だいたい２週間に一度「美大ニュースまとめ」をお送りしてて、今年は20本書きました。イベントやシリーズものが続くと間が空いちゃうもんで、目標の「1ヶ月に2本」はまだできてない・・。
でも「1記事に20ネタ」を目安にしてるので、たぶん1年間で400以上の美大ニュースをお送りできたんじゃないかと。

今年2016年の美大ネタで気になったものをピックアップします。名付けて「美大ニュースまとめのまとめ」。


2015年は学部再編や募集停止のお知らせがすごく多く、「美大業界も動き出したな・・」と感じた年でした。
2016年はそこまで多くはなかったけど、一番大きなニュースは間違いなく今年4月に発表されたこれだと思います。
■新しい嵯峨美へ｜学校法人 大覚寺学園 京都嵯峨芸術大学 京都嵯峨芸術大学短期大学部

2017年4月から京都嵯峨芸術大学が嵯峨美術大学に名前を変えると発表しました。
1971年に「嵯峨美術短期大学」として誕生し、4年制大学設置の2001年に「京都嵯峨芸術大学」「京都嵯峨芸術大学短期大学」と名称変更されてます。で、もうすぐ50周年なので原点に帰り「嵯峨美術大学」にします、というわけ。

学部名称を変えるのとわけが違います。なにしろ大学名を変えちゃうわけですから。
しかも「芸術」から「美術」という見た目狭いカテゴリーへの変更、しかもしかも「京都」という大ブランドを取っちゃうっていうんだから、パっと聞く限りは「そ、それって大丈夫なの？」と思ってしまいますよね。

上記サイトから引用します。
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幅広い分野に展開する総合芸術大学が増えるいっぽう、われわれは視覚芸術である「美術」と、「デザイン」を追究する美の最高学府として、美を通して人を賢くし、目覚めさせ、元気にする学園であり続けたいと考えます。
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音楽含めた芸術全般を教えてるわけじゃなく、むしろどう見ても美術・デザイン分野の「コース」を細分化してるだけなのに「うちは芸大です」と広報をしてる「美大」が増えてる中で、はっきりとそれらの大学との差別化を打ち出した文章。例えるなら、パスタしかないのに「イタリアンレストラン」とかっこつけて言ってる店に「あんたはパスタに自信がないの？うちは『パスタ屋』とはっきり言えますよ」と宣言したようなもので。
正直、かなり苦戦をされてる嵯峨芸さんなので通常のマーケティング的には「芸大」を選択すると思うけど、この文章から「美術」「デザイン」「造形」を信じる気持ち・決意がすごく伝わってきます。
美大愛好家としてサガビさんを陰ながら応援しております。



次に大きな話題がこちらでした。
■名古屋芸術大学が変わる！新学部、誕生｜名古屋芸術大学

これも4月に発表された情報で、名古屋芸大さんが来年度から既存の音楽学部・美術学部・デザイン学部3学部を「芸術学部 芸術学科」の一つにまとめ、音楽領域・美術領域・デザイン領域・芸術教養領域の4つの領域に改編するそう。
嵯峨芸さんとは逆の選択で、「芸術」をよりイメージ強化した戦略。
これもかなり大胆で勇気が必要な改革で、というのも 去年入学定員を100人以上減らし、新コースを作ってるけど、それも1年で変更ってことなんですよ。このスピード感はすごい。


その他、新学科設置・学部等再編・名称変更等で手羽が気になってたのはこちら。
■アートサイエンス学科 | 大阪芸術大学 芸術学部
いよいよ来年。いろいろイベントをされてますね。

■京都精華大学｜2017年度 新しい全学プログラム導入、芸術学部再編、マンガ学部新コース開設について

■富山大学芸術文化学部は、平成30年度(2018年度)から変わります。
富山大さんは2018年度からの変更を発表されてます。一言で説明すれば「芸術文化」と「デザイン情報」の名前を無くします・・ってことですね。

■２大学が観光学科検討　静岡県知事「人材育成急務」｜静岡新聞アットエス
静岡文化芸術大さんが観光に関する学科の設置を検討しているそう。
ちなみに「観光」というキーワードは大学業界の流行なんですが、嵯峨芸さんは2001年に開設した観光デザイン学科を2010年に募集停止しています。

■即戦力の人材を育成する学校。学校法人日本教育財団（旧名称 学校法人モード学園）
2016年4月に学校法人モード学園さんが学校法人日本教育財団に法人名変更しています。
で、その学校法人日本教育財団さんが平成30年度に通信制大学「東京通信大学」（情報マネジメント学部、人間福祉学部）の開設を公表しています。
美大関係者は「実はモード学園さん」ってことを把握してないと、足をすくわれる可能性がありますよ。


変更というか新キャンパスといえば、
■京都美術工芸大学｜京都東山キャンパス　2017年4月開設

こちらが2017年4月誕生です。
お披露目会があったら呼んでほしいなあ・・。
ちなみに再来年度から定員を1000人規模に増やすことができないか文部科学省と調整中とのこと。


移転といえば、2016年に計画変更発表されたが、
■京都市立芸術大学｜移転スケジュールの変更について
平成32年（2020年）が京都市立芸大創立140周年ということもあり、平成32年度からの一部利用開始を目標にされてましたが、 平成35年度からの利用開始、つまり一括移転に修正されました。


周年といえば、2016年もいろんな大学が●周年でした。
■金沢美術工芸大学 70th Anniversary
金沢美工芸さんが70周年で・・あ、移転のパブリックコメントを1月20日まで募集してるところです。
■金沢美術工芸大学移転整備基本構想［骨子］（素案）について

■愛知県立芸術大学｜創立50周年記念公式サイト
愛知県芸さんが50周年。

■沖縄県立芸術大学 開学30周年記念事業
沖縄県芸さんが30周年。

記事にさせてもらったのが、
■【本日】学校法人 瓜生山学園開学40周年事業「第1回ホームカミングデー」
京都造形（瓜生山学園）さんの40周年、

■【50周年】10月末から東京造形大学のイベントがいっぱい！！
東京造形さんの50周年。


おっと、東京造形さんといえば、今年一番の美大の出来事がありましたね。
■東京2020大会エンブレム｜東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会

東京造形卒・野老朝雄さんのデザインに決まったのが今年の4月。なんかもっと前のことだと思ってた・・。
このことからも東京造形50周年にとってふさわしい出来事だったんじゃないかしら。


エンブレムといえば、エンブレム審査委員長をされた当時東京藝大・宮田学長が
■文化庁長官｜文化庁の紹介｜文化庁
2015年12月の学長選挙で学長再任が決定したけど、それを辞退して第22代文化庁長官になったのも今年。そして藝大学長に就任されたのが、
■東京藝術大学｜澤和樹新学長からの就任挨拶
音楽学部の澤先生。
この件も美術大学にとっていろいろと影響が出てきてます。



てなわけで、いろいろとあった2016年だし、2017年もさらにいろいろありそうですが、これからも美術大学をどうぞよろしくお願いいたします。