移り変わる風景や人びとのことばの記録を続けるアートデュオ、小森はるか+瀬尾夏美

映像作家の小森はるかと画家で作家の瀬尾夏美は、2011年3月の終わり、沿岸部のボランティアに訪れたことをきっかけに、2012年4月に岩手県気仙郡住田町へ移住。沿岸の陸前高田市を中心に、移り変わる風景や人びとのことばの記録を続けている。二人の活動を紹介する展覧会が宮城県仙台市のせんだいメディアテークと福島県福島市のギャラリーオフグリッドで行われている。美術批評家の椹木野衣氏や、民俗学者の赤坂憲雄氏が登壇するトークイベントも開催される。

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小森はるか+瀬尾夏美とは?

小森はるか+瀬尾夏美は、映像作家の小森と画家で作家の瀬尾によるアートデュオ。
2011年3月の終わり、沿岸部のボランティアに訪れたことをきっかけに結成。
2012年4月に岩手県気仙郡住田町へ移住。
沿岸の陸前高田市を中心に、移り変わる風景や人びとのことばの記録を続けている。
また、記録を未来や遠くの人に受け渡すための表現について考えながら、
多様なアート表現をつくり出している。
2015年4月より、仙台市に拠点を移し東北で記録・ドキュメンテーションを考える
一般社団法人NOOK(のおく)を設立。

《小森はるか+瀬尾夏美 活動歴》
「つくることが生きること」3331 Arts Chiyoda/東京(2012)
「3.11とアーティスト|進行形の記録」水戸芸術館/茨城(2012)
「陸前高田未来作戦会議」陸前高田市内/岩手(2012より)
「まなざしの先に」川口市メディアセブン/埼玉(2013)
「Art Action UK Residency Program」Husk Gallery/ロンドン(2014)
「震災と表現. BOX ART 共有するためのメタファー」リアス・アーク美術館/気仙沼(2014)
「DeptfordX」St Paul’s Church/ロンドン (2014)
「記録と想起-イメージの家を歩く-」せんだいメディアテーク/仙台(2014)
「けせん、たいわ、つむぎ」陸前高田市内/岩手(2014より)
「レコーディングインプログレス」せんだいメディアテーク/仙台(2015)
「Those who go east」white conduit projects/ロンドン(2015)
「Sharing as Caring 4」Heidelberger Kunstverein/ハイデルベルク・ドイツ(2015)
「あたらしい地面/地底のうたを聴く」ギャラリー・ハシモト/東京(2015)
 巡回展「波のした、土のうえ」全国巡回中/(2015〜)


ウェブサイト:http://komori-seo.main.jp/

空白を訪ねる –そこで出会ったことば−

2011年3月の終わりにボランティアに出かけてから、
私たちはずっと同じことを続けています。

それは「何も無くなった」と言われたその土地を訪ね、
「本当にそうなのか?」という問いをこっそりと抱きながら、
そこにあったさまざまな痕跡や、
新たに生まれ出て来たことばを集めるということです。

本展では、駆け足で過ごして来たおよそ5年の時間を、
私たちがつくって来たさまざまな記録物を通して振り返ります。
その過程で、「記録出来たと考えていたけどこぼれ落ちていたもの」や、
「むしろこんなにも映っていたもの」に気づいたりするかもしれません。
またそれらは、私たちではない誰かの目に触れることで、
より鮮やかになることを感じています。

5年を間近に控えたいま、このあたらしい空白の場で、
誰かと出会えたら、と思っています。

期間:2015年12月19日(土)から2016年2月28日(日)9:00〜22:00
※12月29日(火)から1月3日(日)、1月28日(木)、2月25日(木)はお休み
会場:せんだいメディアテーク 7F ラウンジ
入場無料
主催:小森はるか+瀬尾夏美、
   3がつ11にちをわすれないためにセンター(せんだいメディアテーク)
協力:一般社団法人 NOOK
助成:一般財団法人 地域創造

《関連イベント》
◎上映『波のした、土のうえ』
日時:2016年2月28日(日)14:10-15:18
会場:せんだいメディアテーク 7f スタジオシアター
参加:申込不要・参加無料・出入自由
陸前高田の人びとの半生と風景の変化を描写した映像作品。各映像の主となる住民と小森、瀬尾の三者共同で制作されている。
※「『星空と路』上映室」の上映プログラムのひとつです。

