2017年大型連休最終日は、東京ガーデンテラス紀尾井町に行ってきました。
東京ガーデンテラス紀尾井は赤坂プリンスホテルの跡地再開発事業として2016年にオープンしばかりの建物で、工事中に首都高を走ってるとニョキニョキ成長するビルが気になってました。
麹町駅・永田町駅・赤坂見附駅に近接する大型複合市街施設で、オフィス・商業施設・ホテル・レジデンスが入ってます。東京ミッドタウンなどが競合施設になるんでしょうね。なんとなく駐車場とかの作りがヒルズよりもミッドタウンに似てる気もしました。でも車乗りからすると、駐車場が上限1500円なのはとってもありがたい。ミッドタウンは10分100円で上限なしなんだもん・・。
ちなみに西武プロパティーズさんが所有してるって知ってました?
手羽ができたばかりの施設に来ると必ずチェックするのが、パブリックアートです。
どういう作家さんの彫刻がどこに設置されてるのかって結構大事な問題なんですよ。
やはり、東京ガーデンテラス紀尾井町といえば、
大巻伸嗣さんの「Echoes Infinity ~Immortal Flowers~」かな。ビジュアルによく使われてますね。
そして、タワーオフィスエントランスに浮かぶのが西野康造「造空の記憶 2016」。
どこにどう作品を置くか、どこを作品の正面とするかって難しいだろうなあ・・。
というわけで、タワーオフィスへ入ります。
なんでやってきたかというと、今日の目的地は、
18階にあるYAHOO!JAPAN本社なのです!
あ。以前はミッドタウンに入居されてたんだけど、こちらに移転されました。
階段で下に降りると、
スタジオがあったりするこの場所は、
日本最大級のコワーキングスペース「LODGE」!
基本的に誰でも使えるそうです。
キッチンもあります。
こういうところを見ると、今どきの学びの場もこうあるべきだなあ、と感じますね。
イベントなども行われていて、こちらでチェックができます。
■LODGEイベントカレンダー
・・・あ、ヤフーさんなのにGoogleカレンダー使ってる・・・ま、いいか・・。
工事床面そのままの廊下。
って、別にパブリックアート散策と会社訪問が本当の目的ではなく、
■第1回X デザインフォーラム/ 情報デザインフォーラム「スタートアップとデザイン」
こういうイベントがあったんで参加してきたんです。
デザイン1.0はプロダクト中心で、デザイン2.0はヒューマン デザイン思考、UX(今ここ)。
でもこれからはIot・スタートアップ・人工知能を中心とした「デザイン3.0」の時代に突入する(してる)。
去年Xデザイン研究所を開設し、10年前から情報デザインフォーラムとしてやってきたものを、今回からXデザインフォーラムとしたそうで、5月26日には京都でもやるそうですよ。
午前中はスタートアップとデザインのためのワークショップ。
「今ホンキでやりたいことを絵にして、90秒プレゼンをする」というワークショップでした。
んで午後は、
講演やトークセッションで構成されてて、
200人の会場が満席。
GW最終日にこのテーマの勉強会でこの人数が集まるってすごくないですか?
聞いたところによると、学生さんが3割いたそう。
第1部 基調講演はMistletoe(株)代表・孫泰蔵さんによる「スタートアップとデザイン」という話。ガンホーの創業者で、孫正義さんの弟さんですね。
テーマは「スタートアップとデザイン」となってますが、「これからはデザインシンキングではなく、OUT OF THE BOX DESIGN THINKING」という内容でした。
100年に1回は文明の本質的な技術革新が起きるといわれてるけど、いよいよそれが起きようとしている。ロボットが雇用を奪ってしまう時代。ブルーカラーだけじゃなくホワイトカラーも摩擦的失業に直面してしまう。18-19世紀の 産業革命では失業率が10%で、それに近い状態、それ以上の事態が起きるかもしれない。経済的価値のない人々が巷にあふれるのをまもなく目にすることになり、治安悪化やスラム化などが都市で発生する。
私たちは20世紀の産業社会型モデルを維持するのではなく、21世紀型の価値モデルへと変えていかなければならない。
昨今デザイン思考が注目されてますが、その問題点として「ユーザーに接近しすぎると彼らの考え方や慣習にとらわれすぎて、改善はできても革新的なイノベーションは生み出しづらい」ことが明らかになっています。
