美大生のウィーン旅に!現地留学経験アーティストとっておきの場所10選

美大生が見るべきヨーロッパのアートスポットというと、イタリア・フィレンツェに、フランス・パリ ...?いやいや、ぜひオーストリアのウィーンにも足を伸ばして。今回は、ウィーン応用芸術大学に交換留学経験のあるアーティストの丸山素直さんに、ウィーン必見のスポットを紹介してもらいました。

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丸山素直さん
2009年の国際交流行事に参加、その後ウィーン応用美術大学に交換留学。現在、東京藝術大学のデザイン科で非常勤講師として勤めながら、イラストやデザインを制作する一方でシンセサイザーバンド「CRYSTAL」のメンバーとしてパリのレーベルからデビュー、国内外で演奏活動中。
丸山素直さんウェブサイト http://sunao-maruyama.com
CRYSTAL http://www.crystal-station.com
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街中に芸術が溢れているウィーン。音楽の都というイメージが強いですが、実は画家のクリムトやエゴン・シーレ、フンデルトヴァッサーのゆかりの地で、美術館や博物館も数多くあります。さらに、実はそのほかにも、素朴な蚤の市や、美術関係者の集うカフェなど、美大生必見の場所があるんです。そのなかから厳選した10箇所をご紹介します。
 

 
1) ミュージアム クオーター MuseumQuartier(略称MQ)

ウィーンの中心部にある巨大なアートエリア、通称MQ。近代美術館など3つの美術館をはじめ、モダンなギャラリーやミュージアムショップ、美術書を扱う本屋、レストラン等が集まっています。遊んだり座ったりできる遊具や広場もあるのでくつろいで長居してしまいます。美術館にはクリムトやシーレの作品はもちろん、バロックから近代まで、あらゆる時代を網羅した作品が集められています。企画展も開催されるので、ウィーンの美大生も頻繁に通っているのだそうです。

公式サイト: http://www.mqw.at
 


  • 遊具などがある広場は、くつろいで過ごせる雰囲気。(撮影 : 2010年)

  • 夜になると、音楽を聞きながらお酒を飲めるイべント会場になったりもします。(撮影 : 2010年)

 

2) フンデルトヴァッサーの家 Kunst Haus Wien

画家で建築家、環境運動の活動家でもあったウィーン出身のフリーデンスライヒ・フンデルトヴァッサーが建てた美術館。彼の絵画のなかに入ったような、色彩溢れる建築です。館内にはフンデルトヴァッサーの常設展示のほかに、カフェ・レストランと、ミュージアムショップもあります。時間が経つのを忘れてしまいそうな、独特の空間が広がっています。

公式サイト: http://www.kunsthauswien.com
 

 

3) チョコレート屋さんのパッケージ

ウィーンの街を歩いていて感じられる美しさは、チョコレートなどのお菓子の包装にも表れています。 1786年創業の洋菓子舗「デメル/DEMEL」はもちろん、美大生がお土産にしたいと思うようなデザインの素敵なパッケージは「アルトマン&キューネ/ALTMAN&KUHNE」に並んでいます。ウィーンらしさを凝縮したようなデザインでおすすめです。

デメル公式サイト:http://www.demel.at
アルトマン& キューネ 公式サイト:http://www.altmann-kuehne.at


  • アルトマン&キューネのショーウィンドー

 

4) 街中のカフェ

ウィーンのカフェというと、格式が高くてなかなか入り辛いんじゃないか...というイメージもありますが、実際は様々なカフェがあります。 冬がとても寒いウィーンの、室内で楽しく過ごすための工夫を感じることができます。丸山さんが「ウィーンの古い歴史を大切に残しつつ、人々が集まる場所を新しく創造している様子を感じる事ができた」と語られるカフェをいくつか紹介します。
 


  • 写真1

写真1/もともと温室だった建物を改造して創られた「PALMENHAUS」。天井高くまで明るい店内には、植物が沢山あり、緑がとても綺麗です。

写真2/ 創設当時から文化人の集まる場所だった「CAFÉ HAWELKA」。開業当時から何一つ変わらないという薄暗くて狭い店内の壁には、演劇やコンサートの色褪せたチラシがベタベタと貼られ、独特のムードを醸し出しています。
 


  • 写真2 店内はタイムスリップしたような空間が広がっています 。

  • 全く新しく若者が経営しているカフェもあり、フリー WIFIが充実していて便利でした。

  • MQにある内装の美しいカフェ・レストラン「Milo」。


  • 写真3

写真3/広々としてのんびり過ごせる、老舗カフェ「カフェ プリュッケル」。 応用美術館のすぐ側という立地もあり、美術関係者がよく来るそう。筆者が展覧会の図録を椅子に置いて食事をしていたところ、隣のテーブルから「美術の学生?」と英語で話しかけてくださったマダムは、キュレーターをされているとのことでした。ウィーンの美術業界のネットワークを垣間見たような体験でした。

公式サイト: http://www.prueckel.at

 

