タマグラと千葉大デザイン学科の卒展に行ってきた。

2017年3月5日(日)

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3月4日(土)、2つの卒業制作展を見てきました。


まずは、多摩美術大学グラフィックデザイン学科、略してタマグラです。

グラフィックデザイン学科卒業制作展2017
●会期:3月4日(土)〜3月5日(日)
●時間:10:00〜19:00(最終日は17:00まで)
●会場:恵比寿ガーデンプレイス内 ザ・ガーデンホール、ザ・ガーデンルーム


恵比寿ガーデンプレイスはタマグラ卒展の時ぐらいしか行かなくなっちゃったなあ・・。

タマビの学科別の学外卒制展は、学生有志でお金を積み立ててほぼ自主運営でやっています。(少しだけ大学から補助が出てる)
この土日はまさにタマビ卒展DAYで、このタマグラ以外に3331で日本画、青山で工芸、横浜でプロダクト情報デザインメディア芸術コース、原宿で環境デザインが卒展をやってる最中。
手羽が勝手に友達と思っている(笑)和田先生のプロダクト、久保田先生の情デの卒展も行きたかったんだけど、ちと横浜方面に行く時間がなくて・・。


タマグラは入学定員180名の恐らく美大で一番のマンモス学科で、これはつまり、それだけ受験生がいるってことでもありますね。
では、そんなタマグラ卒展を見ていきましょう。

1階で受付をしたら3階に上がります。

手羽は普段どこでも通じる「タマグラ」と略してますが、タマビ内では「グラフ」と呼んでるそうで、タマビ関係者と話す時は手羽も「グラフ」とTPOに合わせて変えてます(笑)


ほぼ開場時間に行ったのにもう人がいっぱい来てて。さすがタマグラ。


  • 自分が子供の頃に描いた動物の絵をぬいぐるみ化

印象は「グラフィックデザイン学科は、よりグラフィックデザイン色が強くなってる」かな。
アウトプットの完成度の高さは昔から変わらないけど、昔よりも平面作品が増えた印象。今年がタマタマなのか、見せ方によるものなのか、指導方針によるものか。言い方を変えるなら、さすがすんごくうまいとは思うけど、「・・・で?」と聞きたくなる作品が多かったかも。
ムサビ視覚伝達デザイン学科の方向性とは全然違うことが卒展見ると明確になりますね。タマグラは結果、ムサシデは経緯を大事にしてるというか、視デはコンセプト説明パネルがほとんどあるけど、タマグラにはキャプションぐらいしか作品を説明するものがないのがわかりやすい違いです。

アニメーション作品をパラパラ漫画にしてました。
こういうのがひとつあると子供も楽しめるし、他大学のアニメ系の人も真似した方がいいかも。
ちとパラパラしにくかったけど。

そして、

「生徒」じゃなくて「学生」だけど(笑)
 

タマグラ卒展に行ったのは2013年ぶり。
恵比寿ガーデンプレイスは1994年に開業して、当時は今でいう六本木みたいなオシャレスポットでした。2000年ぐらいまではよくコンサート聞きにいったり、飲みに行ったりしたっけ。
なのでうちら世代はピカピカな建物の印象しかなく、今の自然のエイジングが強くなった建物は「寂びれたディズ●ーランド」みたいで、見てて寂しくなります。この時代によく使われた「茶色」って今時の茶色ではないんでしょうね。茶色も微妙に変化してるのかも。
個人的にはそろそろ会場を変えた方がいいようにも思うのだけど、180人が入れる都内ギャラリーってあんまりないか・・。


んで、車を飛ばして代官山方面へ。
 

CARATO71に到着。
徒歩だと渋谷から15分、代官山駅から12分かかるので、決してアクセスがいいとはいえないけど、このオサレな場所代官山ってのは大きいですね。


んで何を見に来たかというと、千葉大デザイン学科の卒展です。

平成28年度千葉大学工学部デザイン学科卒業研究・制作展
●会期:2017年3月4日(土)11:00-18:00| 5日(日)10:00-18:00| 6日(月)10:00-17:00
●会場:CARATO 71