ま、これは結構あちこちで語られてることではあるんだけど、新たな価値モデルを作るには、型(既成概念)にはまらず、あらゆる方向に遠く離れてみて得られる様々な観点を関連付けて考え、そこから考えや解決法を導く思考しよう、それがOUT OF THE BOX DESIGN THINKINGです。
「新しい思考に名前を付けた」というのが大きいところで。
すごく簡単な例だと、「満員電車をどうすればいいか?」という課題があったら、だれもが思いつくよくある解決法は「2階建てメトロを作ろう」かもしれません。でも、「そもそも『通勤』という概念が無くなればいいんじゃね?」という発想がOUT OF THE BOX DESIGN THINKINGです。
昔だと笑われてたアイデアかもしれないけど、今の技術・働き方の概念なら全然問題がないレベルになってる。
・・てなお話。学生さんに聞かせたかったなあ。
でも何が一番驚いたかっていうと、孫さんの話の中で、結構
■デザインの次に来るもの
からデザインの考え方が引用されてたこと。
この本の著者は安西 洋之さんと八重樫 文さんで、八重樫くんはムサビ基礎デの卒業生なんですよ。
基礎デを出てから、東大大学院に行き、ムサビの助手をやってから、ミラノ工科大学客員研究員になり、現在は立命館大学准教授。
思わぬところでムサビがつながった瞬間で。
第2部 は「スタートアップとデザインの実践 」ということで、
・「サービスのスタートアップとデザイン」
天沼聰 氏((株)エアークローゼット代表)
・「デザインのスタートアップ」
鳥越康平 氏((株)ZEPPELIN代表)
・「メルカリのスタートアップとデザイン」
宮田大督 氏((株)メルカリ・プロデューサー)
の3人の方によるトークセッション。GO BOLD!
第3部は「ソーシャル・スタートアップと新規事業のデザイン」で、
・「ソーシャル・スタートアップとデザイン」
渡邉賢太郎 氏(NPO法人ETIC. プロデューサー)
・「ソーシャルインパクトを起こすDesign Tribe」
西村真里子 氏((株)HEART CATCH代表)
・「Yahoo! JAPANにおける新規事業デザイン」
水田千惠 氏(ヤフー(株)ビジネス開発リーダー)
の方々から。
どんなことをしゃべっていたか・・ここに書くのがもったいないので書きません(意味なし)
ただ皆さんが共通してたことは、「強い意志・熱意によって共感者・支援者を増やす・つなぐ」かな。
以前よりも「熱意」があちこちで出てくるキーワードになってる気がします。
これまでは「前例とデータで見たらこうだから、こうやって変えるとあれがこうなりますよね」とクールに解決してたけど、今は変換点なので前例もほとんどないし、経済効果が高くなくても変えなくちゃいけないことが増えてきてる。短期的に指標で測れば、ソーシャルスタートアップはただの中小ビジネスにすぎません。
例えば平成28年の1年間に日本に来た難民の数は何人いると思いますか?
実は非難してきた方は1万人以上いるんです。でも難民認定されたのはたったの28人。認定されるまで仕事につくこともできません。これらを解決させるのは・・公共サービスではあるんだけど、公共サービスが手厚くサポートすると「日本人の仕事は?」てなことにもなる。海外では既に起きてる非常に難しい問題。
「データではこうなんだけど、こうしたいんです!!」で共感者・支援者を増やし変化を起こさせる時なのかもしれません。
最後は20組によるポスター/デモ発表とディスカッション。
千葉工業大学の先生が関係してるので千葉工大生の発表者が多いのはわかるけど、常葉大学さんからも結構参加されてて。5組ぐらいいたかな?
学生さんに聞いてみたら常葉大には未来デザイン研究会というサークル(部活)があるそうで、産学などやりながら情報デザインの研究をしてるそう。日本デザイン学会とかでも発表をしてるそうで、えらいなあ・・。
1日がかりのイベントでしたが、あっという間でした。
テーマがUXデザイン・情報デザイン・スタートアップだけど、美大生・美大関係者の参加者は少なかったんじゃないかしら。ボヤっとしてると工業系に確実に置いてかれますね・・。
以上、
釣り堀でボヤっとしたい手羽がお送りいたしました。
【美大愛好家】 福岡県出身。武蔵野美術大学造形学部彫刻学科卒。 2003年より学生ブログサイト「ムサビコム」、2009年より「美大日記」を運営。2007年「ムサビ日記 -リアルな美大の日常を」を出版。三谷幸喜と浦沢直樹とみうらじゅんと羽海野チカとハイキュー!と合体変形ロボットとパシリムとムサビと美大が好きで、シャンプーはマシェリを20年愛用。理想の美大「手羽美術大学★」設立を目指し奮闘中。