作家側のメリットも無限大。閲覧者がレンタルや購入もできるオンライン展覧会「ART STAND GALLERY」

世界初のアートシェアリングサービス「ART STAND」が預かっている約6000点のアート作品をキュレーションしてWeb上で開催するオンライン展覧会サービス「ART STAND GALLERY」をオープン。アートと社会をつなぐ可能性に満ちたこのサービスについて、実際に作品を預けている現代美術家の原憲太郎さんにお話を聞きました。

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ART STAND」はアーティストから作品を預かって倉庫に保管しつつ、Web上でアーカイブ公開し、その作品をユーザーがレンタル・購入することができるWebサービス。

「大きな作品の保管場所に困っている」「作品をもっとたくさんの人の目に触れさせたい」「作品で収益を得たい」などのアーティスト側の要望と、「もっと気軽にアート作品を日常生活の中に取り入れたい」「イベント等で特別な空間を演出するためにアート作品を一時的に活用したい」などのユーザー側の要望をマッチングする新しいサービスとして、アーティストとアートファン双方から注目を集めています。


もっと作品と出会いやすくなるためのオンライン展覧会「ART STAND GALLERY」


現在ART STANDが預かっているアート作品は、約6000点。これらの膨大な作品をより多くのユーザーとの出会いの場に引き出すべくART STANDが新しく始めたのが、オンライン展覧会サービス「ART STAND GALLERY」です。

これは特定のテーマのもとに作品をキュレーションし、Web上でオンライン展覧会を開催することで、作品の露出の機会が増え、ユーザー側も作品選びのヒントをたくさん得られるという仕掛け。

現在はオープニング企画として、4つの展覧会が開催されています。さっそく覗いてみると……
 

「身体とアート展」では身体の一部をモチーフにした作品の数々をセレクト。それぞれの作品には生身の質感から息遣いや脈動感が生々しく立ち昇ってくる独特の魅力があふれています。

白黒だからこそ際立つ、光と影、モチーフの質感。「モノクロ展」は静謐で繊細なモノクロの作品が集う展覧会になっています。

一方こちらは「その土地らしさ」がアート作品にも個性として現れるのか?というちょっと実験的な企画展「九州展」。九州に暮らすアーティストたちの作品をみることができます。

作品で季節を感じる、というのはレンタルサービスならではの楽しみ方。ハッピーだったり涼しげだったり…さまざまなSummerを感じることができる作品たちを集めたのが「なつ展」です。


それぞれのWebページでは、実際に美術館を巡って歩いているような感覚で一枚一枚の作品をみてまわることができます。そしてやはり最大の特徴は、気に入った作品があればその場ですぐにレンタルや購入の申し込みができるということ。ユーザーにとっては、パソコンの前でアート作品をみてまわりながら、ふと後ろを振り返って自室の壁を見つめ「あのへんに、どうかな…?」なんて考えられるのも楽しい。


アーティスト主催の個展との違いは「赤の他人」にみてもらえること


キュレーションされた、みてまわりやすいオンライン展覧会という場は、ユーザー側だけでなく作品を預けているアーティスト側にとっても大きなメリットとなります。それはアーティストが自身の作品を露出・アピールできる場が増えるから。

たとえば、実際にART STANDに作品を預け、今回の「ART STAND GALLERY」でも「身体とアート展」と「モノクロ展」に作品を取り上げられている現代美術家の原憲太郎さん

ほんの一瞬のわずかな時間の変化をモノクロの連続写真で切り取ることにより、静謐な「時間」の隙間に引き込まれるような写真作品を出展している現代美術家です。



もともと、増えていく作品の管理に困っていたという原さん。アート作品の”レンタル“という可能性に共感したこともあり、ART STANDの利用を始めたのだそうです。

「作品の購入となると、やはりハードルが高いのが現状だと思いますが、レンタルであればそのハードルも下がります。作り手側としては、購入であれレンタルであれ、いずれにせよ作品が求められているということなので、うれしいのは変わりありません」(原さん)

今回のようなオンライン展覧会には、普段のアーティスト活動の中で行う展示イベントとは違った要素があると言います。

「自分自身で開催する個展などでは、もともとの知人や仲間など、身近な人が来場してくれることが多いのですが、逆に言うと作品が “まったく知らない赤の他人”という存在の人の目に触れる機会は少ないんです。このオンライン展覧会では、私のことを知らないどこかの誰かに“偶然に”みてもらえる可能性がある。それは大きな意味があると思います」(原さん)


「偶然」の可能性が広がることはアーティスト活動のメリットになる


「時間」をモチーフとして、作品をとりまく空間をも表現にくみこむ原さんのアートは、やはり実物に対峙するのがベストな鑑賞法。だから、もしオンライン展覧会でピンときたら、実際にレンタルしてみるのがいちばんです。

「アーティスト活動を続けていると、自分の力だけではどうにもならないことにどうしてもぶち当たります。そういう時に道を拓いてくれるのは、ご縁だったり、つながりだったり、偶然だったりといった、自力ではコントロールできない何か。そういう偶然の何かとのタッチポイントの可能性を開いておくという意味で、ART STANDに作品を預けてオンライン展覧会などで露出の機会を増やすというのは、アーティストにとってひとつのメリットになるんじゃないでしょうか」(原さん)


次回の展覧会は学生の作品限定!リアル展示との連動も


ART STANDでは、この4つの企画展を皮切りに、今後も多数のオンライン展覧会を開催していくのだそう。

次回の展覧会として決定しているのは学生限定の展覧会。ART STANDに預けられた作品のなかから、美術を学んでいる学生の作家による平面作品だけを選出した展覧会ということで、PARTNER読者の美大生にも身近に感じられる企画となりそう。

またこの展覧会に選出された作品は、特別にリアルな場での展覧会「ART STAND Exhibition vol.3」でも展示される予定だとか(品川区のT-Art Galleryを予定)。

会期は9月以降を予定しており、8月15日(月)24時までにART STANDへ平面作品5点以上を登録することで選出対象となります。この機会に参加してみたいという美大生は、応募条件や方法についての詳細をこちらからチェックしてみてくださいね。

自分の作品が、思いもよらない偶然の出会いに恵まれるチャンスとなるかもしれませんよ。


>> 「ART STAND GALLERY」の閲覧はこちらから
>> 作品を預けてみたい方はこちらから
>> 学生限定展覧会への応募方法についてはこちらから

問い合わせ先:ART STAND株式会社
https://artstand.jp/

>> 原憲太郎 公式サイトはこちらから
 ※ 8/31(水)~9/9(金) ギャラリー・アート・ポイントにて「Life 2016」出展予定。

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