三越伊勢丹ホールディングス 大西洋社長が語る、百貨店は衰退産業!?三越伊勢丹グループに未来はあるのか?

世の中を生き抜く術・勝ち残る術」をテーマに、建築界の異端児の異名をとる建築家松葉邦彦が今話したい人物と対談、インタビューを行い、これからの世の中を生きて行く学生や若手に伝えたいメッセージを発信します。第11回は株式会社三越伊勢丹ホールディングス代表取締役 社長執行役員の大西洋さんにお話を伺いました。

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大西洋 
慶應義塾大学商学部卒業後、1979年(昭和54年)株式会社伊勢丹入社。入社以来紳士部門を歩んだ後、伊勢丹立川店長、三越MD統括部長を歴任、2009年伊勢丹社長執行役員、2012年から現職。“人を大切にする経営”をポリシーとし、従業員への適正な評価や人事制度改革を進めている。また、小売業界の根本課題であるサプライチェーン改革についても先頭に立っておこない、質の高い商品を継続的に提供していくために全力を注いでいる。

松葉:「Outsider Architect」の11回目は、株式会社三越伊勢丹ホールディングス代表取締役社長執行役員の大西洋さんに主に以下の3つのトピックスについてお話を伺っていこうと思っています。

1:社長に直談判して実現させた“非”王道のメンズ館
2:百貨店のみの一本足打法では百貨店に未来は無い
3:残すものは残し、壊すものは壊し、新しくつくり変える

1:社長に直談判して実現させた“非”王道のメンズ館

松葉:最初に何故伊勢丹に入社されようと思われたかをお聞かせいただけますか?

大西:正直に言いますと、どうしても伊勢丹に入社したかったというわけではありません。一番行きたかったのはテレビ局や新聞社といったメディア系でした。ですが、当時あまり成績が良くないこともあって入社試験の結果は芳しくありませんでした。また当時、実はファミリーレストランの店長になってお客様をおもてなししてみたいとも思っており、実際にあるファミリーレストランの会社から内定をいただいていました。ただ「同じサービス業なら伊勢丹が良いのでは。労働条件が良いらしいよ」と知人から言われて、最終的には伊勢丹に入社を決めました。

松葉:当時の伊勢丹の労働条件は他の企業に比べてそんなにも良かったのでしょうか?

大西:昭和40年代から週休2日制が導入されていたように思います。おそらく百貨店では一番早かったのではないでしょうか。

松葉:最近、大西さんが社員の待遇改善にご尽力されているとお聞きしました。例えば一部の店舗で正月は2日までは休みとして3日からの営業としたり、売上の良い販売員には部長職くらいの給与を出してもよいとおっしゃったりと。元々そのような社風の企業だったのでしょうか?


  • 大西洋

大西:時代は変わっていくので過去が良かったという話ではないのですが、販売員(三越伊勢丹では「スタイリスト」と呼んでいます)の仕事はものすごく大変なのに、それに対して会社が応えきれていないのです。売上が下がっていくと、コストを削減するためにまず人件費に手をつけるという流れが一般的になっていますが、そうではなくて人件費を上げて、それでなおかつ売上と利益を上げて生産性を上げるのが一番理想的だと思っています。百貨店は人の産業ですから、今のままでは益々悪循環になっていってしまうのではないかと考えています。

松葉:建築設計事務所は法人であっても規模が大きくないのであまり騒がれることはないのですが、多くの事務所は世間で騒がれているブラック企業そのものだと思います。僕はそれが当たり前となってしまっている建築設計事務所に就職するのが嫌で最初から独立したという側面がかなり強かったので、トップの方が人を大切にされているというのは大変素晴らしいことだと思います。ちなみに伊勢丹ではどのようなお仕事に携わってこられたのでしょうか?

大西:新入社員は皆店頭配属になり、私も2~3年ほど店頭の販売の仕事をしました。私は紳士服の配属で、販売の後はそのまま紳士服でアシスタントバイヤーになり、合計で7年間ほど紳士服にいました。その後は専門店を立ち上げるという当時の社長の特別プロジェクトに4年間、それから4年の海外勤務を経て帰国後も9年ほど紳士服に携わりました。

松葉:基本的に紳士服畑ということなのですね。伊勢丹新宿本店メンズ館のお仕事に携われていたのはおいくつの時でしょうか?

