【平面デザイン3学科じゃない】視デ×基礎デ×デ情 合同バトルトークに行ってきた

今年のオーキャンスタッフには相当な晴れ男・晴れ女がいたみたいですね、の手羽です。月曜は大雨でした。

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長々とムサビオープンキャンパス2016シリーズとレポートを書いてきましたが、
【完全にワークショップ祭】ムサビオープンキャンパス2016に行ってきた!その1
【いつも本気】ムサビオープンキャンパスに行ってきた! その2
あえてレポート紹介していない企画が2つあります。


今年のムサビオーキャン目玉企画と言っても過言ではないでしょう。
6月12日(日)にこんなイベントがありました。

■デ情×基礎デ×視デ 三学科の選び方〜予備校では聞けない話〜
●日時:6月12日(日)13:00~14:30
●会場:武蔵美1号館1F103教室
●ゲスト:新島実教授(視デ)板東孝明教授(基礎デ)長澤忠徳教授(デ情)


どんなものかは、以前書いたこちらの記事をご覧ください。
【オープンキャンパス】デ情×基礎デ×視デ 3学科の選び方〜予備校では聞けない話〜
はたして手羽が司会になれるのか?


ちなみに。
私たちムサビ教職員が学科名を並列表記する時は、「日本画・油絵・彫刻・視デ・工デ・空デ・建築・基礎デ・映像・芸文・デ情」の設立順で書くんですよ。大人は繊細な生き物なので、「なんで●●学科がうちより前に書いてあるんだ!」ってことが起きないためのルールでもありますが。
なので、「デ情×基礎デ×視デ」という順番は、「視デが言い出しっぺの主催者だから最後に持ってきたんだろうなあ」と推測はできるけど、どうもムサビ教職員には座りが悪く(笑)
 

当日朝、入口にノレンをつける学生さん。

「ムサビ平面系デザインの3学科合同」は美大・美術予備校関係者しか通じない言葉。はたしてどれくらいの人がやってくるのか・・・・なんて不安はすぐに吹っ飛びました。

 


すんごい行列・・・1号館から2号館前まで行列ができてたようです。
 

手羽は開場してすぐに入ったんだけど、開演15分前でこの状態。
 
 
 

スタート時は嘘偽りない立ち見が出る満席でした。
美術予備校講師さんたちも結構来てましたね。
あ、美術予備校さんといえば、ムサビオーキャンを紹介してる記事で「入試合格作品を目当てで行く人は、一日目と二日目で展示される物が変わるという噂もあるので要注意」と書かれてましたが、完全なです。
 
 
というわけで、
いよいよ合同バトルトークスタート!!


司会は視デ・基礎デ・デ情の学生さん。
え?手羽はいないのかって?

実はオーキャン前日にWEBスペースを歩いてたら「手羽さんですよね?」と声をかけられまして。手羽の心の声も含めてその様子をお送りいたします。

「ええ。手羽ですけど・・」
「視デの●●です。3学科合同トークの企画をやってるんです!ブログで紹介ありがとうございました」
「いえいえ、みんな頑張ってるから応援しなくちゃね(おおおおお!!来た来たー!出演オファーだ!!信じれば夢は叶うってこういうことやね。やっぱりやりたいことは口に出さなきゃいけないよね。言霊ってあるよね。そういうのはいいから、早く本題に入りなよ)」
「・・・・・」
「・・・・・(あれ?)」
「・・・・・・・」
「・・・・・(そか。こういう立ち話じゃ依頼しにくいってことかな?別に全然かまわないのに。ほら早く言えよ。言いやがれよ)」
「・・・・・・・・・」
「し、司会はやっぱり大変だよね。あのメンバーだから手羽しか仕切れないと思うんだよね(言っちゃった言っちゃった。自分から言っちゃった。こういう時は大人が恥をかかなくちゃね)」
「申し訳ないんですが、今回は学生企画なので学生で司会をやろうということになりまして」
「・・・あ、あ、そ、そう?そうだよね。学生さん企画だもんね」


終了(涙)
手羽の短い夏は終わった。というか学生さんに気を使わせてしまった。
司会やりたいなんて、冗談だったのに(半分は)

でも学生さん司会で正解でしたね。
手羽だと「あの学科とこの学科の関係は・・」とかいろいろ考えちゃうんで実はあまり聞けなかったかもしれない。学生さんなら直球で先生に質問をぶつけられる。 
そして、最後のまとめで3学科をポケモンに例えてまとめる芸当は手羽にはできないっす(笑)
 


そうそう。今回それぞれコピーが付いてます。
視デは「才能の邪魔はさせない。存分に追及せよ。」
基礎デは「人類の誕生と共にデザインは生まれた。デザインの誕生が基礎デを産んだ。」
デ情は「創立18年目。時代がデ情に追いつくのはいつだ。」
これ、先生がつけたんじゃなく学生さんが考えたものなんだそう。

それぞれの先生の言葉を借りると、視デは「ポテンシャルや目的意識の高い多様な学生さんが多く、それで視デは成り立っている。教員はそれをいかに邪魔をせずに伸ばすかを考えている」、基礎デは「そもそもなんで人間がデザインという行為を始めたのかを考える学科」、デ情は「学科を作る時に今までのデザイン教育を見直して、どんなアプローチでやればいいのか。21世紀はどうなるのか?を考えて作られた学科。つまり最新の学問をやってる学科」で、非常に短くうまくつけられたコピーなのがわかります。
 

