「『芸大』には4つの意味がある」という話は覚えてますか?
この中に書いてますが、
■【4つの芸大】神戸芸術工科大学SD研修をやってきた2
地域やカテゴリ、使うシーンによって「芸大」の意味が違うんです。
東京の人間・美術関係者が「芸大」と言った場合はほぼ100%「東京藝術大学」のことだけど、大阪のおばちゃんは「大阪芸術大学」、進路の先生は「芸術系大学」のことを言ってるのかもしれない。
狭いグルーピングでは混乱することはありませんが、ネット上だと何を指してるのかわからないんで、手羽は必ず「藝大」か「東京芸大」と表記するようにしてます。
同じような話で「造形大」があります。
東京の人間が使う「造形大」は100%「東京造形大学」のことだけど、新潟の人だと「長岡造形大学」、京都だと「京都造形芸術大学」なんですね。
なのでムサビ日記時代は手羽も「造形大」と書いてたけど、美大日記以降は「東京造形」と書くようになりました。
んで、今日はその「東京造形大学」の話。前置き長かった。
2016年、東京造形大学は創立50周年を迎えました!
おめでとうございます!!
手羽が「東京造形」でイメージするものは、「彫刻」と「サスティナブル」と「スピッツ」と「ZOKEI」です。
まず「彫刻」。
具象彫刻は東京5美大の中で一番レベルが高いと手羽は思ってて、しっかり具象彫刻に取り組みたい人は東京造形さんを薦めるかも。佐藤忠良先生の教えがしっかり受け継がれてる証拠。
次に「サスティナブル」。
以前「サステナブルプロジェクト専攻領域」が東京造形さんにはあったんだけど、残念ながら2011年に募集停止しました。当時はまだ耳慣れない単語だったけど、今となっては毎日のように「サスティナブル」という言葉を聞きますよね。
10年時代を先取りしすぎてしまったと言えるし、学科名称の難しさを感じるんです。
大学って新しい学問領域を世の中に知らしめる機関なんだけど、新しすぎると一般に受け入れられにくく、といって流行りの言葉だとすぐ廃れる。
で「スピッツ」。
スピッツの草野マサムネさんは東京造形大に入学し、そのあとムサビへ再入学してます。
最終学歴は「ムサビ基礎デザイン学科卒」だけど、東京造形時代にスピッツ(の原型)が生まれてるので、東京造形さんに行ってなければスピッツは生まれてなかったんですね。
なので、いつも東京造形さんとは「スピッツはどっちのものか?」問題で揉めます(笑)
とりあえず「生みの親が東京造形、育ての親がムサビ」ということで落ち着いてますが。
そして「ZOKEI」。
日本で初めて「造形」という名称を冠した大学が東京造形さんです。ちなみに「造形」という名称を冠した学部を最初に作ったのはムサビで、ここでもよく揉めます(笑)
美術大学なのに大きく見えるように「芸術大学」と宣伝してる大学が増えてる中、「造形」という言葉に誇りを持ち、「造形は造形。他に訳せる言葉がない」と大学英語名称を「Tokyo Zokei University」としてる東京造形さんの気概が大好きで。
あ、最近だと東京造形さんといえば「オリンピックエンブレム」もそうか。
なかなか本題に入れないなあ・・・。
2014年から50周年記念事業として多くの企画を行っているんですが、大詰めにはいってきました。10月末からこれでもかとばかりに東京造形さんの展覧会やイベントが続きます!
まずは大学での展示。
■展覧会「勝見勝 桑澤洋子 佐藤忠良―東京造形大学 教育の源流」
●会期:2016年10月31日[月]~11月26日[土]10:00~17:00
(日曜日および11月3日[祝]・19日[土]・23日[祝]は休館/入場は16:30まで)
●会場:東京造形大学附属美術館
■「東京造形大学 ドキュメント1966-2016」
●会期:2016年10月31日[月]~11月12日[土]10:00~19:00
(日曜日および11月3日[祝]は休館/入場は18:30まで)
●会場:東京造形大学ZOKEIギャラリー(12号館1F)
東京造形大学卒業後、社会で斬新な活動を行っている若手の作家、デザイナー、クリエイターなどに焦点を当てた作品展示を8つの会場で連続的に開催されます。
■「ZOKEI NEXT 50」東京造形大学の教育成果展
【おもな出展者】
野老朝雄(アーティスト)、藤森泰司(家具デザイナー)、鈴木康広(アーティスト)、田子學(デザイナー)、神原秀夫(プロダクトデザイナー)、井上綾(テキスタイルデザイナー)、渡辺大知(俳優・歌手・映画監督) 他、計71名。
「ZOKEI NEXT 50」オープニングレセプション
●会場A:スパイラルカフェ
●日程:10月28日[金]18:00~20:00
「ZOKEI NEXT 50」クロージングパーティー
●会場C:アーツ千代田3331 1階コミュニティスペース
●日程:11月27日[日]18:00~20:00
▼デザイン学科卒業生 展示
●会場A:スパイラルガーデン
●会期:2016年10月25日[火]~11月3日[木]11:00~20:00
▼デザイン学科卒業生 映像上映
●会場B:スパイラルホール
● 会期:2016年10月29日[土]映画作品上映~10月30日[日]アニメーション作品上映
●時間:各日11:00~20:00
■美術学科卒業生 展示
●会期:2016年11月12日[土]~11月27日[日]12:00~20:00(入場は19:30まで)
●会場C:アーツ千代田3331 1階メインギャラリー