以前から行きたかった千葉大工学部の卒展。
これまでなかなかタイミングが合わなくて、ようやく今年初めて行くことができました。

企業のデザイン部長はちょっと前までは藝大ムサタマ卒で占めてたんだけど、最近は千葉大工学部出身の方がかなり増えてきてて、イヤーな存在になってきてます(笑)
工学部デザイン工学科意匠系が工学部デザイン学科に名称変更したのが2008年で、「千葉大がデザインに本格的に乗り出してきやがった!」と美大内が戦々恐々としたっけ。とはいっても東京高等工業学校が起源にあるので、歴史的には1914年と実はかなり古いんです。
意匠展の「意匠」はデザイン工学科意匠系の名残なんでしょうね。

こっちも結構人が入ってた。
 

やっぱり、大学案内やWEBで調べるのと実際に見るのとでは違いますね。

「工学部のデザイン学科」という印象があるので、


  • 「配達の流れをとめない」階段昇降台車の提案

「アウトプットはこういうプロダクトデザインの勉強をやってるんだろう」と先入観がどうしても生まれ、資料を見てもそれ以上のことが頭に入ってこないんだけど、

「木で編んだランドセルの提案」を材料計画研究室の学生さんがやってたり、

3Dプリンタで仏像を出力し彩色した作品があったり、「え?これが工学部デザインなの?!」と。

でも理由はすぐにわかるんですが、

研究室(ゼミ?)が製品デザイン研究室、システムプランニング研究室、デザインマネージメント研究室、材料計画研究室、意匠形態学研究室、コミュニケーションデザイン研究室、人間情報科学研究室、デザイン心理学研究室、コマーシャルデザイン研究室 、環境デザイン研究室、人間生活工学研究室、デザイン文化計画研究室、コンテクスチュアルデザイン研究室とあり、一通りのデザインと素材を研究できるようになってるんですね。

タマグラや視デ、プロダクトの方がアウトプットが正直全然上だと思うけど、「幅広くしっかり研究されてるなあ。そりゃ企業が採用したくなるわな」という印象を受けました。
「医療と芸術の融合」と言うと、美大だとアート作品を壁に展示するか、車いす・義足・介護ロボットののプロダクトデザインか病院のサインか、そのあたりじゃないかな。でも千葉大さんの卒展には「リンパ浮腫ケア用メジャーテープと精度向上のためのアタッチメントの開発と評価」なんて研究作品があって、「ああ。こういうのはまだ美大卒展では見ないなあ・・」と。
テリトリーの広さはグッドデザイン展に近いかもしれない。うん。G展を見てる人ならこれが一番伝わりやすい言葉かも。
「社会を幸せにしたい人」はムサビやタマビ、「社会の役に立ちたい人」は千葉大・・の違いなのかな。
「千葉大、噂には聞いてたけどこりゃ注視しとかないと・・」と思いながら、今度は広尾方面に車を飛ばしました。この続きはまた別のお話で。


あ。ところで気が付きました?
タマグラも千葉大さんも、学生さんの恰好が「上が白で下は黒パンツ」で統一されてたんです。
まさかの衣装カブリ。「展示スタッフをスタイリッシュに見せる手段ってこういうファッションしか思いつかないのかな・・世の中のテンプレート通りにやってない?」と少しだけ寂しい気持ちに。それがちょっと気になって。


以上、気になったレベルでいうと、

すぐ隣にあったニトリの渥美俊一記念館の方が気になった手羽がお送りいたしました。

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OTONA WRITER

手羽イチロウ / teba ichiro

【美大愛好家】 福岡県出身。武蔵野美術大学造形学部彫刻学科卒。 2003年より学生ブログサイト「ムサビコム」、2009年より「美大日記」を運営。2007年「ムサビ日記 -リアルな美大の日常を」を出版。三谷幸喜と浦沢直樹とみうらじゅんと羽海野チカとハイキュー!と合体変形ロボットとパシリムとムサビと美大が好きで、シャンプーはマシェリを20年愛用。理想の美大「手羽美術大学★」設立を目指し奮闘中。