「小説家村上春樹さんが、ファンからの質問や相談などを受け付ける」という企画が、先月ネット上の特設サイト『村上さんのところ』で実施されました。
村上春樹さんといえば、『ノルウェイの森』、『羊をめぐる冒険』、『海辺のカフカ』、『1Q84』など有名な作品を世に輩出し、世界的にも有名な小説家です。そんな小説家に、今回、ファンから寄せられた質問・コメントは3万通を超えたそうです。さらにすごいのは、それらのメッセージすべてに目を通しているとのこと。(そんなことをしていたら、次の新作はずっと先になってしまうのではないだろうかと、ファンは逆に心配になるものですが‥‥)
直接こうして作家とファンがやりとりをする機会を設けた村上さん、この取り組みと「いったいどんなことになるのだろう?」という好奇心に脱帽です。
(以下オフィシャルサイトより引用)
当主ご挨拶
二週間にわたり、多くのメールをお送りいただき、ほんとうにありがとうございました。1月31日で受付を終わらせていただきましたが、結局全部で三万通以上ものメールが寄せられました。予想を遥かに超えた数字で、村上も、スタッフも、近所の猫たちも、みんな驚いております。わお!
今せつせつと読んでいるところですが、鉄人村上の処理能力にもやはり限界があり(あるのです)、読み切るのにあとしばらく時間はかかりそうです。なにせ今となっては「ギネスブック」クラスの試みとなっておりますので、お手元に返事のメールが届くまで、今しばらくお待ちいただくことになります。たとえていえば、神宮球場が満員になって(あまりないことですが)、その観客の一人一人と握手してまわっているみたいなものなのです。かなりの大事業です。時間が少しかかることに関してはなにとぞご理解ください。返事を差し上げられなかったみなさん、ほんとに申し訳ありません。でもすべてのメールにちゃんと目を通しています。どうかご安心ください。
正直に言いまして、どうしてまたこんなとんでもないことを始めてしまったんだろうと、ときとして自問したくなることもありますが、でも結局のところ、好奇心なんですね。いったいどんなことになるのだろう? そういう単純な好奇心が、あるところでは猫を困らせ、あるところでは村上を前向きな明るい狂気へと駆り立てます。百キロ・マラソンを走ってみようと思ったときと、だいたい同じような動機です。それで好奇心は満たされたか? どうでしょうね。まだ途中なので僕にもよくわかりません。終わってからゆっくり考えます。でもみなさんには楽しんでいただけましたでしょうか? もし楽しんでいただけたとしたら、なによりです。苦労の甲斐もあるというものです。
みなさんの寄せてくださったヴォイスが、僕のこれからの仕事にとって、何より大きな助けとなるはずです。ありがとうございました。
村上春樹
(引用ここまで)
さて、実はこのプロジェクト、今年1月に開催されたものですが、なんと、今日も村上さんはコツコツお返事を書いていらっしゃいます。3万通もの問い合わせですから、これはきっと時間もかかることでしょう。それでも、毎日毎日、お返事を書かれる村上さんは、本当に素敵ですね。
いつか、こうして集められた声が、またひとつの小説として世に送られる日が待ち遠しいです。
参照元:村上さんのところ
http://www.welluneednt.com
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