※美術学科卒業生展示オープニングパーティ
●会場C:アーツ千代田3331 1階 コミュニティスペース
●日時:2016年11月12日[土]18:00~20:00
▼写真専攻卒業生 展示
●会場D:ルーニィ・247フォトグラフィー(東京都新宿区四谷4-11 みすずビル1F)
●会期:2016年10月25日[火]~10月30日[日]12:00~19:00(最終日16:00まで)
●会場E:アイデムフォトギャラリー シリウス(東京都新宿区新宿1-4-10 アイデム本社ビル2F)
●会期:2016年10月27日[木]~11月2日[水]10:00~18:00(日曜休廊/最終日15:00まで)
●会場F:Place M(東京都新宿区新宿1-2-11 近代ビル3F)
●会期:2016年10月31日[月]~11月6日(日)12:00~19:00
*トークショー「造形大写真の源流とこれから」 11月5日[土]15:00~17:00
ゲスト:河野和典 [日本写真協会理事、日本カメラ社顧問]
●会場G:TOTEM POLE PHOTO GALLERY(東京都新宿区四谷四丁目22 第二富士川ビル1F)
●会期:2016年11月8日[火]~11月13日[日]12:00~19:00
●会場H:マキイマサル ファインアーツ(東京都台東区浅草橋1-7-7)
●会期:2016年11月18日[金]~11月27日[日]12:00~19:00
(月曜・火曜休廊/金曜20:00まで/最終日17:00まで)
*トークショー「写真・アート New Vision」 11月19日[土]16:00~18:00
ゲスト:タカザワケンジ [写真評論家、ライター]
学生グループが各自の専門性を活かして、芸術と社会のつながりをテーマに提案し、1次選考を通過した在学生4チームの作品が展示されます。29日には公開最終審査も。
■在学生コンペティション:社会を創るアートとデザインの力
●会場A:スパイラルガーデン
●会期:10月25日[火]~11月3日[木]11:00~20:00
▼最終審査・講評
●会場A:スパイラル 3階ホワイエ
●日程:10月29日[土]13:30~14:30
●審査員:野老朝雄[アーティスト]/長岡勉[(株)POINT]/藤森泰司[藤森泰司アトリエ]
株式会社円谷プロダクションとのコラボレーションで、学生が制作したウルトラマン怪獣の陶製オブジェを展示。
▼東京造形大学 × ウルトラマン 50
●会場A:スパイラルガーデン
●会期:10月25日[火]~11月3日[木]11:00~20:00
ちなみに企業との連動企画ってことだと、
■東京造形大学×亀田の柿の種 50 ともに50周年!記念イベント開催!CS祭に亀田の柿の種号、たねっち&ぴーなっちがやって来る!
なんて話題も(笑)
▼「つながる、アートの力:球体キャンバスドローイングワークショップ」作品展示
●会場C:アーツ千代田3331 メインギャラリーB
●会期:11月12日[土]~11月27日[日]12:00~20:00(入場は19:30まで)
シンポジウムが2本あります。
▼シンポジウム「美術/芸術/アートの形成 ― 美術大学の役割」
多様化を深めるアートシーンを前提に、美術/芸術/アートの形成に果たす美大の役割を専門の視点から議論。
●会場C:アーツ千代田3331 1階 コミュニティスペース
●日時:11月12日[土]15:00~17:30
●パネリスト:粟田大輔[美術批評]/内田あぐり[武蔵野美術大学教授]/金井直[信州大学准教授]/小泉俊己[多摩美術大学教授]/清水哲朗[東京造形大学教授]/保井智貴[東京造形大学准教授]
●進行:母袋俊也[東京造形大学教授]
▼シンポジウム「教育がつなぐ ― 社会、創造、造形。― 」
造形教育のこれからの可能性について、専門教育、普通教育、社会教育など様々な側面から意見を交わす。
●会場C:アーツ千代田3331 1階 コミュニティスペース
●日時:11月27日[日]13:30~17:00
●パネリスト:塩川岳[立川文化芸術のまちづくり協議会委員]/谷口幹也[九州女子大学教授]/大坪圭輔[武蔵野美術大学教授]
●進行:小林貴史[東京造形大学教授]
ムサビからも内田先生と大坪先生が登壇されますね。
2人ともムサビOBOGなので、ぜひ「スピッツはどっちのものか」バトルをしてもらえれば(笑)
周年事業で「そんなに大学とは関係ない有名人の講演会かパフォーマンスやって終わり」なところが多い中、造形教育の成果を中心に企画されてるところは、やはり自分たちの教育に誇りをもってる証拠ですし、さすがだと思います。
まだまだ情報が出てきそう(情報が整理されそう)なので、気になる方は特別サイトでご確認ください。
■東京造形大学 創立50周年記念サイト
そうだ。50年史を作ってるところみたいですね。
■東京造形大学50年史作成のための資料ご提供のお願い
送付先の「渡部千春」さんは「■これ、誰がデザインしたの」の方ですな。
【美大愛好家】 福岡県出身。武蔵野美術大学造形学部彫刻学科卒。 2003年より学生ブログサイト「ムサビコム」、2009年より「美大日記」を運営。2007年「ムサビ日記 -リアルな美大の日常を」を出版。三谷幸喜と浦沢直樹とみうらじゅんと羽海野チカとハイキュー!と合体変形ロボットとパシリムとムサビと美大が好きで、シャンプーはマシェリを20年愛用。理想の美大「手羽美術大学★」設立を目指し奮闘中。