大西:45~46歳くらいの頃から準備を行い、47~48歳の頃にオープンしました。2003年のことですので今から12年ほど前の頃です。

松葉:12年位前ですと、ちょうど僕はメンズ館2階のコムデギャルソンなどの服に興味を持ち始めて買うようになった頃だったと思いますが、当時から商品のセレクトや見せ方がすごいなと感じていました。今でもよく覚えていますが、ほぼ毎日着けているトラヴィスワーカーのクロスリングは西新宿の設計事務所でアルバイト代を受け取り、その足でメンズ館の1Fに買いに行きました。

大西:あの頃はみんな開き直ってやっていたのが良かったと思っています。今は何をするにもリスクヘッジから始めてしまいますが、それではダメです。失敗したらとか考えてしまい100%やりたいことができていません。50%とか極端な話30%くらいで止めてしまう、だから成功しても失敗しても所詮大したことがない。従業員がそういった働き方に慣れてしまっているのが問題です。メンズ館というのは最初からここまでやり切ると決めていて、もし失敗したらその時は責任を取ればいいという覚悟がありました。特に今の時代はそういった仕事のやり方をしないと突き抜けた成功はあり得ないと思います。

松葉:ちなみに百貨店業界では婦人服担当が王道という風にお聞きしましたがいかがでしょうか?

大西:そうですね、一般的には婦人服で働く人がエリートで人事もそういった配置をしていたように思います。紳士服はリモデル(店舗改装)の予算希望を出しても毎年婦人が先で後回しにされてしまうのが当たり前でした。

松葉:そうすると、伊勢丹においてはその常識を大西さんが覆してきたわけですね。婦人服がメインの百貨店でどのようにメンズ館を実現されたのでしょうか?

大西:これは社長に直談判してやるしかないと自分の中で覚悟していたので、少しずつ社長に情報を入れていき実現にこぎつけました。そういう経験があったので、今も社員に対しては自分がやりたいことであって、それを管理職がストップしているのであればきちんと私に伝えて欲しいと言っています。もちろん社長がすべて決められるわけではないですが、裏からサポートとするなどやりようはあります。これは不公平ということではなく、言葉にしてきちんと伝えることが重要なのだと考えております。

松葉:一方で管理職に対してはもっと外に出て行くようにとおっしゃっているともお聞きしましたが。

大西:管理職に限りませんが、とにかく外に積極的に出ていくことが大切でして、そこで人脈を作っていくことを皆がやれば相当変わると思いますし、そういうところから新しい発想が出てきます。管理職は責任もある役職ですのでなかなかそうもいかない現状があるのですが、自分から出ていかないとやはり厳しいと思っています。

松葉:なるほど、僕が存じ上げている管理職の方は色々な集まりに参加されているようで、よく Facebookに投稿されています。ですので、それが当たり前なのかと思っていましたが三越伊勢丹ではかなりイレギュラーな方だったのですね笑。

2:百貨店のみの一本足打法では百貨店に未来は無い

松葉:三越伊勢丹グループとはどのような百貨店なのでしょうか? 

大西:まず百貨店自体がもう衰退産業といったら言い過ぎですが、そう言えるくらいこれまでのビジネスモデルが成り立たなくなってきており、本来の百貨店の姿というものが見えにくくなってきています。ですので、三越伊勢丹グループとしてはまずは本来の姿に立ち返り、もう一度百貨店としての王道を取り戻していきたいと考えています。また、他の小売業の中でも突き抜けたというか、お客様にちゃんと理由を持って選んでいただけるような百貨店になっていきたいとも思っています。

松葉:今後百貨店はどのような業態になっていくと思われますか?