◎シネマてつがくカフェ
テーマ:「映像作品『波のした、土のうえ』から考える」
2016年2月28日(日)15:30-17:30
会場:せんだいメディアテーク 7f スタジオa
ファシリテーター:西村高宏(てつがくカフェ@せんだい)
ファシリテーショングラフィック:近田真美子(てつがくカフェ@せんだい)
『波のした、土のうえ』の上映後に、対話の場・シネマてつがくカフェを開きます。

問い合わせ
3がつ11にちをわすれないためにセンター
仙台市青葉区春日町2-1
TEL 022-713-4483/FAX 022-713-4482


巡回展 波のした、土のうえ in福島

大津波からもうすぐ5年が経ちます。津波に洗われた東北の沿岸部にあったように、どこに暮らす人にも、きっと同じように5年という時間があったと思います。

私たちは東京の学生だった2011年4月に初めて東北の沿岸部を訪れ、地域の人たちに助けられていく体験を通して、「ここで生きている人たちの声を誰かに届けたい」と考えるようになりました。そこで、時間や距離を越えて声を届けるひとつの方法として、「記録」に向き合い始めます。 2012年春には岩手県沿岸南部に位置する陸前高田市に拠点を移し、その土地で暮らすことを選びました。

私たちはただただ、日々変わっていく風景を目の当たりにしながら、陸前高田の人たちに話を聞かせてもらいながら、およそ5年間の移り変わりのかたわらに身を置き続けました。私たちの作品は、この土地と、この土地に生きる人たちの声を拾おうとする一連の行為の集積と言えるかもしれません。同時にそれらが土地の記録の一部となり、声を届ける媒体になろうとする「表現」のひとつの形になるように、と考えています。

本巡回展は2014年冬に発表した「波のした、土のうえ」という作品群の展示を軸とするとともに、訪れる土地で出会う人たちとの対話を目的としています。大津波に洗われた陸前高田に経過した時間と同じように、他の土地に流れた時間もまた、あの時誰もが予想したどれとも違うものだっただろうと思います。声を届けながら、声を受け取っていく。巡回の過程を通して、私たちの展覧会は有機的な運動をともない、更新されていきます。

大津波から5年目のある日に、ここ、福島で、あなたと出会えることをたのしみにしています。

日時:2016年2月20日(土)- 3月6日(日)10:00 – 18:00(金土日20:00まで)
会場:ギャラリーオフグリッド(福島市荒町4-7 県庁南再エネビル2F)
入場料:無料
お問い合わせ先:KiNoKuMaYA
MAIL:kinokumaya3@gmail.com
WEB:http://kinokumaya.wix.com/kinokumaya
巡回展サイト:http://komori-seo.main.jp/namitsuchi

《関連イベント》

オープニングパーティー
2016年2月20日(土)16:00-17:30 
ケータリング:ふうろ
参加費1000円/軽食・1ドリンク付

トークイベント①(すべて申し込み不要、参加費無料)
2016年2月20日(土)14:00-16:00 
ゲスト:椹木野衣氏(美術批評家)、赤坂憲雄氏(民俗学者)

トークイベント②
2016年2月21日(日)14:00-16:00 
ゲスト:山内明美氏(社会学者)、赤坂憲雄氏(民俗学者)

トークイベント③
東北で活動する若手制作者・芸術家によるトーク
「いま・ここで『表現すること』に向き合う」
2016年3月5日(土)15:00-18:00 
登壇者:小林和貴氏(デザイナー)、久松知子氏(画家)、村上一真氏(写真家)、浅野希梨(KiNoKuMaYA主宰)、小森+瀬尾

特別上映会〜相馬高校放送局作品群の上映〜
2016年2月27日(土)13:00-17:00
アフタートーク:15:00-16:30
会場:旧御倉邸
登壇者:阿部泰宏氏(フォーラム福島総支配人)、渡部義弘氏(前相馬高校放送局顧問)、赤坂憲雄氏、小森+瀬尾


シネマてつがくカフェ「波のした、土のうえ」
2016年3月6日(日)13:00-17:30
ファシリテーター:西村高宏さん
ファシリテーショングラフィック:近田真美子さん
小森+瀬尾作品「波のした、土のうえ」をみなさんとともに鑑賞したあと、対話の場・シネマてつがくカフェを開きます。どうぞお気軽にご参加ください。休憩時にはお飲物をご用意しております。

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