。
のんさんについての記事が昨日のYahoo!トップに流れてました。
のん、美大進学を検討中「オープンキャンパスに行きました」 | ORICON NEWS

やはり、のんさんも手羽が気になってる一人に違いありません。
あまちゃんは全部見てCDも買ったし、のんさんがまだ能年玲奈さんだった2014年に「嵐にしやがれ」のロケでムサビに来てくれたし、「君の名は」よりも断然「この世界の片隅に」の方がよかったし。


この記事だけ読むと、「美大進学検討してるだけで記事になるんだなあ」「『デッサンの力をつけたい人が行く』のが美大ではないんだよなあ・・」とか思ったり、コメント見ても「美大受験はそんな楽じゃない」「3浪、4浪覚悟しろ」的なことがたくさん書かれてるんだけど、こっちのインタビュー動画を見れば、

のんさんの言わんとしてることがだいぶクリアになります。

美大に行きたいと言った後に「デッサンの勉強したりしてるの?」と聞かれ、「勉強をしたことがないので、(受験に向けて)しっかりデッサン力をつけたい」とコメントされてるので、そこはちゃんと美大受験について調べてられてますね。
「嵐にしやがれ」の動画が某所にあるのでそれを見てほしいんですが、当時から「美大進学を考えてて、オープンキャンパスにも行った」とおっしゃってました。

そうなんです。
美大では絵の上手な描き方は教えてくれないんです。

よく「美大はデッサンやイラストを上手にしてくれる大学」という誤解をうけています。
手羽も受験前はそう思ってました。
子供のころから絵を描くのが好きで、周りから絵がうまいと褒められ続け、「将来は美大かなあ・・」と思っていた手羽は、高3になる直前に親から「美大のための予備校」というものの存在を教わり、連れて行かれます。
美大受験の情報が全くなかったから、そこで初めて「え?え?絵が好きだったり、うまい人がいくのが美大じゃないの??そのための予備校?なにそれ??」と気が付くわけです。そして中に入ると、信じられないくらい上手なデッサンを描いてる同世代が沢山いて、「・・・こういうデッサンって大学に入ってから教わって描けるようになるんじゃないの??受験段階でこのレベルが求められるの?!じゃなんのための美術大学?!美大の存在価値は?!?!」という驚きというか矛盾のようなものを感じたっけ。今は美大の存在価値をちゃんと説明できます。(過去記事を読んでもらえれば)


それとこれも美大・芸大に対する誤解なんですが、「3浪、4浪当たり前」と言われてたのは10年以上前の話。詳しくはこちらを読んでもらうとして、
【ビダモン】子供が美大・芸大に行きたいと言い出したら(導入編)
天下の藝大でさえこういう状態です。昨日、芸術学科が1次選抜をやめると発表しましたが、受験倍率3.6倍なんですよ。
また、ムサビもタマビも合格者の6~7割が現役合格です。

さっき書いた手羽の体験談はあくまでも手羽が受験した時・・まだムサビ油絵学科受験倍率が30倍とかの時代の話です。
当時は「完ぺきな実技力」が求められてたけど、今はどっちかというと「思考力」「モチーフから何を感じたか?」「個性」などを問う方向にいってます。油絵学科や日本画学科等はやはり実技力が必要だけど昔と評価の視点が違うし、今は推薦入試もあるから、「美大に行きたい!」「●●をやりたい!」という熱意があれば昔ほど高いハードルではありません。

そんなことより動画の中で「美大に行きたい」と言った瞬間に取材陣から笑い声が起きたのが一番気になってて。ここに社会のいろいろな問題点があるように思うんだけど。


そうですね。
のんさんに美大合格のアドバイスをするならば・・、「学科の勉強もちゃんとやっておいた方がいいっすよ」かな。
美大入試で実技の大変さはよく語られますが、一般入試は実技+学科(国語・英語等)の総合点なので、ムサビやタマビは意外と入試における学科の割合が高いんです。
「入学したら1日絵を描いてりゃいいんでしょ?楽勝じゃん」と思われがちな美大ですが、美大も大学なので(笑)、入学後は普通に教養科目があり、イメージとしては「普通の大学の授業プラスαで実技授業がある」と思ってもらった方がよく。
実は一般大学よりも忙しい大学、それが美大なんです。

あ、のんさんに業務連絡。
絶賛好評発売中の
美大生図鑑 あなたの周りにもいる摩訶不思議な人たち
の著者・ ヨシムラヒロムくんがサイン入り本を送りたいと言ってたので、送付先教えてください。

おっと、5月20日に開催される「最後の秘境 東京藝大」の著者・二宮敦人さんとヨシムラくんのトークイベント「外部から観た藝大美大、内部から見た藝大美大」もどうぞよろしくお願いいたします。


以上、のんさんはイメージ的に女子美が似合ってるような気がするけど、ムサビのオープンキャンパスは6月10日(土)、11日(日)なのでぜひ来てください、とちゃっかり宣伝を入れるSNS活動家の手羽がお送りいたしました。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

OTONA WRITER

手羽イチロウ / teba ichiro

【美大愛好家】 福岡県出身。武蔵野美術大学造形学部彫刻学科卒。 2003年より学生ブログサイト「ムサビコム」、2009年より「美大日記」を運営。2007年「ムサビ日記 -リアルな美大の日常を」を出版。三谷幸喜と浦沢直樹とみうらじゅんと羽海野チカとハイキュー!と合体変形ロボットとパシリムとムサビと美大が好きで、シャンプーはマシェリを20年愛用。理想の美大「手羽美術大学★」設立を目指し奮闘中。