大西:百貨店は読んで字の如く百貨:いろいろな商品を扱うお店なのですが、10数年前から家電や衣料品など、特定分野の商品を豊富に品揃えし低価格で販売するカテゴリキラーの出現で売上がどんどん減少し、さらに最近ではECが台頭していますので、このままだとさらに規模が小さくなってしまいます。ですが、百貨店が専門店のような業態に変化していってしまうと百貨店そのものがなくなっていってしまいます。ですので、我々はもう一度本来の百貨店の姿を取り戻していきたいと思います。我々はあくまでも百貨店として最後まで残りたいと思っています。


  • 松葉邦彦

松葉:これは僕の百貨店に対してのイメージなのですが、上の階には色々なレストランがあって幼稚園や小学校の頃は休みの日には家族で食事をして、その後に下の階のおもちゃ売り場で「これが欲しい」とねだってみたりする場所でした。僕の場合、祖父母が日本橋に住んでいたということもあり、よく訪れていた日本橋三越本店はそれこそ百貨店のイメージそのものでした。八王子の百貨店やおもちゃ屋さんでは売っていないおもちゃが買えたりするので頻繁に通いましたし、開店前にはライオン像に乗ったりして遊んでいましたし。ちなみに、人に見られないでライオン像に乗ると受験に成功すると聞いたのですが、開店待ちをする大勢の人に見られながら乗っていたせいか受験は全く成功しませんでした笑。いずれにしても、かつての百貨店というのは家族で休日を過ごす場所ですごく特別な場所だった気がしているのですが、レジャーの多様化によってそれが少しずつ変わってきたという印象です。それが元に戻っていくというイメージなのでしょうか?

大西:コンテンツは変わっていくと思いますが、人が集まって過ごす場所という考えでは間違いなくそうですね そこにいたらワクワクして何かができる。そういう場所に変えていきたいと思います。

松葉:一消費者としても、そういった百貨店でないと今度残っていかないのかなと思ってしまいます。2016年の1月にトランジットジェネラルオフィスとの合弁会社「株式会社三越伊勢丹トランジット」を設立されたのもその流れによるものなのでしょうか?

大西:百貨店という業態をやめるつもりはまったくありませんが、一方で百貨店のみの一本足打法のままでは今は成り立っていても将来的には厳しいと考えています。人口減少や人口構成の変化を考えると、我が国では百貨店の規模が今後縮小していくことは避けられないのではないでしょうか。ですが、そのまま放置してしまうと三越伊勢丹グループという企業自体も縮小していってしまいます。それは避けなくてはならない。ですので、今から手を打って将来的には百貨店事業とその他の事業のポートフォリオを7:3とか6:4にしておきたいと考えています。そして、ウェディング、レストラン、ホテル、カフェなどの飲食に関連する事業には可能性を感じています。

松葉:何故トランジットジェネラルオフィスと手を組もうと思われたのでしょうか?

大西:トランジットジェネラルオフィスの中村貞裕さんは、今飲食業界で必ず名前の挙がる注目の方です。我々は一流の方と組みたいと思っておりました。

松葉:ブライダル事業でプラン・ドゥ・シーとの合弁会社「株式会社三越伊勢丹プラン・ドゥ・シー」を設立されたのもそのような経緯だったのですね。

大西:ブライダルの場合、百貨店は指輪とか引き出物にまでは関わるのですが、結婚式場の予約などには関わっていないのが現状です。ですので、今後はブライダルに関してもトータルで関わっていきたいと考えています。また、トランジットジェネラルオフィスやプラン・ドゥ・シーといった若くて勢いのある企業と組むことで当社の従業員もどんどん活性化され良い循環になっていけば一番良いなと思っています。というのも、私が今危機感を持っていることの1つでもあるのですが、先ほどもお話した通り積極的に外に出ていく従業員がほとんどいません。例えば先日開催されたトランジットジェネラルオフィスの新年会にはとても大勢の方が参加されていたのですが、当社グループの人間は私1人しか参加していませんでした。呼ばれていなくて行くくらいのつもりで、特に20〜30代の社員はどんどん社交的な場に顔を出すようにしていってもらえたらと思っています。

3:残すべきものは残し、壊すものは壊し、新しくつくり変える

松葉:百貨店業界を取り巻く環境はどのような状況でしょうか?

