東京文化会館、奇跡の音響
読者で、東京文化会館に行ったことがある方はどれくらいいらっしゃるだろう?ここは建築家・前川國男による代表的なモダニズム建築。演奏家にとっては憧れの場所で、オペラやバレエ、クラシックの殿堂として国内外を問わず多くの人に親しまれている。このホールに佇むとまるで洞窟のようで、彫刻家・流政之による彫刻が壁を飾り、ステージ上には同じく流氏による音響反射板がそびえ立つ。また、なんといっても最大の魅力は“奇跡の音響空間”の異名を持つ特別な音響。その音の響きの良い音響空間で聴く音楽は格別な体験である。
新しい試み
一般的には“難解”というイメージを持たれがちな現代音楽。しかし現代音楽とは本来自由な表現であったはず。とっつきにくいのは、ストーリーがわからないからかもしれない。そこで本公演は、“音が見える”というコンセプトに合わせ、馴染みのない人にも魅力的に感じてもらうために、様々な趣向が凝らされている。白井によるパフォーマンスや、堀井による映像などによって、中川が演奏する、メシアンが生み出した音階の万華鏡のようなきらめきを共感覚のように感じる事が出来るのだ。
それでは先日行われたプレ公演で紹介された、いくつかの演目を紹介しよう。
堀井が演出する、さまざまなデバイスを用いたプログラム。これは音楽家の脳波を取得して「安らぎ・緊張」の信号を波としてビジュアライズするもの。完全なシンクロをみせる映像と音とのコラボレーションは、音楽の波に包み込まれるような壮大な感覚を生み出す。
こちらはクセナキスの音楽をビジュアライズしたもの。3DCGのオブジェクトがガラガラと崩れ落ちていくさまはすさまじいカタルシスを感じる。
ライヒの演目。白井本人と、その3秒前、6秒前の自分によるデュエットダンス。まるで過去の自分と踊っているような光景に感情移入してしまう。
クライマックス、フェラーリの「即興の練習」における、ピアノとパフォーマンス、映像の濃密な絡まり合いは圧巻。
これらの演目はプレ公演での発表のため、本番ではさらに大きな変貌を遂げる可能性を秘めているという「ON-MYAKU」。現代音楽やコンテンポラリーダンスに日頃親しみがない人にこそ見てほしい公演だ。
『ON-MYAKU 2016 -see / do / be tone-』
2016年1月30日(土)19時開演、1月31日(日)15時開演
※30日の終演後、アーティストによるアフタートークを行います。
会場:東京都 上野 東京文化会館 小ホール
演出構成・振付・ダンス:白井剛
音楽構成・ピアノ:中川賢一
映像演出:堀井哲史(ライゾマティクス)
料金:
一般 S席4,500円 A席3,500円
友の会会員 S席4,000円 A席3,000円
学生 S席3,500円 A席2,500円(東京文化会館チケットサービスのみで取り扱い)
65歳以上・ハンディキャップ S席4,000円
東京文化会館チケットサービス 03‒5685‒0650 http://www.t‒bunka.jp/
イープラス、ローソンチケット、カンフェティで販売中
本公演ページ : http://www.t‒bunka.jp/sponsership/spo̲160130.html
特設サイト : http://on‒myaku.com/
Facebookページ:https://www.facebook.com/onmyaku2016
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