マイクをもってるのは基礎デ・板東先生。

関係性を表すためのトークイベントだと「ヒール役」がポイントになります。心の中では理解してるんだけど、あえて「それは違う」「よくわからない」と発言してくれる人。手羽もよくやります(笑)

今回は恐らく、基礎デ・板東先生がヒール役を買って出てくれたんじゃないかしら。
やはりムサビで一番の人気学科・視デ、学長でもある長澤先生だと言いたくても言えない言葉があるもんで。板東先生が反論しつつフォローされてる姿がすごく伝わってきました。

医学には「臨床医学」とiPS細胞の「基礎医学」がある。基礎医学はすぐに役に立つものではないけど絶対に必要なもの。基礎デザイン学の基礎はこの基礎。基礎デザイン学科の英語名称はscience of designだけど、scienceの語源はラテン語のscientia(スキエンティア)で「人間の知」を表してる。
入試では、受験対策で訓練した実技力も耐えがたいスキルだと思っているが、この人はどういう視点で見てるのか?どれくらいの人が共感できるか?ちゃんと伝えたいという気持ちを秘めてる人か?を見てる。 
・・なんて話をされてました。
 

真ん中は視デ主任教授の新島先生。
控室で板東先生に「新島先生はオーキャンTシャツをなんで着ないの?そこがシデのおごりだよねー」といじられてました(笑)

個人的に一番感動したのは新島先生の話でした。
受験者相談で一番質問が多いのが受験生が最も多い視デなので、広報やってる時にいろんな先生から視デについて聞いたり、視デパンフを読んだり、視デのイベントは積極的にみるようにして自分なりに「視デとは何か?」を考えたけど、新島先生のおかげでとっちらかってた知識や経験がススーとつながったというか。

「グラフィックデザイン」という狭い領域ではなく、デザインの考え方を「身体」「原理」「日常のアプリケーション」を一体化とした「ビジュアルコミュニケーションデザイン」として捉えたのが視デ。
こう書くと、なんか複雑なこと書いてるように見えますが(笑)、例えば「今日はありがとう!!」と目を見ながら手をつなぎ肩をポンポンするのと、檀上から「今日はありがとう」と伝えるのとではあきらかに「伝える力」が違う。この感覚の違いがわからないとコミュニケーションデザインはできないし、それを大事にしている。
 

長澤学長・・・じゃなくてデ情・長澤先生は、

ちょっと前に学長トークでマシンガントークをぶちかました直後だったのでお疲れだったろうし(チラシを配らせてたのはこっちだけど)、基礎デ出身で、なおかつ学長ですからね。やりにくかったと思うし、言葉を選んでしゃべってるのが伝わってきました(笑)

でも長澤先生らしい、すんごくわかりやすかった言葉だったのが、
「細かい授業単位でみると同じ内容をやってるように見えるかもしれないが、何を大事にしてるかでこの科目は強めに、ここは少し弱くという配合ブレンドが違う。それが3学科の違いともいえる。手元では2度しか違わないものがずーと先だと100mの違いになるように、世の中に出たら全然違うものになる」かな。
 
デ情の有名授業に「課題発見」があります。自分達で課題を見つける授業。
今になって文科省が「これから必要なのは課題発見力」なんていってますが、デ情は18年前からカリキュラムとしてやってるのです(笑)
それとひっかけるなら、3学科の違いがわからないなら3学科受験して、受かったところに行き、そこで「この学科での学びとはなんだろう?」と自分で迷いながら課題設定し考えるのもいいんじゃないかと。

結論をいうと、大成功な企画だったと思います。
「3学科の違いを見つける」という趣旨以上に先生方のおかげで「高校生にもわかるデザイン論の話」になってました。
3学科の違いがよりクリアになり、「平面デザイン系3学科」という美術予備校がつけたグルーピングじゃないこともはっきりし、そして違いを探すことがバカらしいことだと感じ、何よりもっとムサビが好きになった人が増えたはずです。


受験生や外の方以上に、ムサビ生もこの3人の話は聞きたかったはずだし、聞かせたかったですね。
来年もやってほしいけど、オープンキャンパスは受験生とか外部の方優先にして、ムサビ生向けに「ムサビ入門」とか課外講座で第2回をやったらどうでしょう。自校教育にもなりますし。>関係者の皆さん
あ、もしくは今度は「工デ×空デ×建築」かな?(笑)


このダイジェスト版動画が7月に公開される予定ですので、見れなかった方はぜひチェックしてください。

以上、最後にボツになった手羽のプロフィール写真を貼っておく手羽がお送りいたしました。
どこかで使ってください・・。

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OTONA WRITER

手羽イチロウ / teba ichiro

【美大愛好家】 福岡県出身。武蔵野美術大学造形学部彫刻学科卒。 2003年より学生ブログサイト「ムサビコム」、2009年より「美大日記」を運営。2007年「ムサビ日記 -リアルな美大の日常を」を出版。三谷幸喜と浦沢直樹とみうらじゅんと羽海野チカとハイキュー!と合体変形ロボットとパシリムとムサビと美大が好きで、シャンプーはマシェリを20年愛用。理想の美大「手羽美術大学★」設立を目指し奮闘中。