大西:経済環境は決して良くはありません。首都圏といえどもなかなか厳しいと言えます。1年半前くらいからベアによって給与も上がったと言われていますが、まだ一部のみで金額も数千円程度です。通信費などを考えるとまだまだ好転しているとは言えません。一部の富裕層を除きほとんどの人は恩恵を受けていない状況です。

松葉:なるほど、確かに株価が上がり景気が良くなったと言われていますが、あまりそれを実感することはありませんね。

大西:そのような状況においては、独自性とか突き抜けた感覚で他ができないことをやらないといけません。伊勢丹新宿本店では特にこの数カ月間、意識的に新しいことに取り組んでいます。また、三越銀座店も2015年にリモデルを行いました。銀座4丁目の交差点という最高の立地ですのでポテンシャルも高いと考えています。また三越日本橋本店も2年後を目処にリモデルを実施します。新しいお客様をどう呼び込むかということを真剣に考え仕掛けているところです。


  • 伊勢丹新宿本店


  • 銀座三越

松葉:百貨店に限らずですが、新しい顧客をどう獲得していくのか?という事はとても重要ですね。今までですと、お帳場(三越の優良顧客のこと)のお客様のように洋服だけでなく家具や絵画まで全て百貨店で購入されるような方が顧客としてとても重要だったのだと思われます。ですが、世代が変わりその子供達の代になった時に、はたしてその人達が百貨店でダイニングテーブルや絵を購入するのだろうか?これはお金の有無という話ではなく、ライフスタイルや価値観の多様化によるものなのかなと思っています。

大西:おっしゃる通りですね。ご本人たちは高齢になってきて購買額は減りますし、その次の世代でもお帳場を引き継いでいくお客様はいらっしゃるとは思いますが間違いなく数は減っていきます。ですが、今までは新しい顧客獲得のための努力が十分だったとは言えません。今こそマインドチェンジが必要です。新しいものをつくるために何かを壊さなくてはなりません。良いもの・残すべきものはきちんと残すと同時に、壊すものは壊して新しくつくり変えていく必要があります。それについては内部からも色々言われることも少なくないですし、私だけが何か言っても煙たがられてしまうので、上手く周りの人を巻き込んでいくことが必要です。ただはっきりしていることは、この変革がきちんと出来ないと本当に未来がないということだと思います。今後も新宿、日本橋、銀座の基幹3店が中心なのは間違いありません。ですので、この3店舗が利益を生み出すために新しいものをつくり上げていく必要があります。

松葉:かなりの危機感を持たれているというが伝わってきます。また、基幹3店以外にも立川や府中、浦和などの首都圏の支店や、岩田屋三越や札幌丸井三越などの地域店舗がありますがそちらについてはどのようにお考えでしょうか?

大西:首都圏郊外店ですが、正直申し上げますと決して楽観視していられる状況ではありません。また、支店・地域店舗からも現況きちんと利益は出ていますが将来これが伸びるかと言うと厳しいのではと思います。要はそれらの地域では従来型の百貨店のビジネスモデルでは成り立たなくなってきているということです。ですが、過去に行ったように人を減らしたり規模を縮小したりでは対処しきれない状況です。ですので、自分たちでモノとコトのバランスをコントールして徐々に変えていく必要があると考えています。

松葉:例えば副都心線の開業によって、郊外に住んでいる人でも簡単に新宿などの東京都心部にアクセスできるようになりましたよね。その結果、今まで郊外の店舗に行っていた人たちが皆今伊勢丹新宿本店に集中する一方で、郊外の店舗には人が足を運ばなくなるということが起こっているのかなと想像してしまいます。僕も物理的な意味では伊勢丹立川店の方が近くても、結局足を運ぶ頻度は伊勢丹新宿本店の方が多いですし。また、モノに関してですが、近年はSPA(製造小売)にも積極的に取り組まれていますよね。2018年度までに200億円規模にするとお聞きしましたが。

大西:将来的には売上の20%まで自社商品に持っていきたいと考えています。またコトに関して言いますと、今までも文化教室などやってはきていますが全部外部に丸投げしている状態でした。ですが今後はシニア向けの集いの場などを自分たちがリスクを取る形で積極的につくっていきたいと考えています。それから昨年、カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)とマーケティング事業を推進する新会社の設立を中心とした包括的提携に向けた連携を始めました。

松葉:何故CCCとの提携を目指されているのでしょうか?


