オオクボリュウと宮澤謙一(magma)二人展。 誰もがなんか懐かしい、日常的なモチーフから生まれた「GRANDMOTHER」

原宿の明治通りにあるBEAMSの3F、トーキョーカルチャートby ビームスでイラストレーター・オオクボリュウさんとアーティストユニット・magmaの宮澤謙一さんによる、展示「GRANDMOTHER」が開催中。

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例えば昔家にあった、花柄のついた炊飯器や、おもちゃ箱の片隅に入れてあったパステルカラーの人形のお家、旅行バスの運転席の名前プレートの下にある一輪挿しのような。おそらく大量消費の時代にたくさんの人の心をときめかせるべく生まれたそれらは、忘れられたと見せかけて各々の脳の同じような引き出しのなかにすっぽり入っていて、取り出されるのを待っていたんじゃないか。展示会場に入るとその引き出しの中身は我慢できずに溢れ出したようだった。

兼ねてから交流があったという二人による今回の共作は、平面作品に加えて、立体に成形するのを宮澤さんが行い、それにオオクボさんが絵を描いているものもある。中でも花瓶をモチーフにしたソフビの作品にはどれを家に持って帰ろうかと吟味する人だかりができるほど。

近づいてよく見てみると、花瓶からニュッと顔を出した花が笑顔を浮かべている。


  • ▲このソフビ作品は¥12,000。もちろんひとつとして同じものはない。

正面はソフビ怪獣を思わせる笑顔で、裏を向ければ花瓶のように飾れるように制作したというのは宮澤さん談。「怪獣の名前を考えようと思ったんですが、カビンってカタカナに表記しただけで怪獣らしい雰囲気があったので」と作品の底面を指さすと、そこにはカタカナで「カビン」と刻印されていた。花瓶部分は絶対にいい形にしたくて、何度も試作を重ねたというエピソードには、一方が作った立体にもう一方が絵を描くという初めての共作スタイルへの意気込みが感じられる。

それに応えるかのような鮮やかでファンシーな色合いのオオクボさんのペインティングが相まって、見る人の「初めてだけど、なんか知ってるこの感じ」という不思議な懐かしさと高揚感を誘う。

「世の中には、消費され尽くされたモチーフやテーマがあるけど、 そんな事柄に目を向けたらどうなるんだろう?」という会話から生まれたという本シリーズ。みんなの頭の中の引き出しに共通して残っている「ファンシーな猫」や「巨匠の絵の背景にある花瓶」、そんなイメージが二人の手によって取り出され、新しい形を与えられる。

それはもしかしたら、私たちがいつか、脳の引き出しの中にしまいこんだ「消費され尽くされたモチーフやテーマ」の本当の姿なのかもしれない。

◆展示概要◆
オオクボリュウ・宮澤謙一(magma)
「GRANDMOTHER」
会期:2016.11.19(sat)—12.7(wed)11:00〜20:00
※木曜定休日
場所:トーキョー カルチャート by ビームス 東京都渋谷区神宮前3-24-7 3F

◆トークショー◆
日時:2016.11.26(sat)17:00〜19:00
場所:場所:トーキョー カルチャート by ビームス 東京都渋谷区神宮前3-24-7 3F
定員:なし
予約不要・入場無料
「GRANDMOTER」展開催を記念し、オオクボリュウ、宮澤謙一(magma)両作家による作品解説を中心に、二人の共通項や今回の二人展の経緯などをたっぷりお話しいたします。

◆オオクボリュウ
https://ryuokubo.jp
イラストレーターとして雑誌や広告を手がける他、映像ディレクターとしてMndsgn、PSG、group_inou、D.A.N.などのミュージックビデオをいずれもアニエメーションで制作。その他コマーシャルやショップの内装アートワーク、ライブでの映像演出等、手書きのイラストを生かした活動を展開。

◆宮澤謙一
2008年結成のアーティストユニット・magmaとして活動中。Kinetic art、オリジナルプロダクツの制作を主とする他、舞台美術(ギミックワーク)、アナログロボット、什器、樹脂、廃材、モーター、おもちゃなど様々な素材を使ってコラージュを制作している。

2016.11.24
(執筆/出川 光)

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OTONA WRITER

出川 光 / Degawa Koh

現PARTNER編集長。2010年武蔵美卒。専攻は写真。新卒でリクルートに入社、営業・ディレクターを経て、クラウドファンディングCAMPFIREを立ち上げるため転職。5年間CAMPFIREでチーフキュレーターを務め2015年に独立。カメラマン、クラウドファンディングコンサルタントにを経て現職。