5) ウィーン美術史美術館 Kunsthistorisches Museum
 

丸山さんが内装が好きでよく行ってたという、ウィーンの中心地にある美術館。ハプスブルク家が収集した美術品をはじめ、ヨーロッパの絵画が数多く収蔵されている巨大な美術館。ただし、見所は美術品だけではなく、吹き抜けの大空間や、床 、壁、天井の豪華な装飾など、空間を体験するだけでも一見の価値あり。カフェの雰囲気もとても良いです。

公式サイト: http://www.khm.at/en/
 

 

6) ベルベデーレ宮殿 Belvedere
 

クリムトの有名な絵画「接吻」も展示されている「オーストリアギャラリー」は、1723年に完成したベルベデーレ宮殿のなかにあります。クリムトの絵画を間近で見ることができるほか、企画展も充実の内容の展示が多く、美大生だった丸山さんもよく通っていたそうです。

公式サイト: http://www.belvedere.at/en
 

 

7) オーストリア応用美術博物館 Museum of Applied Arts
 

デザインを学んでいる方におすすめの美術館はこちら、応用美術館です。MAKと呼ばれています。 椅子などのプロダクトの展示も工夫をこらしてあり、見応えがあります。家具やテキスタイルなど生活に溶け込んだ装飾や意匠について、じっくり見物することができます。

公式サイト: http://www.mak.at
 

 

8) オペラ座 Vienna State Opera
 

舞台美術が好きな人に必見なのがオペラ座。ウィーンの中心地にあるオペラ座で、毎晩様々なオペラを見る事ができます。留学されていた丸山さんも、頻繁に訪れていたそうです。各国から有名なオペラ歌手はもちろん、超一流の指揮者もこのオペラ座にやってきます。そしてオーケストラは、ウィーンでも最もハイレベルなウィーンフィル。つまり、毎晩ここで素晴らしいオペラと音楽に触れる事ができるのです。 丸山さんが初めて訪れて感動したのは、様々な価格の座席設定がされていることだそう。立ち見はなんと3ユーロから。つまり音楽を勉強している学生が、毎晩のようにこのオペラ座で本物の芸術の素晴らしさに触れる事ができるということ。そして時々、子供向けのオペラも行われていたそうです。芸術が、ある一部の特別な人のものだけではないというスタンスが伝わってきます。 建築を勉強している人は、内装など一見の価値あり。

公式サイト : http://www.wiener-staatsoper.at
 


  • ウィーン中心部に鎮座する、歴史あるオペラ座。

  • 春になると外には大きなモニターが現れ、街行く人も気軽にオペラをを見ることができます。

  • 公演の始まる前や休憩時間はここで自由に飲食ができます。

  • 段に応じて様々な席が用意されています。

 

9) スケッチするなら!ヨーロッパ最古の動物園と、大きな温室
Schönbrunn Palace

 

ウィーンはフォトジェニックな場所に溢れて いますが、のんびりした雰囲気でスケッチを 楽しむのにおすすめの場所がこちら。フラン ス・バロック様式の「シェーンブルン庭園」 のなかにある、1880年に建てられたヨーロッパ最大の温室「パルメンハウス(大温室)」と、 現存する世界最古の動物園「シェーンブルン動物園」。丸山さんがウィーンのなかでも気に入っていたリフレッシュできる場所だそうです。特に様々な種類の鳥が温室の中で放し飼いにされていて、鳥好きな丸山さんには最高の場所だったそう。さまざまな見所を「ミニ鉄道」が結んでいる、巨大な庭園。お天気のいい日に、足を運んでみては。

公式サイト :
https://www.schoenbrunn.at/en/

 


  • 園内の動物や鳥類を説明しているパネル。子供が遊べるような工夫がしてあるものも。

 
10) お土産探しといえば、スーパーマーケット

ウィーン市内でたくさん見かけるスーパーBILLA。生鮮食品や日用品を買い足す以外にも、食材や日用品のパッケージにはオーストリアやヨーロッパ独特の美しいデザインのものが多く、見るだけでも楽しめます。デザインが好きな美大生にはもちろん、リーズナブルなお土産を探すのにも助かります。
 

 
10箇所に絞ってご紹介しましたが、この他にも、ウィーン博物館、王宮、学友協会、市庁舎、ナッシュマルクトという屋外食品市場など、挙げていけばキリのないほどに魅力的な場所があるそう。
 

中世の時代に戻ったかのような美しい町ウィーンへ、美術やデザインを楽しむ旅に出掛けてはいかがでしょうか。前回の記事「日常の延長に芸術がある。国際交流と美大留学を通してみるオーストリアの魅力!」では 、丸山さんにウィーンでの留学経験についてお話を伺っていますので、ぜひそちらの記事もご覧ください!

(Photo by Sunao Maruyama, Yuri Gomi)

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OTONA WRITER

五味 由梨 / YURI GOMI

デザインとアートディレクションを東京藝大で、写真をイギリスの大学院で学んだのち、東京のデザイン事務所でグラフィックデザイナーとして勤務。その後、フリーランスでデザインと写真の仕事をしています。主な作品に、杉並区の公式キャラクター「なみすけ」など。 制作のバックグランドになった旅のことや、様々な国で見たものを、美大出身の視点で発信しています。