  • 大西洋

大西:CCCとの提携により、三越伊勢丹グループの各店舗でTポイントの利用が可能となります。ですが、CCCと組んだ一番の理由はTポイントではなく、彼らの企画力です。両社が共同で、ライフスタイル提案型商業施設など新たな事業の企画・開発を行っていくことを考えており、それを支店で順次試していけたらと思っています。三越伊勢丹グループは、「モノビジネス」は得意でも「コトビジネス」は苦手ですので、湘南T-SITEや二子玉川の蔦屋家電など単独でも人を呼べる施設をつくることができるCCCのノウハウを少しでも取り入れていきたいと思っています。将来的には、支店・地方店舗は百貨店とそれ以外のコンテンツへ変えることで、施設として魅力的なものにしていかないと厳しいと考えています。

松葉:CCCだけでなくトランジットジェネラルオフィスやプラン・ドゥ・シーとの連携を積極的にされていますが、今までも三越伊勢丹グループは他の業界との連携を積極的に行ってきたのでしょうか?

大西:他の業界との連携は今までなかったですね。どちらかというと百貨店中心でやっていければ良いという感じだったと思います。以前伊勢丹はバーニーズ ニューヨークを傘下に持っていましたがそれはあくまでは百貨店というものに幅を持たせるためのものでしたので。

松葉:しかし現在行っている連携はそのようなものではないですよね。今のままではまずいという危機感の下、他と手を結ぶことで得意分野を増やして他の百貨店との差別化を図っていくということですね。また、2015年から「this is japan.」という企業メッセージを発信されていますが、これはどのような意図があってのことなのでしょうか?

大西:経済産業省にクール・ジャパン室が設置され、日本の良いものを海外に発信していくということが近年積極的に行われているのですが、海外に出す前にまず日本の方に日本の良いものをしっかりとプレゼンテーションするのが我々の役割ではないかと考え、2011年から「JAPAN SENSES」という営業施策で日本、とくに地方の良いものを幅広く掘り起こし、お客様にご提案してきました。そして昨年1月からは経営としてももう一度日本というものを見直そうということでthis is japan.」という企業メッセージに格上げをしました。「JAPAN SENSES」が担っていた日本の良いものをお客様にご提案するという側面に加えて、おもてなしの心や日本人のもつ五感をまずは三越伊勢丹グループの全社員が共有し、それをお客様へのおもてなしとしてご提示するというものです。

松葉:先日、JINSの田中仁さんにお会いした際に「以前はブランドというものは外から見えるものだと思っていたが、実際にブランドをつくっていくのは社内・内部の人間だということに気づいた」とおっしゃっていましたが、今大西さんがおっしゃった日本を海外に発信する前に、日本の良いものを日本の方々に知ってもらうことが重要というお話と本質的な部分では通ずるところがあるのかなと思いました。

大西:企業広告なので外への発信になるのですが、実は半分以上内部への発信でもあります。従業員にそういう気持ちで働いて欲しいというメッセージにもなっています。また、三越伊勢丹グループの広告には人が目立ってしまうと本質論になりにくいという理由で、有名人とか話題の人をあまり使ってこなかったのですが、今年はラグビー日本代表の前監督、エディー・ジョーンズ氏が伊勢丹府中店をご利用いただいていたというご縁もあってモデルになっていただきました。

松葉:話題になるということはとても重要だと思いますが、話題づくりだけで本質的な部分がきちんとしていないとすぐにボロが出てきてしまうのかなと思っています。何においてもまずは内側、もしくは足元をきちんと固めておかないといけません。そして三越伊勢丹グループのような大きな組織であればあるほど、それが徹底されていないといけませんね。また、今回のインタビューを通じて大西さんが三越伊勢丹グループに対して一番危機感をお持ちであり、トップ主導の革新的な取り組みによって同社の未来を切り開いていかれようとしていることが伝わってきました。百貨店において革新的であったメンズ館をつくられた大西さんが、今度はどのような形で世の中を驚かせるのかを今から楽しみにしています。

協力:藤沼拓巳

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OTONA WRITER

松葉邦彦 / KUNIHIKO MATSUBA

株式会社TYRANT代表取締役/一級建築士 1979年東京都生まれ。東京藝術大学大学院修了後、事務所勤務を経ることなく独立。 人生で初めて設計した建物が公共の文化施設(旧廣盛酒造所再生計画)という異例な経歴を持つ。工学院大学建築学部建築デザイン学科非常勤講師。